しゃぶりつくせ。
面白い設定は、フィクションの華だ。
しかしどんなに面白そうな設定を作ったって、
使いこなさなければ絵に描いた餅だ。
使わないなら無しにして作ればいいのに、
面白要素だからと残してしまい、
期待だけ持たせて答えきれず、
「所詮ガワのハッタリやないか」と僕に批判されることになる。
もし面白そうな設定を思いついたら、
よく考えることだ。
よく考えるというのは、
「他に沢山面白い設定を思いつく」ことではない。
それを横方向の思いつきだとしたら、
縦方向に考える。
つまり、
その設定を深掘りする。
「何も知らない時にその設定を聞いたとき、
どういうストーリーがあり得るだろう?」と、
他人の作った設定のようにして、
二次創作のように、
想像の翼を広げるとよい。
たとえば、
「二足歩行の人型ロボットが戦闘に使われる」
という設定に対して、
沢山のバリエーションがある。
それはそれだけしゃぶり尽くしてもなおこの設定が面白いから、
この設定は深掘りされるのだ。
もしそれが本当にあるとしたら。
設計した人がいる。
メンテナンスする人がいる。
生産、運搬する人がいる。
戦闘訓練や運用訓練がある。
死ぬ。助かる。
チーム戦。孤立した時。
戦争以外の用途、たとえばショー。
宇宙で戦うとき、地上で戦うとき、水中で戦うとき、
その他色んな空間で戦うとき。
「合体変形するロボット」という設定なら、
合体できないアクシデント、
合体する瞬間を狙って攻撃、
合体できないように孤立戦法、
合体をジャムらせる、
合体から分離できないようにする、
先に合体ユニットにこちらの偽ユニットを合体させてしまう、
などなど、しゃぶり尽くせばストーリーはいくらでも思いつく。
とりあえずSF的なことなら、
男子なら色々思いつくだろう。
いまだに、ウラシマ効果については、
しゃぶり尽くされた設定とは言えない。
これをネタにまだまだ面白いパターンは作れそうだ。
勿論、SFじゃなくてもいい。
「隠し子がいた」という設定を一つ決めたら、
それをしゃぶり尽くせばいい。
誰との子供なのか、
いつからか、
どうやって暮らしているのか、
どういう子なのか、
相手は今何をしてるのか、
などなど、
それが「分かった」と思えるまで、
深掘りして作って行く。
あなたが文春の記者にでもなったと思えばいい。
赤裸々に、白日の下にさらすように、
その設定にまつわることを全て聞き出すのだ。
そもそも何故相手と結婚しなかったのか、
何故今まで隠していたのか、
それがバレたときどうするつもりだったのか。
あるいはロボットでも、
どういう原理で動いてるのか、
価格はどれくらいか、
メンテの頻度、ランニングコスト、
貯金で買えるのか、
何故二足歩行ばかりなのか、
四足や六足がない理由、
などなど、
いくらでも深く掘っていける。
それらに対して全て矛盾なく答えられるとき、
それは分かったということになる。
つまり、その設定のさわりを聞いて、
面白そうだと思い、
それを一つしかないおもちゃのように、
こねくり回してしゃぶり尽くして、
全貌が解明された時が、
ストーリーの終わりである。
斬新で面白い設定は、
いくらでも思いつく。
問題は、それをしゃぶり尽くすまで、
色んな角度から見たり、
色々いじってみたり、
していないままに、
新しい設定を足して、
それをしゃぶり尽くす前にまた新たな設定を思いつき…
というループが起こり、
結局はどれも深く遊んでいないおもちゃの山が残ってしまうことだ。
だから、設定を足すのではなく、
設定は周りをしゃぶり尽くすのである。
それがそうだとしたら、
多分こういうことが起こるだろう、
多分こういう問題が起きるだろう、
多分こうなると面白いんじゃないか。
そういうことを全部やってしまえ。
面白い設定ほど、面白くなるよ。
たった一つの設定でいいんだ。
2017年12月18日
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