2018年02月21日

その人が知らないこと

私たちは万能の人間ではない。
物語の中でも同じだ。
間違いもするし考えが足りない場合だってある。

しかし、その誤りには根拠があるはずだ。
たいていは、「知らないことがある」から起こる。



「全ての情報を知らない」ことが全ての前提であったりする。
世の中のこと全てを知ってるわけではないし、
常識の全てを知っているわけではない。

勿論、世間では「知らなかったで済まされない」
いくつかの常識はあるけれど、
そういうことさえ知らない人も存在する。
あなたもそうかもしれないし、
あなたの身近な人もそうかもしれないし、
電車で隣あわせたり取引先の相手がそうかも知れない。

そして、物語の中の登場人物もそうかもしれない。
あることは知っているが、
あることは知らないはずだ。

ということは、
「その人が知らないこと」を作ると、
話が面白くなるということだ。

知らないが故にする過ち、
知らないが故の誤解などは、
ひとつのプロットになりえる。

簡単な例では、都会を知らない田舎の人がやらかすやつだ。
未開の国からやってきた人が、
車をイノシシだと勘違いするコントは、
どこかで見たことがあるだろう。
そこまで大げさでなくとも、
たとえばエスカレーターでは右側に並ぶ常識の関西人が、
関東では左側に並ぶことを知らず、
右レーンを塞いでしまうというトラブルを描くことで、
プロットのきっかけを作ることができる。
(このことで誰かと口論し、新しい登場人物と知り合わせることも可能だし、
スナイパーが狙っている時に偶然邪魔になることもあるだろう)

あとは、「なぜそのことを知らないのか」
に、劇中で納得のいく理由があればよいだけだ。

「未開の国からきた」とか、
「右側に立つ関西人」が示されていれば、
それはスムーズに話が進むということである。


コンフリクトは他人と他人のギャップに起こる。
だから、「知識や常識が違うこと」を、
その原因にすることは、物語の根本であるのだ。

よくあるのは、外国人と結婚した時の、
数々のトラブルをネタにしたものだろう。



さて、
これらは、常識や知識に対して、のパターンであったが、
「劇中の情報やニュースを知らない」場合もある。
遅れて知らないとか、
あるいは知らされていない、
というパターンだ。

知らされていない、というのは、特に、
何故そうなのか、という理由があるはずだ。
そこに善意や悪意が存在し(動機)、
それが物語の駆動力になるわけである。

まだ知らされていないのにそれを知ってしまうことで、
ターニングポイントになる、
つまり新しい行動に出る、
という場面は作れるだろう。

そこに悪意や善意を感じれば、
反応や判断が出てくるはずだ。


その人は何を知らないのか?
そして何故それを知らないのか?
そこに「理由」があれば、
それは物語になる。
posted by おおおかとしひこ at 13:28| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。