2017年12月29日

タイトルとイコンと名詞

前記事の続き。
で、その小道具の場面が肝になるとき、
その名詞をタイトルにするとよい。


前の例では、
「吸わなかったタバコ」
「落書きされた杖」
「割れたスマホ」
「母にケーキを」
というタイトルを仮につけた。

これらの「名詞」がタイトルになったわけだ。


素晴らしいタイトルはどうあるべきか、
について、いまだ僕は明快な答えを持たないが、
「内容の本質をズバリと言うこと」
であるに越したことはないと思う。
勿論ネタバレなしでね。

で、
タイトルは名詞なのか動詞なのかで言うと、
圧倒的に名詞だと思う。
「船を編む」とか、ラノベ系とか、動詞終わりのタイトルは勿論あるけど、
圧倒的に名詞だろうね。

さらに、固有名詞がタイトル
(ロッキーとかラピュタとか)でない場合、
一般名詞がタイトルになる。

そうすると、それは何かの象徴、
ということになる。
落ちやテーマが、それの意味するところの判明する、
強い場面であればあるほど、
そのただの一般名詞は、
文脈を持った強い意味になり、
「その名詞と言えば○○の意味」になるわけだ。

つまり、
文脈や意味が、ひとつの名詞に畳み込まれたわけだ。
これをイコンという。

イコンは元々宗教画のことだが、
「場面を絵で表す」の意味から発展し、
「絵で意味を表す」全般に使われる。
スペルはiconなのでイコンともアイコンとも読む。
アイコンは、どちらかというとアップルが広めた表現だ。

つまりは、
「とある一般名詞が、
ある意味を指し示す」
という状態のことが、
ストーリーがイコンになっている、
という状態だ。

僕は、
「動詞や流れを人は記憶できない。
名詞や静止画は記憶できる」
という仮説を唱えている。
どんな素晴らしいストーリーでも、
時間を経ると忘れてしまう、
という仮説を立てている。
それが記憶に定着し、思い出し可能になるのは、
静止画=イコンが存在する時ではないか?
というのが本題だ。


小道具を上手に使い、
強い場面にして、
それを結論の場面にすれば、
もっとも映画的に強く、
記憶に残り、
そしてそれがテーマを象徴し、
あとあとその絵を見れば、
そのストーリーの象徴になっている、
強いタイトルを作ることが出来るだろう。


あんまりこんな話は聞いたことがないので、
きちんと書いてみた。

つまりこれをやるには、
全ての能力が高い次元で有機的に機能しない限り、
出来ない。

自己承認欲求メアリースーの浅瀬でパチャパチャ遊んでる場合ではないのだ。
posted by おおおかとしひこ at 15:08| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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