たとえば、
それは二時間で言うのに適切な内容か?
たいていてんこ盛りになってて、
消化しきれないのではないか?
特にリライトしまくると、
あれも書かなきゃこれも入れなきゃと、
どんどんわんこそばみたいに追加が出てくる。
二時間で言えることはどんなことか。
それがわからなくなったら、
二時間の名作を見るといい。
僕のオールタイムベストでも、
適切な評論家の勧める10本でも良い。
最近話題になったやつはおススメではない。
時代を経てなおイケてるやつを選んだ方がいい。
シンゴジラは一部で話題になっただけで、
希代の名作ではない。
複数見よう。
多いのも少ないのもあるから、
大体の感覚を積もう。
で。
あなたの提供する二時間は、
これらに比べててんこ盛りになってないか?
逆に、スカスカではないか?
スカスカな場合、
ぎゅっと尺を縮めて、
たとえば60分ものに出来るかもしれない。
30分かもしれないし、
15秒かもしれない。
その題材は二時間を持たせるものではなかった、
ただそれだけのことだ。
問題は、てんこ盛りのほうだ。
リライトをすればするほど、
書きたいことが増えてきて、
増築しまくり、
芯のないものになっていることがある。
そういう人に「何が芯?」と質問すると、
〇〇がメインなんだけど、
実は△△のことも揶揄していて、
□□のことも表現していて、
実は裏で××が象徴されているのです、
などと複雑なことを言ってくる。
いや、だから芯は何?
〇〇だ、と答えられるように、
全体を整理しなければならない。
〇〇だけを残してあとは全部切れ、
というのは乱暴すぎる。
豊かなものが痩せてしまう。
そうではなく、
〇〇を語るならば、
△△と□□が対比的になっていて、
〇〇を分からせるのに役に立っている、
などのような、
複合的に〇〇の為に全ての要素がうまく働く必要があるだけのことだ。
つまり、とても難しいことを達成しなければならない。
勿論、
このような有機的関係がなくて、
あれも言いたいこれも書かなきゃと、
散発的にリライトに盛り込むからこうなるのだ。
たとえ散発的であったとしても、
その観点やアイデアは、
革命的なことかも知れないから、
単なる思いつきだから、と無下に却下してはいけない。
問題は、それを足すことによって、
〇〇がよりよく伝わるかどうか、
なのだ。
一番よろしくないのは、
その散発的な思いつきによって、
〇〇じゃなかった、△△が芯だったのだ、
とぶれることである。
勿論、全体が△△を芯にして作り直せて、
〇〇や□□が、△△を伝えるのに名脇役となり、
全てが有機的に△△に集約するように、
書き直せれば問題ない。
でも、本当によくあることだが、
違ったわ、□□かも、
と、またちゃぶ台返しをしてしまう。
それはおそらく、芯が何か、
自分でも分かってないからそうなるのである。
テーマを決めろという、
僕的には間違った指導は、
この混乱を避けるためにある。
最初から芯を決めればぶれなくて済むからだ。
でもそれは、
二時間の話を書くことと15秒の話を書くこと共通の、
大まかなルールに過ぎず、
二時間には二時間のやり方があるというものだ。
何故なら、二時間の脚本は、
一気に書けないからである。
大抵、あれも忘れてたこれも入れなきゃと、
あとで追加がやってくるのである。
(愚痴ですが、15秒の世界でもよくあります。
我々が出来たと思った頃に、
あれとあれも入れてくれと言われることはよくあります)
しかし、「それを見るのはリアルタイムで二時間きっかり」
という意識が、私たちの中から欠落しがちだ。
一ヶ月かけてやってきたことが二時間で終わっちゃう、
ということに、まず慣れなければいけない。
半年かけて書こうが、十年かけて書こうが、
二時間映画は二時間で終わるのだ。
だから二時間で観客が把握し、
味わい、自分の中で反芻でき、
その後何年たっても影響を及ぼすような、
ちょうどいい量の適切な切り出しをしなければならないのである。
時を経た名作たちは、
その扱いが適切だから残った。
だから話題作からそれを抽出するのは違う。
一時ツイッターで騒がれただけかも知れない。
それは名作ではなく、消えて無くなる流行に過ぎない。
我々は二時間の名作を書き、かつ流行にも乗らなければならない。
二時間で出来ることは、
実はたかが知れている。
僕らの思い込みが沢山あっても、
それは全部乗らない。
二時間には適切な二時間の内容の濃さがある。
そういう形に、
最終的には整形しなければならない。
その為には、俯瞰して考え、
かつ細かいレベルで辻褄を合わせていかなければならない。
とても難しい。
しかしやり遂げない限り、
継ぎ接ぎだらけの、
何が言いたいか分からない、
どこへ向かっているか分からない、
整理されていない、
背骨が何かわからない、
奇形めいた怪物しか出来上がらない。
あなたが書かなければいけないのは、
背筋の一本通った、
凛とした馬のように美しい、
名作に匹敵するストーリーである。
2017年12月09日
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