2017年12月09日

小成功ではあるが、大成功ではない

中盤の一つのコツ。

ある目的について焦点が定まって走り出したストーリーは、
すぐに大成功してしまったら、話がすぐに終わってしまう。
勿論その尺でもいいんだけど、
期待は引っ張ったほうが面白くなる。

で、小成功を使うのだ。


展開というのは本当に難しい。
こうすれば面白い展開になる、
という法則もルールもない。

しかしストーリーは一直線であるべきだ。
勿論サブプロットの展開もあるから、
完全な一本道ではなく、
大きくひとつの方向に向かっているような感じだろう。
それこそが、ストーリーが進んでいる、
という感覚の正体だと僕は思う。

で。

進む方向というのは、
目的の方向である。
動機があり、目的を持った主人公と、
違う動機と目的を持った誰かたちが、
絡み合う。
ストーリーの進む方向とは、
主人公の目的に対して、
達成度何%か、という指標を増やす方向だ。

これは0やマイナススタートから始まり、
ゴールは100である。
勿論、ただ増えていくだけじゃなくて、
時々減ったり(一進一退や、起伏や、二転三転)する。

で、
初心者は0から100に、すぐにしたがる。
段階的にものごとを考えられないのかもしれない。

それを防ぐのが、小成功という考え方だ。


たとえば、アイツをぶっ倒す、
という目標に対して、
修行して(展開)、すぐ倒す(結末100)のではなく、
修行して再戦するが、
顔にワンパン入れただけで負けた、
みたいな展開を挟むのだ(小成功)。

何も出来なかったより前進した、
という段階を挟むと、
このあとにまた別の展開が生まれる。
左のパンチは当たった、まさか奴は右目が見えていないのでは?とか、
キックが当たらずパンチが当たった理由は?とか、
向こうはこの弱点を克服する為にさらに強くなったとか、
更に強いラスボスが登場するとか、
小成功に応じて、
次の展開を作ることが出来る。

つまりこの小成功は、ターニングポイントになるのである。


ターニングポイントを上手に作らないと、
一本道のストーリーはすぐ飽きる。
しかしストーリーを曲げては、
別のストーリーになってしまう。

ということは、「途中」を作ればいいのである。

理屈は簡単だけど、
思いつくのはなかなか難しい。

なので、一旦小成功を収める、
ということに決めてその小結末までを考えると、
その小成功の度合いに応じて、
次を思いつくことができるだろう。

実際、ストーリー作りというのは、
そうやって橋頭堡を確保しながらの綱渡りのようなものだ。


プロット作りの時にも、
執筆時にもう一段階足したい時にも、
使える考え方なので、
応用されたい。

恋の進展なんて、
いくらでも間に小成功を挟めるよね。
目があったとか、天気の話が出来たとか。
手つないだとかキスはしたとか。

それをうまいことはぐらかしつつ、小成功のステップを進むのが、
長編を持たせるコツかも知れない。
(風の噂に、はじめの一歩がひどいことになっていると聞いた。
伊達戦以来、一歩は一度も小成功をしていない。
その感じが停滞を生んでいる。
僕はクロノスあたりで脱落したが、
まだやってるらしい)
posted by おおおかとしひこ at 17:00| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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