読書するときに脳内で声がする人といない人がいる、
という調査が発表されて話題になった。
僕は思考でも、
脳内で声がする人といない人がいる、
と考えていて、
それが「書くこと」のスタイルを決めているのではと考えている。
ネットをさまよってみると、
思考で声がする人と、いない人がいるらしい。
常にそうだという人と、
状況によって違う人もいるそうだ。
読書時の脳内発声との関連については分っていない。
脳内発声が一種類の人もいれば、
複数の人もいるんだそうだ。
それは複数の人格を取る場合もあれば、
役割が違う自分の別面であることもあるそうだ。
で、これが自分の声ではないと認識できなくなってしまうことが、
「他人の声が脳内で聞こえる」という幻聴症状の正体ではないか、
という仮説が興味深かった。
統合失調症などの研究テーマのひとつになるかもしれない。
自分の声なのだが、一瞬認識できないとき、
たとえば危険が迫っているとき、
「にげろ!」なんて声が聞こえた、
あれは神様や守護霊の声だったのかも、
なんて神秘体験は、この中間の現象なのではないかな。
さらにちなみに、
聴覚障碍者の場合、
声が聞こえるはずもないので、
代わりに「手話で思考する」んだそうな。
視覚言語で思考が行われているんだなあと。
さて。
声が聞こえなくて思考する人のことを、
おそらく声で思考する人は、
想像できないんじゃないだろうか。
どうやって思考ができるんだと。
僕は聞こえない派だが、
なにか抽象的な、
もわもわしたもの(ときに硬いもの)が、
変形したり合体分離するようなイメージを想像してもらうのが、
一番近いかもしれない。
概念だけで考えていて、
それがどういうことかを外に出すときに、
言語化しているという感じだ。
(英語を覚えるとき、たとえば前置詞などは、
新しい思考のパーツをおぼえる、
みたいにしてマスターしていった)
そもそも思考とは言語によって行われると信じる人もいるだろうが、
非言語による思考も存在する。
代表的なのは、数学である。
2×3を考えよう。
最初は、「みかんを2個ずつ3人に配る」
という具体でイメージする。
しかし慣れて来ると、
これはみかんの時にも使えるし、
行と列を数えた時に全部でいくつかを計算するときにも使えるし、
2セットの筋トレを3回やったとき、
計何回やったことになるかを計算するときにも使える、
ということがわかるようになる。
これが、数字の抽象化である。
2や3のある具体的な場面から、
2や3という抽象概念だけ抽出して、
それが使えるどんな場面でもそれが適用できることを学べば、
抽象的な思考だけで、
具体はいらない、
ということを学ぶことが可能だ。
さらに進んだ高等数学は、
その具体イメージを必要としない。
代表的なものは虚数である。
それがどんなものかイメージしなくても、
虚数に関する演算は出来るし、
それを用いた物理法則の導出も可能だ。
(実際、相対性理論や波動方程式、
あるいはサイボーグの基礎となる機械制御理論では、
方程式中に虚数パートが混じっている)
つまり虚数は実体のない、
抽象概念である。
さらに進んだ数学では、
もはや具体的イメージが枷となることが多い。
N次元空間なんてイメージできないのは当然で、
その抽象性質だけを抽出して扱うのが高等数学だったりする。
算数や数学が苦手な人は、
この抽象だけの存在がイメージできず、
どうしても具体的なイメージが必要な人であると思う。
(たとえばイプシロンデルタ論法は、
具体から抽象に入る入り口かもしれない。
無限小なんてのは具体に存在しないからね)
で、脳内発声のある人と、
ない人の違いは、
ひょっとすると、
数学の得意不得意と、関係あるんじゃないか、
と仮説を立ててみるわけだ。
文系のことと理系のことが混ざっているこの領域は、
まだまだ解明されていないことが多い。
しかし解明を待っていては、
目の前にある「書くこと」をクリアできない。
思考に脳内発声がある人は、
ローマ字、親指シフト、音声入力をすればよいかも。
思考に脳内発声がない人は、
カナ入力、漢直入力、手書きをすればよいかも、
と単純な経験則で終わらせておく。
そういえば、
キー配列をいじってカナ配列をつくっていく行為は、
理系発のような気がする。
で、親指シフトの愛用者は、
文系に多い気がする。
数学と、関係しているような、いないような。
(2/22追記:
脳内発声を止ませる方法に、瞑想があるそうだ。
僕は小学校の頃から瞑想が得意だった。
中学高校で少林寺拳法をやっていたが、
禅宗の流れなので座禅も組まされた。
僕は創作の時に脳内発声が止むことを知っていたし、
座禅の時に脳内発声が止むことも知っていた。
これは、他の人は違うかも、と最近まで考えたことがなかったのだ)
2018年02月21日
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