2017年12月02日

途中で詰まったら

次に何を書くべきか分からなくなり、
止まってしまう。
脚本を書くときに、一番よくあることかも知れない。

どうすればいいのか?
いくつかあるだろうけど、
僕は「状況を確かめる」「動機を確かめる」が一番確実だと思う。

観客の把握している状況と、
各キャラクターの把握している状態を、
同じにしても違わせてもよい。
後者は劇的アイロニーと呼ばれる手法で、
「いつこの人はこの事実を知るのだろうか?」と、
ハラハラして見てくれる。


1. 状況を確かめる

今の懸案事項は何か。
どんなヤバいことが今起こっているのか。
表面的なこと、
実は奥で起こっていることの、
事実または憶測。

あるいはここはどこか、
目的地はどこか。
未来に何をしようとしているのか、
ゴールは何か、
そのために今しなければならないことは何か、
放置してもいいのは何か、
放置してはいずれ首を締めるだろうことは何か、
可及的速やかにしなければならないことと、
待てることの整理、
あるいは、暫定スケジュールの提示。

過去の伏線の確認。
いずれこれが影響するだろうという予想。
これまでの経緯のまとめから、
今後の予想を立てること。


全部やらなくていい。
今曖昧なことを明らかにしよう。
勿論伏せておく狙いのことまで全部明らかにしなくてよい。
「今どういう状況だっけ?」
が、作者は分かってても、客が分かってない状態は、
わりとよくある。
それは、滑ってる状態だ。

その状況に放り込まれたキャラクターの視点で、
現在を見てみよう。
「一体どうなってんだよ?!」
「どういうことだ?」
と喋りだしたくなるだろう。
そうすれば、
誰かわかってる人が答えてくれたり、
ここまでは分かっているが、これ以上は分からん、
と答えてくれたり、
とんちんかんなことを答えて、場を混乱させてくれるはずだ。


2. 動機を確かめる

何故この人はこんなに、その目的を果たしたいんだろう。
ふと冷めるときがある。
それは感情移入が途切れかかっている証拠で、
それは作者だけでなく観客も同じ気持ちになっている。

そういうときは、再び動機を確かめるといい。
あるいは、そもそも何故そう思ったかという、
過去のエピソードを追加してもいい。
再び感情移入が戻るほどの、
ナイスエピソードを思いつくことだ。
そういうことなら、これをどうしても完遂したいんだな、
と、みんなが納得してくれたら、
ストーリーは再び動き出す。
それは、作者自身も感情移入が復活するからだね。

ただしこれは後付けになってはいけない。
初登場の時全然違ったやないかい、
というのはよくやることだ。
そのエピソードをじゃあ一幕に持ってくればいいかというと、
そうではないと思う。
今ここで明かすタイミングだから、
明かすべきだと思う。
直すのは、矛盾や、誤った伏線を削ることや、
現在に必要な伏線を仕込むことだ。
勿論それがファーストシーンにあり、
それでストーリーの本題にぐっと入れるなら、
ファーストシーンの価値はあると思う。
下手にファーストシーンに挿入すると、
ストーリーの立ち上がりが遅れるので、
僕はこれは推奨しない。

後付けで明かされたときに、
なるほどと思えればいいと考えている。


これは、主人公だけでなく、
サブや敵に関してもそうだ。

ドラマ風魔の10話「告白」では、
ヒロイン姫子の家庭事情がようやく語られ、
彼女の孤立感がようやく伝わってくる。
今までの表面では分からなかった、
内面のことを知り、
私たちは彼女が好きになる。
応援したくなる。
それってつまり、感情移入したことになるわけだ。

それはどの段階でやってもいいと思う。
意外な人物の意外な理由は、
人の心を時に揺さぶる。

揺さぶれたら、こっちのものだ。

なぜなら、
そこからストーリーは力を取り戻すからだ。


いまどこ?
何故そこへ向かう?

人はそれを常に確認したい。
ハッキリ分かったとき、
その人と共に、ゴールを目指したくなる。
posted by おおおかとしひこ at 22:27| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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