2017年12月05日

正しい実写化とはなにか2

もし原作に、きちんとストーリーがあったらどうなるか。
それはまず、結論がどうあるかを考えなければならない。


まず、その映画は同じ結論にたどり着くべきかどうかを考える。

同じ結論になるのなら、
その道筋が、
実写版でも納得がいくようにしなければならない。

結論だけ同じでも、
映画だけ見たときに、
なんでそう言えるのか、分からないものは欠陥品だろう。

つまり、オリジナル脚本のときと同様、
問題がありそれを解決することに、
どういう意味があるかをつくる。

問題は、
大抵は映画の尺が原作よりも尺が短いということで、
妥当な結論に十分なストーリーになれない、
ということだ。


たとえば、
漫画「あしたのジョー」の結論は、
「真っ白に燃え尽きたい」だけど、
二時間尺の映画でそれを作るのは難しいかも知れない。
余程渇きを描いて、
何をしても乾いているジョーを描き、
唯一力石だけが楽しませてくれた、
という風にうまいことやらないとダメだろう。
しかし原作では力石は死ぬ。
ジョーはどうしていいか解らなくなる。
これがミッドポイントに来ないと、
後半の渇きまでたどり着かない。

しかし、いくらなんでも力石の死がミッドポイントは早すぎる。

ここで、
じゃあ結論を変えるのか、
構成を大胆に変えるのか、
二つの分かれ道がある。

もし結論を同じにするなら、
力石との決闘がクライマックスに変わり、
力石もまた真っ白に燃え尽きたいと思っている、
と動機を改変し、
死なない、と改変する手がある。
互いに燃え尽きた、という落ちにする。
(リンかけはそういうエンドだ)
力石が死ぬならば、
お前だけ勝手に燃え尽きやがって、
俺は世界を相手に燃え尽きてやるぜエンドかもね。


実写版「あしたのジョー」に結論なんてなかった。
(原作のそれに近づけようと頑張った節は見られるが、
いかんせん乾いたハングリーなジャニーズなんていなかったのだ)
結局、構成を似せて、
結論をアレンジする、
程度の脚色しか出来ていない。

だから凡作だったのだ。


原作のたどり着いた結論が、
至高であればあるほど、
実写版の結論は比較される。

「それは実現してるのか?」
が重大な関心ごとになるからである。


さて、ここまでは結論を同じくする、
という観点で議論してきた。
結論にアレンジを加える、
ということがとてもよくある。

そもそも原作の重厚さに勝てない程度の尺だから、
全く同じことをしてもしょうがないから、
あるいは、
最もある愚かな例が、
全く新しい結論に改変してしまえ、
などだ。

とくに原作が未完結のものでは、
新たな結論にしなければならない。
そこに改変の腕が必要になる。

成功した実写化は、
結論を原作と同じものにし、
かつ構成を変更してでも腹に落ちるように作り変えたものか、
あるいは、
原作の範囲内での結論にアレンジし、
構成を一部変更してそこへ落ちるようにつくったもの、
の二種類しかないと考える。

僕らなりのガッチャマンを作ったとか、
原作読んでませんとか、
大胆にオリジナルキャラを加えて、
とか、いらないのだ。
それは原作がなくても出来ることであり、
それは勝手にオリジナルで作ればいいことだ。

ちなみに、
最高の実写版とは、
「作者もたどり着かなかった、
ほんとうのこの作品のテーマ」
にたどり着くことだと思う。

僕が今まで見てきたもので、
それにたどり着いたものは、
「うる星やつら2ビューティフルドリーマー」
だけだ。
だって先にやるなよ、と原作者が怒ったんだぜ。

自分の例では、
ドラマ風魔は、
実写化の中で最高傑作の候補のひとつに位置していると考える、
勿論原作と同じ、より深い結論にたどり着いたわけではない。
しかし、「この風魔もあり得る」というレベルには到達していると思う。

よく「別物だから、これはこれであり」
と言うけれど、
ありになるためには、実写版も傑作でなければならない。
それは、原作の傑作度に並ぶか、
越えなければならないんだよね。

つまり、〇〇という点では原作より劣っているが、
△△という点では原作より勝っている、
という風にならない限り、
並び立つことにはなれない。


はっきり言おう。
原作の実写化には、
原作者と同等の実力がいる。
(映画はチーム戦だから、チームの実力、
と言ってもいい)



テキトーにアレンジして、
ただのコスプレ大会にしてる、
才能なき阿呆どもよ。
原作者の才能にぶら下がる能無しどもよ。
ファンの前で腹をかっさばき、
地獄の閻魔に許しを乞え。
爆死程度では生温い。
才能に失礼だ。
posted by おおおかとしひこ at 13:51| Comment(2) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本論とずれますが、ビューティフルドリーマーで原作者が怒ったのは「先にやるなよ」という理由ではなかったように思います。
Posted by yu at 2017年12月07日 00:04
yuさんコメントありがとうございます。
僕はそう聞いたんだけどなあ。
ソースが出てこないのでデマかも知れません。
でも、当時の誰もが納得するテーマだったと思いますよ。
なぜあたるは浮気をするのか、に対する答えの話ですが。
Posted by おおおかとしひこ at 2017年12月09日 19:39
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