2018年01月27日

クライマックスの組み立て

クライマックスは、大抵長いシーンになる。


クライマックスがたったワンシーンということはない。
大抵はいくつかのシーンにまたがった、
比較的長く緊張感の続く、
一連のシーンとなる(シーンシークエンス)。
勿論30分ワンシーン、みたいなこともあるかもしれないが。

だから普通のシーンを書く時より、
格別な準備が必要になる。

といっても、
長いシーンシークエンスを書く時と同じで、
準備(設定)、展開、結末の3ブロックを作り、
焦点の設定とターニングポイントで強力に誘導し、
最後まで緊張を途切れさせずに結末に突っ走ればいいだけのこと。

つまり、クライマックス自体が、
一つのストーリーとして優秀であればよいわけだ。

ストーリーというのは入れ子構造である。

全体がみっつに別れ、
設定、展開、結末になるとすれば、
設定パートの中に、
設定、展開、結末(完全決着ではなく、続くの形式)
があり、
またそれぞれのパートの中に、
設定、展開、結末があり、
またそれぞれのパートの中に…
という構造になっている。

何階層あるのかはストーリーによるし、
きっちり分かれずに同時進行している時もあるし、
主人公のストーリーだけでなく、
サブストーリーが走る場合もある。

それと同じことが、
クライマックスの、長い一連のシーンで、
行われるだけの話である。

たったひとつ違うのは、
クライマックスの結末が、
「続く」ならない結末の、
「おしまい」になる結末である、
ということだ。

僕は、その、
ストーリー全部が解決するその瞬間をピークにせよ、
と言ってきた。
つまり、その山に向けて、
これまでの伏線が全て集結するように、
クライマックスを作って行くと良いだろう。

主人公のストーリーだけでなく、
サブキャラクターのサブプロットも完結するから、
その糸の編み上げも忘れないことだ。

主人公に注目しているのは勿論だけど、
サブキャラクターのアレに注目している人も沢山いる。
それをないがしろにせず、
全てがうまくいくような、
序破急を、クライマックスに作って行くと良い。


なんのことはない。
クライマックスといえど、
ただ、ストーリーを書くことをすれば良いのである。

僕が普段短編を勧めるのも、
クライマックスが一つの短編を書くのと、
似たようなことだからかもしれない。

たとえば2時間におけるクライマックスが、
20分ないし30分だとすれば、
その短編を書くようなものだと思うとよいだろう。


とはいえ、直前の第二ターニングポイントで、
坂道を転がる勢いはついているから、
そのまま一気に勢いよくいけば、
結末まで突っ走れる。
逆にその勢いで、取りこぼしがないように、
綿密な準備を欠かさないことだ。

ただ、
クライマックスが苦手だという人はあんまりいないと思う。
思う存分、才能を爆発させれば、
大体はいいクライマックスになる。

ピークへ。
山で言えば最後のアタックだ。

ピークが終わった後の下山、
後日談はワンシーンぐらいに留めよう。
もう書くことがないくらいにクライマックスで書ききり、
あと少しの余韻を、
ラストシーンで描くとよい。
posted by おおおかとしひこ at 14:52| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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