この場合の「絵になる」は、
「いい絵が出来る」ということではなく、
「抽象的だったものが、具体的な絵を生む」
というレベルでの「絵に成る」
ということで議論する。
逆に、「分りにくい」とはどういうことだろうか。
「絵として想像できない」
ということではないだろうか。
政治の仕組みは分りにくい。
法律の仕組みも分りにくい。
わざと庶民に分かりにくくして、
ツッコミをさけているんじゃないかとすら思う。
数学も分かりにくいものの代表だ。
相対性理論なんてちんぷんかんぷんだ。
しかしあなたは、
物語の中で説明をしなければならないことが多い。
政治や法律の仕組みを分からせる必要はないが、
ストーリーに直接かかわる部分については、
分かりやすく説明する必要がある。
で、
それは、
「絵で説明できるようにする」といいよ、
ということだ。
たとえば、
「高くて、誰もが落ちたら死ぬ崖」
を説明したかったら、
「誰かが落ちて死ぬ」
という場面を作るのがよい。
「この薬を飲むと死ぬ」
を説明したかったら、
誰かが誤って飲み、
のたうち回って死ぬ場面を書くと良い。
そうやって、
なるべく説明を減らしていくと良い。
問題は、説明がややこしくて、
言葉による説明しかないときだ。
これも考えるのだ。
「絵で説明できるように、
物事を簡単に出来ないか?」と。
複雑な仕組みの説明では、
必ず絵を描いて人は理解する。
「借金の仕組み」とか、
「ワークフロー」とか、
「組織図」とか。
その絵を作る過程で理解や記憶が進むことがあるので、
教科書にある図は、
一度何も見ずに描いてみる、
という訓練が受験生にはおすすめだ。
(受験生はここを読んでないか)
つまり、「絵は理解」で「理解は絵」だ、
と言おうとしている。
逆に、「絵で理解できないこと」は、
「分かりにくい」ということ。
相対性理論は複雑で、
理解には時間がかかるが、
「地球を出発した、亜光速で進む宇宙船と通信すると、
向こうの時間が遅れて見える」
というシーンを見せられれば、
一発で何が起こっているか、理解できる。
それがどうして起こっているかは謎でも、
すくなくとも「何が起こっているか」は理解できる。
「通信速度が、宇宙のスケールから見ると遅い」
「光が遅い」
という理解でもいいと思う。
勿論この場合は「光」は想像の中にいるが、
想像の中で光が宇宙の中を進んでいる「絵」は浮かぶ。
政治や法律や数学が理解がむずかしいのは、
このような「絵」が浮かびにくいものを扱っているからである。
もっと簡単にいうと、
抽象的なものを理解することはむずかしく、
具体的なものを理解することは簡単だ。
だから、「例を示す」というのは、
抽象的なことの説明に、
具体を持ち込む行為である。
崖は落ちたら死ぬことくらい想像の絵の中にあるが、
この薬は即死であるかどうかは、
具体がないと想像できない。
「飲むと即死だ」と説明されても、
具体を見るまで、
ほんとうにその危険を理解することはないだろう。
我々が津波の危険の警鐘をされながら、
実際の東北の津波を見るまで、
その恐怖を想像できなかったように。
実際の絵で示すのがベストだけど、
別のものに置き換えることもできる。
「脳は豆腐にたとえることが出来る。
ノックアウトするのは、こうすることさ」
と、水の中の豆腐を揺らし、
入れ物にぶつけるシーンを見せると、
我々は、
ノックアウトのときに何が起こっているのか、
「理解できる」というわけだ。
(脳は見れないからね)
いま思えば、
津波に警鐘を鳴らしたかったら、
それを水槽模型で再現すればよかったんだよね。
我々は津波を、単なる高波だと思っていた。
見たことないから。
でもそれは「大きく水の塊が来ること」
だと、見て初めて知った。
すぐ終わらない水の塊だと知るためには、
水槽で塊を移動させる示演をすれば、
我々は津波を「理解」できただろう。
たとえ話が説明で有効なのは、
「絵」が浮かびやすくするためである。
たとえ抽象的なものでも、
具体に落とせるからだ。
ビットコインは抽象にすぎないが、
「仮想通貨」と、「通貨」の具体を得ると、
なんだか理解した気になる。
具体の力は大きい。
もっとも、実際にこれは通貨としては機能してないから、
実体のない先物取引であることは、
抽象で考えればわかること。
今回の仮想通貨バブルおよび暴落は、
「数を呼んで釣り上げて、
価値が上がったところで売り抜ける」という、
単なる仕手戦であったことくらい、
誰でも分ることだろう。
これの「通貨という間違った理解をさせること」
そのものが、悪辣な詐欺であると思う。
つまり、
ビットコイン詐欺から我々が学ぶことは、
「具体を使って嘘の説明をすることが出来る」
ということだ。
ビットコイン詐欺はほとんどねずみ講と同じだ。
ねずみ講も、
「誰でも知り合いは〇人くらいいる」
という嘘の具体イメージを作る。
実体は、〇を何乗かするとすぐ日本の国民の数を超えるというのに。
(日本人全体が、
3ステップくらいの知りあいで繋がるという仮説がある)
つまり、
具体の説明は、抽象の「全ての説明」でなくてよい。
「使うところだけの理解」さえあればよい。
ビットコインは悪意をもって具体の説明をしたが、
我々の説明はどうだろうか。
うまく観客をだますことに使ってもよいし、
時間を省略して、
スムーズに本編に入る手助けをしてもいい。
まず説明が下手なら、
「それがどういう絵になっているか」
を考えてみてはどうか。
その絵の共有が、理解だと思うといいよ。
2018年02月05日
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