調べることが困難だからだ。検索ワードを思いつけないからである。
たとえば僕が使った検索ワードを並べてみる。
「キーボード 変更」「キー 変更」「キーアサイン 変更」
「キーバインド 設定 変更」「変態配列」
「qwerty配列」「qwerty以外の配列」
「キー配列」「キー配列 変更」「キー配列 変える」
「キー配列 アレンジ」「腱鞘炎 キー配列」
「ブラインドタッチ やり方」「親指シフト 亜種」
これくらいで、ようやく、
「キー配列にはさまざまなものが発明されていて、
親指シフト以外にもシフト方式や配列違いがあり、
それらを実装するにも複数の方法があり、
それらを議論している人たちがいる」
ということに気づくことができるわけだ。
まずこれを「キー配列」というのだ、
ということすら、知らなければ検索ワードに出てこない。
先人たちの工夫は、
その言葉を知らない限りたどり着くことは出来ない。
それを検索ワードに出来るということは、
ある程度それに対して知識が必要だ。
グーグルに、
「Aのキーを人差し指で打てる方法」
なんて聞いても、カタナ式がヒットすることはないだろう。
「キー配列 行段系」でググれて初めてたどり着けるかも知れない。
同様に、
「しとよを同時に押してしょが出る配列」
なんてワードでは薙刀式にたどり着けない。
「拗音シフト」で検索して、
たとえば新下駄配列がヒットする程度だろうね。
これらの専門用語を知るための検索、
というのは、検索慣れしていれば出来る。
アットランダムに普通の言葉で検索して、
専門用語を一つずつ覚え、
その言葉で検索をかけていけば精度は上がる。
勿論代表的なページからリンクが貼ってあれば、
それもチェックする。
調べものの基礎だけど、
それを続けるには問題意識がないと出来ない。
僕は、
「qwertyローマ字はAの小指が理不尽である、
あとエンターBSの小指も理不尽」
という義憤があったので、
「これを解決するやり方ぐらいあんだろ、
だってキーを変更すりゃ出来るから。
どこかにこれらを解消した工夫をしている人がいるはずだ」
という予測を元に検索し、
「キー配列」という言葉を知ったようなものだ。
その時は「今このやり方」が「qwertyローマ字入力」
であるという認識すらなかった。
言葉を知ることは、物事を相対化することだ。
「今あるこのやり方」が一つであるならば、
「今あるこのやり方」には名前がつかない。
「他のやり方」が存在して、
初めて名前をつけて人は区別する。
入力方法がローマ字かカナかしかない、
と普通の人は思う。
今ここにあるキーボードが、
qwerty配列であることも知らないし、
(つまりはdvorakやcolemakもあるのだが)
親指シフトがあることも知らない。
せいぜい、PCかフリックか、
という違いくらいだろう。
PCのキーボードは使いにくい、
と、フリックの立場から文句を言うくらいしか、
多分出来ないだろうね。
(ちなみにAndroidとiPhoneでフリックの仕様が微妙に異なることすら、
知られていない。僕はAndroidのほうが優秀だと思う)
どうやって長文を書くのか?
フリックでは書けない。
つまり、キー配列のせいで、
日本人は馬鹿になっているんだよな。
勿論、これを憂慮したキー配列作者たちが、
様々な工夫をしてきた。
(生涯をかけた人もいる)
しかし悲しいかな、そこへたどり着く方法がない。
そもそも問題だとすら認識できないこと。
言葉を知ることができないこと。
(勿論そのあとに、
どれがいいのか比較検討すること、
実装するためのインストールなどをすること、
そして実際にブラインドタッチでマスターすること、
などの高いハードルが沢山ある)
デジタルは、暗黒大陸を発見することが出来ない。
見えないものを隠蔽する性質がある。
なぜ人はキー配列を変えようとしないのか?
変えるという発想にたどり着けないからだ。
台所の調味料の位置や、
壁紙や、
パレットの色の位置は変えるくせに。
変えたら物理的な印字が変わる、
という問題は別にある。
印字なんていらない、という発想にたどり着くには、
ブラインドタッチのマスターが必要で、
これまたハードルが高い。
実際に良配列を学べば、
qwertyのブラインドを覚えるより遥かに楽なんだが、
それだけのエネルギーを持っている人はなかなかいない。
僕は、作家やその卵に向けて、
一連の配列記事を書いている。
モノを書こうという情熱がないと、
ここまでケアしないだろうから。
一度こういうことに目覚めると、
家電のスイッチや車の操作体系とかも、
気になりだすよね。
僕は武術経験者なので、
多少は武器を使える。
よく考え得られた用途と、それに適した形に感心する。
カタナ式や薙刀式と、武器の名前をつけたのも、
配列もそうであってほしいという願いからである。
文豪が万年筆にこだわらないわけがない。
キーボードと、その配列も同じくだ。
2018年02月16日
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