負荷はかけてみるもんだ。
手が勝手に楽を探してたどりつく。
親指シフトでいうところの、
「猫の手で爪を立てて、親指と他の指で掴むように」
を、意識せずに手が先にマスターしてしまった。
カタナ式開発中に、
これまで出来なかったスピードで打てるようになった僕は、
代償として腱鞘炎になった。
だから腱鞘炎にならない対策については、
滅茶苦茶研究した。
手の構え方、腕の角度、向き、
肩や姿勢、指のどのへんで打ち、
どうやって離すのか。
ピアノの腱鞘炎対策も散々見たし、
ストレッチもだいぶ調べた。
カタナ式の結論で言えば、
・キーボードを奥チルトに
・パームレストではなくリストレスト
・キーは水平前から見て山形になるように、
上中下段のキーを入れ替えてつくる
・そもそも弱い指は使わない(左の小指薬指、右の小指不使用)
・手はキーボード面スレスレに水平に構えるよう、高さ調整
・指は水平に前に滑らせ、指の腹を前方向に接触
という、独特の「前滑り」を提案し、実行している。
しかしカナ配列であるところの薙刀式では、
カタナ式にくらべて全面的にキーボードを使うし、
またスペースキーによるシフトが25%程度出現するため、
打鍵感覚が全く異なって来た。
で、タイプウェルみたいに自分に負荷の高いことを、
延々繰り返していると、
手が勝手に楽な方向性を発見し始める。
そうしないと苦しくて痛いからね。
そこで、手がこうしたいと思うように、
理想の高さや打鍵法をしてみたら、
見たことあるぞこれ、親指シフトのやつだ。
知らない人のために書いておくと、
・指を丸めた猫の手をつくる(カタナ式とは逆)
・手の位置はカタナ式より前進(指を丸めるから)
・爪と指先の間の肉あたりで下に下ろして打つ
・このため、手首を浮かせたほうがいい
・親指同時押しは、上から親指の横で叩くのではなく、
「つかむ」動作(爪でやると感覚がつかみやすい)
みたいなことだ。
センターシフト同時押しが25%とはいえまあまあ使うから、
親指シフトのようなやり方を、
手が勝手に発明してしまったようなのだ。
(逆に、親指の横で叩いていたら、
すぐに痛くなってしまう)
さすがに手首を浮かせ続けるのは長時間に向かないと思い、
リストレストを工夫し、
キーボードとの高さ調整を試みた。
愛用のhhkbでいうと、
机の上にベタ置き(奥チルトのための1センチ手前上げはなし)、
リストレスト1センチ高(カタナ式の2センチ上げは高すぎ)
こうすると、
なかなかの快適なのだ。
このキーボードと手の関係性を先に知ってたら、
ニコラ配列を試していきなり挫折することはなかったかも、
くらいに快適だ。
全てのキーが指から見えている、
みたいないい状態がキープできる。
前記事で書いたC位置の鬼門は、
そこまで鬼門ではなくなってきた。
で、タイプウェルがいきなり10秒縮み、
140秒台に突入。
1.94打/秒なので、
創作文を書く実用最低基準であろう、
2打/秒にいきなり迫ってきた。
(実際、込み入っていない文章はすでに薙刀式で書いている)
毎回つかまなくてもいい。
掌を真上にポジショニングして
(UFOキャッチャーみたいに。このために手首は自由が良い)、
爪を立てて上から下ろすように。
同時押しのときだけちょっと掴む感じ。
なるほどこういうことか。
そもそもカタナ式の「前滑り」をする前は、
どうやって打ってたのか、自覚がない。
なんとなくキーを手前に引っ掻いていた記憶はある。
(それは腱鞘炎に一番なりやすいパターンだそうな)
少なくとも、僕は二種類の打ち方をマスターしてしまったわけだ。
自転車にどうやって乗れるようになったか、
もう覚えていない。
逆上がりができた瞬間のことは、
今でも鮮烈に覚えている。
新しい運動の方法を人が覚えるときって、
たぶん「突然できるようになる」だと思う。
0.2出来てるとか、0.7出来てるとかなくて、
0から0.9くらいにいきなりジャンプする感じ。
それを、久しぶりに体験した。
夜中に叫びそうになったよ。
打鍵は運動だ。
(だから腱鞘炎になる)
能力もポテンシャルも全然違う人を、
上手く指導するキーボード教室があればいいのに。
みんな独学してるのが、バカみたい。
(運動のことは、いくら文章や映像でも、
伝えられないことがある。
マンツーマンでないと無理だと考える。
それは、その人の能力が毎回違うからだ。
逆上がりが出来ない子に逆上がりができるようになる文章を、
僕は書く自信がない。
その子がどこが出来ないかを、事前に予測出来ないからね)
2018年01月04日
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