とある配列をマスターするのに、どれくらいかかりますか?
という質問は、初心者ならしたくなるのは当然だ。
これはざっくり言うと、どれくらいの練習量が必要ですか?
と言う問いだ。
これを額面通りに受け取り、
「3日でマスターする人もいれば、三ヶ月かかる人もいるし、
半年かかる人もいる。正直どれくらい練習に割けるかにもよるしね」
と答えても、不安しか生まない。
初心者はイメージできないからだ。
僕は、
「1万字書けば配列は手が覚える。
5万字で実戦投入。10万字で大体マスター」
と、時間ではなく文字数で示したい。
自分が一体何字書いているのか、
自覚的な人は恐らくほとんどいない。
今まで食べたパンの数を覚えていない(ジョジョ)と同様に、
今まで書いた文字の数も把握していないだろう。
文字数を気にしたことのある人は、
卒論中の人か、
小説の応募か日常的に小説や評論を書く、
アマチュアやプロだけだと僕は思う。
僕はプロの脚本屋さんなので、
自分の書く文字数が、感覚でわかる。
車の車庫入れのように、
入るな、入らないな、こうすると入りそう、
入るわけないだろ、だいぶ余るぞ、
などが感覚でわかる。
そこまで分かるには数年から十年以上の鍛錬がいると思う。
で、パンを数えていないように、
文字数で生きていない人は、
一度文字数を数えてみましょう、
という提案である。
これは実に簡単で、
「その配列を練習するファイルをひとつに決めて、
そこでだけ書くことにして、
文字数を全部数える」
だけでよいわけだ。
僕は薙刀式を練習するにあたって、
練習ワードもマニュアルもブログの文面も、
思ったことのメモも、全部同じファイルに書いている。
必要なところだけコピペしてほかに写す。
その手間をかけるだけで、
あとは総文字数はエディタが出してくれるものだ。
(ワード、TATEditorならデフォルトで出ている。
iTextは選択して文書フォーマットコマンドを見ればよい。
メモ帳はあったっけ…)
正確に何文字、と出す必要はなくて、
行あたりの文字数が出れば、行数かければ概ねは出る。
これは、時間ではなく量で計測する方式である。
飛行機のパイロットを、
〇万時間飛行で測るか、〇万マイルで測るかの違いだ。
大きく両者がずれることはない、
という仮定は妥当(職業パイロットは定期的に飛んでいる)
と思われる。
つまり、あなたが配列マスター練習を定期的にやる限りは、
時間と量は概ね比例関係にあるわけだ。
1万字って大変じゃね?
って思う人は、多分パンを数えていない人だね。
僕のブログは大体平均2000字だから、
こんなんを5記事書いたらすぐ1万字だ。
仕事のメールは短文で500字、長文は1000字と見積もれば、
20通書く計算だ。
小説書きにとっては1万字なんかまだ第1章だろう。
一時間で3000字から5000字書く人は、世の中に沢山いる。
小学校のころ読書感想文を、
原稿用紙5枚でヒイヒイ言ってた記憶がある。
それも2000字で、それはこのブログ一記事程度だ。
なので、何日かかけて書く量が1万字、
というリアリティを見積もると良い。
で、ようやく本題。
その配列で1万字くらい書くと、
もう配列表を見なくても、指が大体覚える。
(レア文字は配列表の助けはいるかも)
ここに来るまでで、割と挫折する人が多いかもだ。
時間で考えると、
一日あたりの練習量が少ないと、
一ヶ月やったのに全然覚えられない!
なんて不満が出ることになる。
一ヶ月やって500字くらいしか書いてないなら、
そりゃ全然練習量が足りてない。
この段階は、「指を作る」段階だ。
頭の司令→指を動かす→キーを打つ、という回路から、
配列表を意識しなくても、指が勝手にそこへ行く、
という回路を作る段階である。
柔道でいうと、前方回転受身を、
まずは型通りに何回もやって、
そのうち無意識に体が動くようにする、
ようなことである。
野球で言えば、捕球から投げる一連の流れ動きを、
体が勝手にやるまで練習するようなものである。
つまり、「体が覚える」をする。
ブラインドタッチは、指とは言え、体が覚える行為である。
頭は文章を考えるのに100%使い、
どう打つかなんて考えない。
そこまで行くには体が覚えるしかない。
で、体が覚えるのは、反復(習慣)しかないんだよね。
筋トレと同様、神経の組み替えを人為的に起こすんだからね。
ブラインドタッチは根性で覚える、
と慣れを強調する人もいるけど、
それは根拠があって、
配列を覚えるのは暗記じゃなくて、身体の自動化だからなのだ。
なので結論は根性論になってしまう。
根性の裏にはこうした理屈があるんだけど。
で、時間じゃなくて量だ。
〇ヶ月野球部に入っていても、
ボール磨きや見学ばっかしてたら身につかない。
何球捕って何球投げたかの量で決まる。
ブラインドタッチ、配列のマスターも同じこと。
数字と習熟度の関係は僕の経験則で、
これは多少は人によってブレがあるかもしれないが、
10万字も書けば大体相殺されて平均化されるだろう
(中心極限定理)。
まずは1万字、その配列で打ってみたまえ。
勿論最初は文章じゃなくて、
中段(ホーム段)のキーだけで作られた、数文字の単語ばかりだろう。
1万字過程前半のほとんどは、
単語の組み合わせだろう。
それは外国語を覚えるのと大体同じだ。
第三外国語を覚えるような経験である。
それが片言の文になって来るのが、
大体1万字くらいじゃね?
というのが今回の趣旨である。
それが滑らかになってきて、
ゆっくりなりに通るようになってくるのが5万字くらいで、
以前使っていた配列に遜色ないくらいなのが、10万字くらいだろう、
という見積もりである。
10万字が8万字の人もいれば15万字の人もいるだろうけど、
目安はそういうことだ。
配列を変えて新しく覚えようなんて人は、
普段から文字を沢山書く人だ。
(あるいは腱鞘炎などで楽な入力方法を探しているかも)
僕は一日2000字以下しか書かない人は、
配列はローマ字やフリックや音声入力で十分だと思う。
3000、5000、毎日ではないが10000以上/日がある、
なんて人は、配列をより合理的なものに変えることをオススメする。
それだけの作業量に対して、
qwertyローマ字もJISカナも不合理が多すぎる。
qwertyローマ字時代、僕はずっと小指が痛かったし、
エンターやBSやカーソルの遠さにずっと腹が立っていた。
これを設計した人は1万字書いたことないだろと。
(渋滞で有名な首都高は、運転経験のない人が設計したそうである。
合流や分岐がスムーズにいかないのはそうした理由があると聞いた)
最低でも親指シフト(ニコラ配列)にした方が良くて、
さらにそれよりオススメの10配列がある(過去記事参照)。
それらを完全マスターして常用するのに、
大体10万字が基準じゃないかなあと。
自分の書く習慣と見比べれば、
練習時間を見積れるので、参考に。
僕は薙刀式作者というプレッシャーもあり(笑)、
二ヶ月で指が喋る速度に達した。
後半は一日に一万字書く日もあったし、
仕事が忙しい日は触ってない日もあるしで、
文字数で数えた方がいいと思った次第。
世の中の親指シフト挑戦記なんて見ていると、
〇日目、なんて表記をよく見るわりに、
マスターした!というハッピーエンドに大抵いっていない。
大体10日ぐらいで途切れてて、ダイエットが続かない人と同じ匂いがする。
〇グラム減、〇百字達成、とかの方がコツコツやれると思うんだけど。
2018年02月25日
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