2018年02月20日

強い話にするコツ

話が弱いとき。
キャラクターや設定や世界観はいいのに、
ストーリーが弱いとき、どうすればいいのか。

「どうしてもそうしたい」を強めるとよい。


そもそも矛盾や無理やご都合のあるストーリーならば、
まずその破綻を繕うべきである。
おかしな点のあるストーリーは、
味わう以前に、出来ていない。

それが出来ている話になったとしても、
弱い、薄味のストーリーのときがある。

なんかピリッとしないとか、
感情移入が浅いとか、
観客としての自分の感情の振れ幅が小さいとか、
笑えないとか泣けないとか対して切なくないとかハラハラしないとか、
その焦点にいまいち乗れないとか、
ターニングポイントでグッとこないとか。

弱いからといって強めようと、
ちょっと泣くのを号泣させてみたり、
微笑むのを爆笑させてみたり、
平熱の所をテンションを上げてみたり、
してもだめだ。
滑る一方である。

そのストーリーに相応しいテンションにしか、
人はならない。

じゃあ、ストーリー自体のテンションを上げるのである。


ストーリーとは、問題の解決行為である。
そのテンションを上げる。

やり方には二つあって、
前からと後ろからだ。

前からというのは、
その解決行為をどうしてもしたい、
というテンションの上げ方をするのである。

つまりモチベーション(動機)である。
それが是非ともやりたかったことであるとか、
ものすごくリターンが大きいとか、
それをすることに運命や使命を感じるとか、
それを巨大化させるようなエピソードを考え出すのである。

ただ主人公のテンションを上げるのではなく、
そのようになるエピソードを追加することが必要だと思う。
説明一行で済むならそれもある。

なぜそんなにそれをしようと思うのか、
について、自然な理由があればよい。
ああ、そんなにもそれをそうしたいのは、
それがあるからだよね、
ということに納得できれば、
その強いテンションに乗ることができる。

納得できなければ、滑る。

主人公がなぜそのヒロインにそんなに惚れるのか。
ヒロインがなぜその主人公にそんなに惚れるのか。
主人公の復讐の強い動機。
悪が悪を実行する強い動機。

それは最初にエピソードとしてあってもよいし、
なんでそんなに必死なんだ、と思わせておいて、
あとから明かすパターンでもよい。

その強い動機に矛盾がなく、
滑っていなければよい。

勿論、登場人物によって、
ムラがあってもよい。
この人が軽くいったことを、
その人は物凄く真剣に受け止めてしまい、
なんてことは現実によくあることだ。
その認識のギャップは、ストーリーの原動力になる。
違いがあること=コンフリクト(衝突)だからである。

そもそも誰も動機が強くなければ、
話はなあなあになる。
あ、はい、そんな感じで、
いや、まあ、どっちでもいいんですけど、できれば、
あ、そうですか、じゃいいです…
みたいになってしまう。

俺の命と引き換えにこうしたいんだ、
とまで行くのが理想だ。


後ろから動機を強くするのは、
「それをしない場合」のリスクを高めることである。
どうしても家から外に出したければ、
火をつければよい。

引きこもりの子を立ち直らせる話を作るなら、
説得するだけでなんとかなるかもしれないが、
おそらく弱い話になる。
それを強くするには、危険を引き上げる。
部屋からどうしても出なければいけない状況を作る。
母親に火をつけさせればよいのだ。

「〇〇しなさい、さもないと」の、
「命令形, or」の英語の形がわかりやすい。

「〇〇しろ、さもないと家族を殺す」は最もよくある強制だ。
「秘密をバラすぞ」の脅迫もよくある。
あるいは時間的締め切りはよくある。
「一週間以内に退去のこと」
「明日までに提出」
「3分以内に」
「一行で」
などなど、いくらでも制限をきつくすることはできる。

あるいは、ハードルを高くする。
スキージャンプが、もし崖から崖に飛ばなければならないとしたら、
と想像してみよう。
そういうリスクの上げ方を試みても良い。
ただの脅迫を、とんでもない悪党の巧みな精神攻撃に変えてもよいし、
小さな要求がどんどん膨れ上がってエスカレートさせてもよい。

さもないと〇〇の、〇〇をどんどん釣り上げていくのである。


あなたの弱いストーリーは、
これらを強化することで、
強くなる可能性がある。

勿論、矛盾したり無理があったりおかしな部分があったり、
滑っているのは論外だ。
より強くはげしくドキドキするように、
感情の振れ幅が大きくなるように、
ヒリヒリした緊張感を持ち込まなくてはならない。
それには、
いくつかのエピソードを足したり、
設定の変更が必要だろう。
強くするために根本的な軸足の変更が必要になるかもしれない。

根本的な軸足を変えてまで強い話にするか、
軸足を変えたら別の話になってしまうと、
弱い話に固執するかは、あなたの判断である。

それには、そもそもあなたのストーリーが、
弱いのか強いのかを的確に冷静に客観的に見る目が必要で、
「他の面白い強い話と比べて、他の弱いつまらない話と比べて」
ランキング何位にいるか的確に批評できなければ、
そもそもの改変をすることが出来ないだろうが。
posted by おおおかとしひこ at 11:38| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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