2018年01月07日

なぜアイデアをメモしようとしても手が追い付かないのか

僕が新しい配列を開発して、
打鍵速度を上げようとして、
実際に指が喋る速度に達して、
タイパーほどではないが、普通より速くなってわかったことは、
「思考はそもそも言語の形をしていないから」だ。


そもそも、
書き留めようとするあなたのアイデアは、
言語の形をしているのか?
まずそこなのだ。

たいていは、
どこかがビジュアル的であったり、
音だったり、
なにかイメージ的であったり、
形すら不定形であったり、
「はっきりとした、言語で表現できる形」
ではないと、僕は思うのだ。
だから、
そもそも「タイピングによってアイデアを書き留める」
という発想は、僕は間違いだと断言してもいい。

だから、アイデアを書き留める唯一の方法は、
手書きであると考える。
簡単な図や記号、
断片的な言葉でよい。

それを言語化するのは、
そのあとだと、僕は思う。

言葉が苦手な人が、
すらすら書いている人を見ると、
「あんな風に言葉が連続して出てきたら」
と思うだろう。
しかしそういう人は、
実はそのあとに、
「膨大に直す」
ということをする。
最初に紙に書いた言葉なんて、
ほとんど最終原稿には残らない。
最初から、最終原稿を書くわけではないのだ。
それを知らないから、
「あんな風に最終形が出て来るのはすごい、
あんな風になりたい」
と、勘違いするのである。
じゃあ、その人は何をしているのだろう。
実は、
「とにかくなんでも書き留める」ということをしているのだ。
これを、ノンストップライティングという。
自動書記のように、
とにかく湧いてきたものを書き留めるのは、
ある程度なら、訓練で獲得可能だ。
しかし気を付けたいのは、
「それはたいてい脈絡がない、めちゃくちゃの文章」
であることがとても多いということ。
とにかく書けさえすれば、
「あとはリライトで磨いてゆく」
というあとに丸ふりした考え方が、
ノンストップライティングだ。
(用意に想像がつくように、
結構あとで辻褄あわせに時間がかかる)
しかし、書けないくらいなら、
書いたほうがまし、と考えるのである。


そこまででもなくとも、
ある考えが浮かんだ時、
どうやってすらすら書くのか、
と、疑問におもう人はいるだろう。

じつは、
「書きながら考えている」のが正解なのだ。

ある考えが浮かぶ

書いてみる

それを見て初めて気づいたことがあり、
それを書く、書き足すか修正する

それを見て……

というもののループなんだよね。

そもそも人間の頭の中で、
思考が一次元になっているわけないじゃんね。
それを、
どうにかして一次元の紐に、
つづる行為こそが、
言葉を書いて行く、という事なのだ。

つまり、
書くことは整理である。


あなたの中でスパークしたそれは、
まだ言語の形をしていない。
メモとは、
それを言語にしていく途中段階なのだ。

だから、
スラスラとメモを取ることは、
原理的に不可能だ。

メモは、たどたどしくしか取れない。
頭の中で、
言語の形のものが、
テープのように、ずるずると出て来るのではないのだ。
むしろ、
もやもやとした雲を、
分かるところから言語の形に、
変換していく、
という感覚のほうが近いと思うよ。

で、
結論でいうと、
どんなにタイピングが遅くても、
速くても、
アイデアが蒸発してなくなることはない。
蒸発したのは錯覚で、
それはもう言葉になったから、
頭の中から消えたのである。

アイデアがメモをとっている間に、
蒸発してなくなってしまった、
という錯覚は、
自分のアイデアが、
その程度のメモに収まる程度の、
たいしたものではなかったことの、証拠なのだ。


アイデアは夢に似ている。

それを見た時はすごいんだけど、
客観的に見たらたいしたことない。
つまり、
言語とは客観化する手段であり、
主観的にはすごいものを、
正確に測る手段である。

だからあなたのアイデアは、
どうしたって蒸発する。
夢から覚めるように。


使いなれたペンで、
メモは十分。

手が追い付かないのではない。
手が追い付いたら、
たいしたことなかったと判明するだけの話だ。
つまり、
言葉とは、
暗黒に光を当てる行為である。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、にする行為である。



問題はそのあとだ。
だからたいしたことない、と捨てるのか、
これを発展させると面白いぞ、
と考えられるか、
だと思う。

後者だけが、あとに伸びてゆく。
posted by おおおかとしひこ at 16:40| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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