ストーリーづくりにはいくつかのチェックポイントがあると思う。
それを列挙してみる。
〇コアアイデア
まずこれがないと始まらない。
人に話して興味がもたれたり、
それ面白いぞと思わない限り、
ストーリー作りというのは、どうやっても空虚だ。
理想は最終的なもののコアアイデアをきちんと思いつくことだが、
実際は端っこのアイデアかもしれないということを自覚しよう。
しかしこれなしには先に進まないので、
コアというよりは、
雪だるまの芯みたいに思っていたほうがいいかもしれない。
これがあれば、話は転がる、程度にね。
これがあると、プロットなど、話づくりがはじまる。
そのとき、最低でも次のみっつが必要だ。
〇事件の発端
〇展開
〇結局どうなったか
ストーリーの大枠は、
「事件とその解決」という定式で示すことができる。
殺人事件が起こり、犯人がつかまった。
恋して、それが実った。
悪がやってきて、正義が勝った。
ヘンテコな事が起きて、日常に戻れた。
などなど。
それを決めなければストーリーにならない。
事件や異変が起きなければストーリーは発生しない。
それは単なる日常の延長であり、記録やメモであり、
単なる時系列であり、
ストーリーとして語る価値はない。
ストーリーとは、「それが結局なんだったのか」
という落ちを付けなければならない。
落ちはギャグでなくてもいい。
それがどういう意味を示唆しているのか、
ということだ。
「殺人事件が起こり、犯人がつかまった」
ならば、
殺人はよくないとか、
やむにやまれぬ事情は分かったから罪は償おうとか、
こんな恐ろしい面が人間にも潜んでいるかもしれないとか、
そういうことがよくテーマになるよね。
もし結末が「捕まらなかった」なら、
誰も真相なんてわからないんだ、とか、
平和な日常のすぐそばに恐怖はあるとか、
隙を見せるなとか、
そういうことが意味になるだろう。
だから、この最初の計画の時点で、
結末を決め、それがどういう意味になるのかを、
最初に決めるべきだと思う。
それはテーマだろうか。
まだテーマのような形は出てきていない。
しかし、ざっくりその範囲内のどこかにテーマという、
具体的な文になるようなものが存在するだろう。
最終的なテーマは、おそらく書きながら探していくだろうが、
全然違ったところに帰着するということはないはずだ。
大きく東には進むと決めたら、
東京から出発したからには、
東北か北海道か北極かにはつくということ。
もし神奈川や大阪やマダガスカルについてしまうなら、
最初の計画か、このあとのどっちかが間違っている。
さて、発端と結末の間には、
展開がある。
展開というと難しいから、
ここではとくに考えず、
どういう事件なのか、
どういうことが起こるのか、
どうやって解決したのか、
それを考えるとよい。
発端即解決になるなら展開はなく、
ストーリーは即完結である。
せいぜい5分くらいまでの話になる。
しかしそれは小さな話でしかない。
我々が書くのは、もっとごっつりある話だ。
何がごっつりあると面白いか、そこを想像して、
今のうちにアイデアを出しておこう。
実際のところ、
ここで書いたことよりもっとアイデアを出さなきゃいけないのだが、
ひとつもないよりは、ここでチェックしておくといい。
さて、
〇コアアイデア
〇事件の発端
〇展開
〇結局どうなったか
が出そろい、面白そうな話になりそうだ、
と思ったら、次の段階だ。
大まかなプロットを考えてゆく。
キャラクターのことは考えもいいが、
実際はもっとあとになって詰めるので、
まずはプロットにこういうものがそろっているかチェックだ。
序盤
〇面白げなオープニング
〇面白そうな事件の発端
〇主人公はそれにどうやって巻き込まれるか、あるいはどうやってそれを引き起こしたか
〇どんな疑問が提出されるか
〇主人公は何が足りないのか
〇主人公が逃げずに事件を解決しようとする理由
〇主に誰と誰が最後までの進行役か
〇どうやればこの話は解決すると予測されるか
中盤
〇この世界の登場人物
〇この世界のルール
〇誰が絡み、誰が敵で誰が味方か
〇進展、後退のおおまかな流れ
〇意外な展開はあるのか
〇何段階の試練か
〇面白いターニングポイント
〇主人公やその他の人物に感情移入するエピソード
〇終盤に向かっている、と感じさせるなにか
〇面白い発見、泣けるポイント、笑えるポイントなど、
ストーリーと直接関係する/しないエピソードはあるか
〇集中力が途切れるのはどこか
〇ほんとうに解決したいのか?
〇絵になるシーンはどこか
〇いよいよラストステージだと分かるところはどこか
終盤
〇勝利条件、敗北条件
〇解決する瞬間はどういうカタルシスがあるか
〇主人公は何を得て、何を失ったか。他のキャラクターは。
〇日常に戻るとき、主人公は何か変わっているか
〇何かでそれは象徴できるか、あるいは、別のなにかは何かで象徴できるか
〇で、結局このストーリーはどういう意味があったのか
こういうことが、プロット段階で全部盛り込めれば最高だ。
しかし全部いきなり盛り込むことはできない。
たいてい、メモ書きでストーリーが生まれ始めていて、
それに何か足りないなあと思ったとき、
これらのチェックポイントをチェックしてみるといいだろう。
ああ、アレが不足していたわ、とおもえれば、
それについて補充したり、
それがいるんならこれもいるか、とか、
それがあるならこれはいらないとか、
そもそもそうするならこうしておくべきとか、
自己診断できるようになるだろう。
プロットは何回書き直してもよい。
何回も書き直すために、精々数百時程度で書くのだ。
練れてきたら、1500とか4000字とかで詳しく書いてもいいよ。
ここまでできたら、
矛盾とかご都合をチェックするとよいだろう。
客観的になれているかどうかのチェックも兼ねている。
で。
大体のストーリーが出来上がったところで、
人物の魅力を掘り始める。
どういう魅力なのか、
過去や得意や苦手や。
生きた人物にしていくのである。
そこで魅力あり、勝手にしゃべり始めるくらいになりはじめたら、
執筆にとりかかるときだ。
人物を先に詳細に詰めない理由は、
勝手にしゃべりはじめると、
どこへ行くか制御できないからである。
先に大体のストーリーができていないと、
明後日の方向に行ってしまい、
スト―リーを見失うことがとても多い。
だから、何があり、何故それもし、
なぜそうなるか、どうしてそうしたいのか、
などの、一番基礎は先につくっておいたほうが、
キャラクターは自由に、自分の意志で、
動きやすい。
カードによる方法、
箱書きで箇条書きにする方法、
大きな紙に全部書き出す方法、
リストにする方法、
などはとても便利なツールなので、
適宜使われたい。
ここまでノートにあふれてきたら、
次はディテールだ。
その世界はどうなっているのか、
調べものなどをして、
正確なところどうなのかを知っておこう。
正確なまま表現するか、適度に嘘を混ぜるか、省略するかは、
書き手次第である。
しらべものはノート何冊かになる場合もある。
ペラ一枚程度の場合もある。
少なくとも、その題材に関してだけはそこそこ詳しくならないと、
色々は書けないだろうね。
作家は物知りだからなるのではない。
制作途中で物知りになってゆくのである。
(前も書いたけど、たとえば電車の運転手の交代のタイミングとか)
好奇心こそが人を詳しくするのだ。
とりあえず、僕が考えているチェックポイントを列挙してみた。
参考にしてくれたまえ。
2017年12月13日
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