2018年01月12日

【薙刀式】子供のような発想でつくった

カタナ式のときもそうだったけど、
薙刀式も、子供のような疑問をして、
それを解決するようにつくったつもりだ。


・なんでエンターと BSを小指で押さなあかんの?遠いやん。痛いやん。
→親指エンターでデフォルトの右親指の位置、変換キーへ。
BSはカタナ式と同じ、右人差し指上段に。

日本語入力をするうえで、エンターキーは、
英文ならば段落改行にしか使わないが、
変換確定にたくさん使う。

文章書いてる途中、変換がOKならエンターを押さずに次の入力を始めることで、
確定の代用になるから、毎回エンターが必要なわけではない。
しかし単語単位の変換確定、ひらがなで確定など、使わないわけではない。
カタナ式と同様、「。確定」を用意したので、
文末ならばエンターを使わなくても良い。
(極端には、一文入力し変換してOKなら「。確定」で確定させられる)
とはいえ、勢いよく書いているときでないとき、
修正しながら書いているとき、
あと検索するときなどは、
単語単位の確定が必要だ。

その時に小指を出張させるのは、
「自分の意思を言葉に乗せる」こととして、
役不足であるとずっと考えていた。
単純に痛いし。
カタナ式ではN位置にエンター、そのシフトに「。確定」
としていたが、カナ配列ではカナが多いので、「。確定」は残して、
親指エンターとした。
(この親指エンターは、下駄配列、新下駄配列のkouyさんに影響を受けている。
慣れたらめっちゃ便利)

BSは、試行錯誤しながら文章を整えていく、
僕の文章の組み立てには必需品だ。
小指が遠いねん!痛い!と毎回思っていた。
ctrl+hなどに置く手もあるけど、二打は嫌だった。
消しゴムはすっと出て欲しい。
U位置は文字を配置するには打ちにくいが、
訂正するときのゆっくりさで使うには丁度いい近さだと思う。
カタナ式で採用して以来、薙刀式でも採用。

さらば、小指エンター BS、二打のエンター BS!


・なんで矢印キー遠いん?
→左右だけ近くにできました。上下は編集モードのショートカットで。

文章の行きたいところに移動するカーソルキーなら、
まだ遠くにあるのは分かる。
でも漢字変換中の、候補選択や文節伸長にカーソルを使うとき、
なんで遠くに出張せなあかんのや?
「私の変換に従え。従えない場合は遠くまで出張せよ」
という傲慢を感じる。
ばかやろう。俺が主体でお前は道具だ。俺に手間をかけさせんな。

ということで、候補選択の左右はどうにかしてTY位置に残せた。
(薙刀式はカタナ式と同様、縦書き原稿を想定)
カタナ式では全面的に中央に十字カーソルに出来たのだが、
カナの多さによって、上下は含めなかったです。
ここは薙刀式の欠点とすら考えている。

その代わりカタナ式の編集モードは、
上下やシフト上下のバリエーションが豊富なので、
それを使うことにしてください。


・なんでシフト離さなあかんの?
→連続シフト。

親指シフト(ニコラ配列)を始めて調べたとき、
「シフトやのに押しっぱなしちゃうんかい」
と直感に反して疑問だった。
シフト文字が続くとき、毎回バシバシ押さなあかんのかと。

その先の親指シフト配列、飛鳥配列をマスターしようとした
(ブラインドタッチまでは出来たが、常用には至らなかった。
指の相性が悪かった)のは、
「シフトは押しっぱなしで効くし、シフト文字同士で打ちやすい連接を作っている」
というアイデアが合理的だったからだ。

ただ、右親指と左親指両方使うのに僕の記憶負担や指能力が追いつかず、
シンプルなセンターシフトを採用した。
でも一本親指だと25%のシフト率を賄いきれず
(しばらくやってみたが腱鞘炎に黄信号!)、
結局クロスシフトをマスターせざるを得ないのが、
これまた微妙な欠点だと感じている。

連続シフト中の連接では、
右手の「思う」(うはアンシフト)、「もの」がとても気に入っていて、
「本質的な言葉を右手に」の思想の体現にもなっていると考えている。
こういうのを崩せばシフト率は下がるんだろうけど…

これに比べ、濁音、半濁音小書き、拗音外来音の同時押しは、
毎回毎回バシバシ押す仕様とした。
「だが」「まじで」「自画自賛」などはうっとおしいが、そこまで連続はないと踏んでいる。


・なんでキーボードに書いてある字は、バラバラなん?
→右手:ある、ない、する、左手:して、こと、これ、それ、どれなど、
特別打ちやすい連接があり、それを骨格にしている。

初めてキーボードを見たのは小学生だったと思うけど、
この疑問はその時にも思ったし、
今あるどの配列を見ても思う。
「だってそのほうが合理的だから」というのはいい。
その合理とは何か?が重要だと考える。

qwertyローマ字の、英語には通用する論理が、
ローマ字で通用しないのは明白だ。
英語頻出がeで、日本語頻出はaだ。
合理は破綻している。

カナ配列における、
「頻出カナからホームに位置を占める」
という合理はとても分かる。
でもやっぱり、なんでバラバラに置くんやろ、
という素直な疑問は残っていた。

指さばきの合理って何だろう?
運動曲線の最適化はひとつある。
でも僕らはロボットじゃないんだ。
与えられた曲線に、意味がないと言葉じゃないと思うんだ。
この曲線が「ある」を示すと信じるから、
この信号に意味を託すんだ。

毛筆と同じように、僕は配列を扱いたいと考えた。

勿論、何を言葉の骨格にするかは、僕の感覚で、
「それは言葉の本質じゃない」という異論もあるだろう。
この骨格が気に入った人はどうぞお使いください、
という感じだ。

意味のない合理曲線から、
意味を伴う合理曲線へ。

飛鳥配列、星配列が先駆者であると思う。
薙刀式は、その合理曲線を、片手の二連アルペジオに見出しているのが、
特色であると思う。

左右交互打鍵は、左右がどんなにバラバラでも速いのかな。
僕は不器用なので、そこまで極めきれない。
だとすると、楽なアルペジオに、本質が欲しいと思ったんだ。
あとは指使用度の問題になるだろう。

右手人差し指に「あ」が欲しいのは僕の拘り。
人差し指同時押しで濁音にすることで、
人差し指ホームが最大頻度に調整してあるのは、
後付けのテクニカルな部分だ。



・なんで一拍一打でけへんの?
なんで一拍一打用の「別の」組み合わせ覚えなあかんの?
→「し」と「よ」同時押しで「しょ」を実現。
「ティ」も「トゥ」も「ヴェ」も「ジェ」も全部、
一文字目+二文字目の同時押し(濁音なら濁音キーも同時押し)や!

下駄配列の拗音一発同時押しは、革命だったと思う。
この気持ち良さに一回慣れると、
他のカナ配列の、二打で拗音打つのがアホらしく見えてくる。
しかしこの快適さのトレードオフは、
覚えることの困難さだ。
実際のところ、僕は下駄配列の拗音同時押しを全部マスター出来ていない。

ちなみに拗音同時押しは下駄、新下駄の専売特許ではなく、
姫踊子草かな配列、蜂蜜小梅配列でも実現している。
下駄配列の拗音は、全く関係ない2キーの同時押しにする代わりに、
規則的配置にしてあるが、
後者二つの拗音は、
拗音化するイ段カナと、規則的配置の無関係キーの同時押しで、
記憶負担を減らし直感的にする工夫があった。
(その代わり、イ段カナは全て右手側という制約が出た)

ここまでの説明を聞いて思ったのだ。
「しゃ」「しゅ」「しょ」が、
「し」「や」同時押し、「し」「ゆ」同時押し、「し」「よ」同時押しでないのは、
なぜか?と。

「しょうがない」と「しようがない」を打ち分けるのが困難だからか?と。
しかし下駄配列の同時押しを経験した僕は、
「ロールオーバーしなければ大体いける」を、
指で理解していたので、
そこはあまり問題じゃないなと考えている。
(僕はまだ秒2打程度なので、たとえば秒5打くらいになると、
分離できないことになる可能性もあると思う。
それは薙刀式の限界だということだろう。
僕はタイパーではないので、
「指が喋る速度」くらいまでいければ十分と考えている。
分速180カナで秒3打、分速200カナで秒3.3打だから、
まあその辺なら大丈夫かなあと見積もっている)

それに、そもそも拗音の出現率って3%くらいなんでしょ?
ミスしたって直せばいいんじゃない?
BSは近いんだし。
パッと打てる快感が、ミスの恐怖を上回ればよし、
と僕は考えている。


実のところをいうと、この拗音外来音同時押しは、
薙刀式には最初なかった。
濁音同時押しと、半濁音小書き同時押ししかなかった。
JISカナだって新JISだって月だって、
小書きカナの二打で割り切ってるから、
その潔さで押す手もあったと思う。

でも、「しょう」を一連のアルペジオみたいな感じで打てないかなあと思って、
同時押しを思いついてしまったのだ。
「やゆよ」の位置は100回くらい動いた。
イ段カナも沢山動いた。
「本質の言葉の骨格」に影響を与えるかどうか、
どこまでを許容するかも大分悩んだ。
今はいいところのバランスだと考えている。

あと工夫したところがあって、
「やゆよ」は全部シフト文字なんだよね。
だから「しょうがない」と「しようがない」だと、
後者は「よ」のシフトを押す分、ちょっと遅くなる。
だから、同時押し(シフト不要。押してもいいが)との分離は、
出来るんじゃないかと楽観的に考えている。
「しやがれ」と「しゃがれ」とかね。

ただ「い」「う」は単打なので、
「てい」が「ティ」、「どう」が「ドゥ」になることは、
たまにあります。
それもロールオーバーに気をつければ防げるので、
実用上大丈夫かなと。
タイピングノーミス最速は目指してないので、間違ったら直したらええ。
間違ったままはあかんけど、直すならOKや。
それが人生や。



・みんな小指器用なん?
→俺はタイピストじゃねえ。人差し指中指だけを使いたい。

カタナ式では、左薬指小指、右小指不使用に成功。
それは文字数が少ないローマ字だからできた工夫だ。
打鍵数を減らす代わりに文字種の多いカナ配列では、
8本指を使わざるを得なかった。
(薙刀式が改訂するとしたら、次は薬指小指不使用にチャレンジするときだ)
しかし今のところ、
人差し指中指合計4本使用率78%なので、
いいところまで来たと考えている。
小指左2%、右3%は、なかなかのお気に入り。



・記号ほしいけど、全部いる?
→編集モードで対応。ないやつは読みから変換。

カタナ式同様、薙刀式の用途は「物語を書く」である。
プログラミングのように記号を多用する目的は想定していない。
そもそも縦書き想定だ。

なので、
「」(カギカッコ開く閉じる一文字戻る)
『』()(同)
……(三点リーダ二文字組。出版対応)
?!
○(脚本のシーン記号)

だけは編集モードに格納してある。

あとはいらん、という割り切り。
ないやつは読みから変換、という割り切り。
でも:と/くらいは欲しいかなあ。
カタナ式ではあったけど、カナが多くて無理でした。





世の中には色んな言葉を書く用途がある。
それぞれに特化した配列があってもいいじゃないか。
カタナ式はそう考えて、
ローマ字で書くときの、物語執筆専用配列として作った。

「なるべく内容を考えたいから、
タイピングは最小の負担にしたい」という要求だ。

変換操作や修正は楽にしたいし、
人差し指中指だけを使いたいし、
よく使う記号もほしいし、
修正用のショートカットもすぐ出る所にほしい。

薙刀式はそのカナ配列版だ。
小説家、脚本家を、
デジタルの面倒から解き放ちたい。
(普通の人も使いやすいと思う。
横書き用は改造すればすぐ作れる。
要望があれば作ります)



・なんで万年筆で書かへんの?
→これでも気に食わなければ、万年筆を買うかも知れない。
デジタイズは若手にやらせる。
自分で出来るマックスの工夫は、ここまではやった。
posted by おおおかとしひこ at 13:05| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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