小道具の使い方のつづき。
象徴として使うこと。
これもメッセージの時と同様、
「台詞で言えば時間のかかる含みを、
1秒で表現する」ことに向いている。
たとえば、
「反乱軍の旗」が分かりやすい。
大きな権力がおかしいと考える有志たちが、
その旗のもとに集う、
というのは、象徴表現だ。
あるいは、なんとなく集まっているメンバーが、
「旗つくろうぜ」と、
象徴を作ることも出来る。
そのロゴを身につけて、
そのメンバーであることの誇りや、
その思想としての生き方の宣伝をする、
ということもある。
(会社のブランディング、宗教など。
ブランドとは、もと牛の所有者を示す、
焼印のことだ)
で、ここからが重要なのだが、
小道具として、一度物理的な物体になったからには、
それを目的語として、
動詞を使うことが出来るのだ。
たとえば、
反乱軍の旗を燃やせば、
「反乱軍を滅亡させるぞ」という意思表現になる。
あるいは、メンバー達が反乱軍の旗を引き裂けば、
反乱軍の分裂または解散を意味出来る。
前のリーダーの引退式で、
次のリーダーに旗を渡せば、
この思想を継いでくれ、確かに受け取った、
という二人の意思表現になる。
また、反乱軍の旗を新しいデザインにすれば、
「新しく反乱軍は生まれ変わる」を暗示出来るし、
それに対して古いデザインの反乱軍の旗を掲げる者がいれば、
「新しい反乱軍は変わってしまった。
我々は反乱軍設立当初の意思を継ぐ原理主義者である」
ということを示すことが出来るだろう。
あるいは反乱軍の旗をリーダーが畳めば、
文字通り「反乱軍を畳む」を示すことが出来る。
かように、
一つの象徴小道具を巡って、
多様な動詞表現をすることが出来る。
これが小道具の面白さだ。
「旗なんかただの布」と言ってしまえるが、
そこに意味が生じたとき、
布では済まないのだ。
僕の好きなシチュエーションに、
「好きな彼が使っている大きなピアノを、
こっそり使ってみる」なんてやつがある。
間接的に彼に触れる表現だ。
ピアノはただの楽器ではなく、
彼の象徴になるわけだね。
モノに魂が宿るかどうかは分からないが、
私たちは「宿る」ことを前提にしている。
象徴小道具は、それに使える。
師匠の使っていた刀とか、分かりやすいよね。
勿論、現実でも似たようなことがあるから、
これを使えるわけだ。
だが映像における表現は、
現実を越えて架空までいける。
一回そうだと設定すれば、
その世界の中ではそういう約束になる。
反乱軍の旗は現実にもあるから説明不要だが、
「我々の意思や思想をこのUSBメモリに入れ、
それぞれが持とう」と一旦設定したら、
そのメモリをなくすことや、
盗まれることや、
破壊することなどで、
反乱軍の何かを象徴する小道具に使うことが出来る。
旗と同様に扱えるわけだ。
全ては設定次第だ。
コツだけど、
「ちょっと無理があるなあ」という設定ほど、
最初に設定すると良い。
「これはこういう世界」を徹底すればよい。
「これはこういう世界」は、
複数用意しないほうがいい。
大嘘は一つ。
アバンストラッシュとか、オーロラエクスキューションとか
KYKYさんコメントありがとうございます。
そうですね。一種の小道具として使えると思います。
ただ、
たとえば、
「師匠の技には欠陥があって、
旧式だと馬鹿にされていたのだが、
弟子が密かに改良していて、
その欠点を克服し、汚名を回復させる」
なんて風に、ストーリーと絡んで、
はじめて小道具になるんじゃないでしょうか。
ストーリーに絡まないなら、
伝説の聖剣だってただのガワでしかない。
(たとえば白朧剣の「輪廻転生を止める」という面白い設定は、
ストーリーには利用されないので、ただのガワであり、
小道具のビジュアルだが小道具のレベルではない)
オーロラエクスキューションはそういうのあったっけ。
なかったから、オレあんまり好きじゃない。
それよりも「シグルイ」の流れ星のほうが好きですね。
直接ストーリーに関係してくるので。
勉強になりました。
返信ありがとうございました。