普段hhkbのJPを使っている。
これは下段のズレが1/4になっているヘンテコキーボードで、
下段ズレが1/2の標準キーボードに久し振りに触って、
気づいたことがある。
一緒だと思う運指の角度が全部違うことに。
たとえば、
カタナ式では、
aiとouのアルペジオ二重母音
(qwertyでいうと、ji、mkの運指)
は同じ運指の段違い、
くらいに考えていたのだが、
標準キーボードをよく見ると、
その角度が違うことがわかる。
中上段の運指より、
下中段の運指の方が、
より手を左に回した角度になるように、
微妙な差が生まれる。
左手でいうと、
カタナ式のktとnr
(qwertyでいうところの、feとvd)
はもう別物だ。
そもそも右手と対称の動きのはずなのに、
キー全体が左傾きになっているせいで、
全く別の性質を帯びてしまう。
それが中上段運指と下中段運指でも角度が違う。
これを、
僕は「左右対称じゃなくて気持ちわるい」
と思う。
逆に、
「すべて微妙に角度が違うから、
手の感覚で違いがわかる、
標準キーボードは優れものである」
と感じる人もいるだろう。
そしてその方がひょっとすると多数派かもしれない。
今まではそこまで色々な角度の差に気づくことはなかったけど、
それはローマ字という運指の限定された方式だったからかもだ。
どの音も連接しうるカナ配列を本格的に開発し始めて、
「キーからキーへの全ての運指」
ということに、初めて気づいたのかも知れない。
個人的には、格子キーボードを使って、
配列を作りたくなった。
運指に意味を持たせやすくなりそうだ。
(plunkは前から気になっている…)
まあ、現状キーボードでも、
左右の運指に非対称な意味を埋め込む、
ということは出来そうなので、
とりあえずこれでなんとかするしかない。
逆に言えば、全ての配列は、左右非対称の運指前提にしなければならないわけだ。
漫画家に、
資料を見ずにキーボードを描かせてみるとよい。
斜めにズレているところまでは描けても、
上段と中段が1/4ズレで、
中段と下段が1/2ズレと、
正確に描きわける人は皆無だろう。
それくらい、私たちはズレの差なんて気にしていない。
にも関わらず、これがなくならないのは、
「熟練者は、微妙な全部ズレてる運指の角度を、
体感として覚えていて使い分けているから」
という仮説が成り立つことに、
気づいたわけだ。
そうでもないと、
hhkbJPが下段1/4ズレたくらいで、
あれだけ非難される理由がない。
僕としては、
今のところhhkbJPで開発し、
標準キーボードでも使えるものを、
目指している。
左右交互打鍵ではあまり気づかないだろうことだけど、
片手アルペジオを観察した時、
上中段のアルペジオと、
中下段のアルペジオに差があることに、
注意しながら設計していかなくてはならない。
めんどう。
で、目で見ていてもそれが予想できないのが、
配列作りの難しさで、
手で触った感触だよりになるんだよね。
盲目の彫刻家のようだ。
僕は絵を描く。
その時にベースになる紙はすごく大事だ。
肌理やその方向性だけでなく、
吸水性や消しゴムに強いかとか、
触り心地とか、書くものとの相性とか、
色々ある。
でも、これで描けると判断するのは、
手で触って決める。
キーボード配列もそんな感じで、
結局触ってみないと決められないんだなあ。
で、キーボードのズレに手が敏感になってきた、
ということかも知れない。
ブラインドタッチって、
結局こうやって、
「手の感度を上げていく」訓練なのかもしれない。
2017年12月30日
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