2018年03月19日

キャラクターや設定は、ストーリーではない

さらに前記事の続き。
初心者は、キャラクターや世界の設定を思いつくのに精一杯で、
それだけでストーリーを思いついたような気になってしまう。
しかしそれ以上ストーリーを進めることができなくなり、たいていは挫折する。

キャラクターや設定はストーリーの本体ではない。
構成こそがストーリーの根幹である。
そう思うと、ストーリーの作り方が変わってくるだろう。


キャラクターができていなくても、
構成は作ることができる。
名前や設定がなくても、
「男」や「女2」や「母」や「医者」などと、
役名をつけるだけで、
構成は書くことができるからだ。
もちろん実際の執筆では、細かいことまでつくっていないとリアリティーが足りず、
細部に神が宿ることはないだろう。
しかし、ストーリーの根幹である構成そのものには、
キャラクターや設定が「ないといけない」ということはないことに気付こう。
次に何が起こるのか、
どうしてそれが起こるのか、
最後にはどうなるのか、
それ自体に、
特殊なキャラクターはぜひ必要であるわけではない。
(もちろん特殊な設定のキャラクターや世界設定が、
ストーリーそのものに影響してくるストーリーは、ある)


気を付けるべきことは、
キャラクターはリアクションをするしかしないことである。

キャラクターをつくるとき、
ついついこういう性格で、こういう見た目で、
こういう道具や能力で……などと、
「静的な設定」を考えがちである。
それができることは、
リアクションのみである。
「こういうことが起こる」ことに対して、
リアクションしかできない。
「次にこうしようと思う」ということは、
性格やキャラ設定からは出てこない。

キャラクターや世界設定は、
車にたとえることができる。
エンジンの性能や、タイヤの性能のようなものだ。
車だけあっても、ストーリーにはならない。
「どこへ行くべきか」という、旅こそがストーリーである。
つまり、構成とは、
どこへ行くのか、そこまでに何があるのか、
ということを決めることである。
旅のコースのようなことだ。
もちろん、その旅をする車によって、
速さや行程そのものは変わってしまうから、
キャラクターは大事だ。
しかし旅の目的地や、コースそのものは同じである。
(というか、そのコースをゆくのに最もふさわしい、
または最もふさわしくない車が選ばれるのが、
ストーリーというものだ)
その、目的地やコースのおおまかな部分を決めるのが、
構成を考える、ということになる。

つまり、構成を考えること自体に、
キャラクターや設定は必要ない。
ただし、細かい所を詰めていくには、
必要にはなってくる。
つまり構成をつくるうえでの後半にしか、
キャラクターは必要でしかない。

だから構成を考えるのが先であって、
キャラクターや世界をつくるのが先であるべきではない。

キャラクターや設定を作ってニヤニヤしていることは、
車は買ったがどこへもいかない、
ガレージの中の世界でしかないということだ。


構成をかんがえよう。
どこへ行くのか。
なにをするのか。
その次にどうなるのか。
最後にはどうなって、
それはどういう意味で終わるのか。

誰がそれを経験してもそれが面白いのが、
ストーリーというものである。
posted by おおおかとしひこ at 15:00| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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