使う分だけ。
その見極めが難しい。
料理の材料を買うのと同じ。
使わなかった設定というのは、
意外と沢山ある。
特に慣れてない人ほど大目に用意して、
その殆どを使わない経験をすることになる。
余り物の材料で作ったのがスピンオフか。
じゃあどれくらい最初に用意しとけばいいのか。
足りない時には作ればいい、
と、少なめから始めるのが実はコツだと思う。
だからといって、
「書きながら考える」ことを推奨しているわけではない。
事前に用意するのはプロット(レシピ)であり、
キャラクター(食材)でないということ。
大概これを逆の分量で用意してしまう。
キャラクター設定ばかりあって、
ストーリーがちっとも生まれないのは、
スーパーマーケットにただ食材がごろごろ並んでいるだけだ。
必要なのはレシピである。
レシピが先に完璧にあり、
あとはそれに適した食材を買いに行けば、
料理は無駄なく出来るのだ。
もっとも、
レシピにない、ものすごいいいネタに出会うことも、
稀によくある。
こういうときは、
食材を生かしてレシピを変えるか、
その食材を諦めるかだ。
旬のネタなら、レシピを変えることになるだろうか。
でもそれはすぐ腐るんだよね。
つまり、ネタの鮮度も大事だけど、
そのネタはいつまで持つやつかな、
と少し長期的な目で見ることも必要だ。
話がそれた。
キャラクターの設定や過去ばかり作っていても、
ストーリーはちっとも生まれない。
あなたは八百屋や魚屋の、仕入れ係ではない。
本題は過去設定だった。
もし過去設定がないままに人物を登場させると、
「あなたの中にあるテンプレキャラ」にしかならない。
代表的な人物像を、たいてい数人は飼っていると思うが、
その範囲内でしかない。
もっとも陳腐な人物テンプレは、「主人公テンプレ」だ。
「ヒロインテンプレ」「クールライバルテンプレ」
「師匠テンプレ」「敵テンプレ」あたりが、
典型的なテンプレだろうか。
「ボクっ子テンプレ」「ツンデレテンプレ」
「ワイルドテンプレ」「DQNテンプレ」「デカブツテンプレ」
「内気覚醒テンプレ」「悪い女テンプレ」
などもあるかもだ。
これに適当な属性をひとつまたは複数乗っけるのが、
浅くて間違ったキャラクターメイキングである。
(なぜなら、誰にでも出来るから。
ということはそこから頭一つ抜けれないということ)
こうしたテンプレでないキャラクターを作るには、
過去を設定するとよい。
その人独自の過去を創作することで、
「それがあり今のその人があるから、
単なるテンプレとは違う深みがある」
というところまで可能だ。
単純に、「孤児で泥棒として生きてきた」
「部活で決勝まで行ったが、自分のミスで負けた」
と付け加えるだけで、
それぞれのテンプレが違って見えてくる。
コツとしては、
表面に見えているのと逆の過去を作るのが王道だ。
クールだけど本当は熱い心を持っていて、
しかし酷い目にあったので心を閉ざしている、
なんてのは基本中の基本だろうね。
家庭環境のせいで不良だけど、
ほんとは子猫を拾う優しい番長は、
永遠のイコンであるしね。
熱血な人が熱血な過去を持っていても、
そりゃそうだろとか、まあ予想通り、
となるので、わざわざ作る意味はない。
意外な過去を作っていくとよい。
そういうことを作っておくと、
キャラクターが生き生きする。
自分で書くときに役に立つのだ。
クールなキャラクターが実は鉄道オタクで、
そのことだけは熱く語るという設定にしておくなら、
電車移動のシーンは面白く書けるだろう。
社員旅行の幹事になったら、
電車移動を強く主張するだろうし。
人はガラリと別人にならないから、
その電車のことがかつては熱いなにかの象徴で、
なにかのきっかけでクールになり、
しかし電車だけは夢中になってしまう、
なんて風に過去を設定すると、
そのキャラクターに厚みや深みがでるし、
それをストーリーに応用できる。
もっとも、一回も使わないなら、
たとえば一度も電車に乗らないし、
電車を目撃するシーンもなければ、
それはないのと同じで、
使わずに捨てられる食材と同じだ、
ということである。
それでも、あなたが、テンプレ的でない、
生きたキャラクターが書けるようになるなら、
あったほうがいいことではある。
しかし気をつけるべきことは、
「本編にないなら、ない」
ということだけだ。
これを分かっているのなら、
そのキャラクターを生き生きと、
かつ本編に絡めて使いこなせるだろう。
「ファイブスター物語」は、
エルガイムで使い切れなかった、
膨大な裏設定をもとに始めたスピンオフ
(もしくはリブート)である。
一本の話にするには食材が多すぎて、
煮込んだスープより食材の山の方が沢山ある、
一番の例だと僕は考えている。
もうそういうエンターテイメントだと考えるしかないが、
プロのストーリーものとしては、
最悪の部類であるということを肝に銘じよう。
永野護はデザイナー(食材調達者)であり、
ストーリーテラー(シェフ)ではないということだ。
(まあ二次創作用の食材調達者としては、需要はあるかも知れない)
気をつけるべきことは、
過去を被らせてはいけないということ。
意外とやっちゃうんだよね。
妻を失った人の隣に、妹を失った人がいたりね。
それで共鳴してストーリーが生まれるなら強い要素だけど、
ストーリーに関係なかったりすると、
もうそれは属性テンプレでしかなくなる。
どれくらい過去を設定することよいか。
こういうものは、会見が出るところ。
料理初心者は大目に買っちゃうよね。
何回か失敗しながらやっていこう。
足りなきゃ漁りに行くスタンスでやってみよう。
(中盤で考え始めることもよくある)
料理と同じで、あれあそこの棚にしまっといたはず、
というのもあったりする。
2017年12月17日
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