スターウォーズが登場して以来、
映画がイベントのジャンルになった。
561237。我々はくだらないイベントにずっと付き合わされてきた。
僕が見た、
タトゥーインの二重夕日にやるせない気持ちをぶつけた若者の物語は、
30年を経て、ようやく映画にもどって完結した。
映画には脚本が足りない。
ガワで釣って中身のないものばかり。
僕はそう警鐘を鳴らしてきた。
なんだ、面白い脚本があれば、
こんなに映画は面白くなるんじゃないか。
スターウォーズで初めて泣いたよ。
それは、ずっと感情移入ができなかったからだ。
今回、誰にも感情移入ができたのは、
誰もが弱点があったからかもしれない。
レイは親に捨てられたこと。
ポーは向こう見ずなこと。
フィンは元トルーパーだったこと。
ルークにも負い目があった。
カイロレンは当然。
(よく考えたらレイアにはないけど、
in memory of our Princessで号泣だよ)
はじめてスターウォーズで人間ドラマを見れた。
ただのイベントになり下がった5以降、
はじめて脚本が追い付いた。
脚本技術に、特筆すべき点がある。
冒頭部、
「最後のひとつ」と焦点を誘導するのがうまい。
織りなす複数のサブプロットを、
全員集合させるのがうまい。
まさかルークをああするとはね。
紫の人もよかったね。ああ、この人死ぬんだろうなと思わせて、
ちゃんと感動させるのは上手な証拠。
そしてなによりも「岩を浮かせる」の見事な伏線。
最高の場面にこそ、伏線は効かすものだ。
ルークとカイロレンの対決をクライマックスにもってくるのもうまかった。
ちょっとご都合かな、と思わせておくのも上手。
おいおいどこから入ってきたんだよ、
と思う我々を手玉に取るやり方。
JJエイブラムスがメタメタにしたレガシーを、
ライアン・ジョンソン(脚本・監督)が覆した。
素晴らしい仕事だった。
映画の歴史に残る物語ではない。
しかし、映画という歴史を語るうえでメルクマールになる、
重要なターニングポイントであった。
映画はCGでも映像美でも役者でも音楽でもグッズでもない。
ストーリーだ。
CGも映像美も役者も音楽もグッズも、
ストーリーありきでしか、価値がない。
あとなんか絵がいいと思ったら、フィルム撮影っぽいね。
ヨーダがパペットっぽいのもよかった。
今年の10点の脚本。
いや、歴史的価値からすれば、もっと点をあげてもいい。
「よくできた脚本というのは、たいてい一週間以内の時間を切り取ったもの」
というハリウッドの伝説を見事に証明してしまった。
惜しむらくは宣伝のむごさ。宣伝部は一回死ね。
聞いてんのか? 東横線よ。
こんなに素晴らしい出来に、あれはねえ。
絶賛じゃないですか〜〜〜〜!!もう〜
123のクソ脚本、7のオール出落ちから比べて、
100万倍映画になっておりました。
それでも世の名作にはちょっと劣るので、
諸手を上げて名作とはいいません。
やっぱ脚本が全てをきめるんですねえ。
ラストの場所のアイデア(塩とだけ言っておきます)
なんて単なるガワなんですが、
それすら楽しんでる自分がいました。
ガワは中身とペアだなあと。