2018年03月21日

その周りに誰がいるか

続き。
分量を増やしていこうとするとき、
サブプロットを増やすのが良いと思う。
メインプロットの段取りを増やしていってもいいが、
単に段階が増えてつまらなくなるだけのような気もする。
縦に広げず、横に広げる、
という意味で、サブプロットの増減を考えにいれるといい。


要するに、登場人物を増やす、ということである。
しかし単に増やしても混乱する。
そういう時は、
「周りにいる人はだれか」と問うとよい。

たとえば高校生が主人公なら、
いきなりアメリカ人を登場させたら話が変わってしまう。
どうしても登場させたいなら、
海外からの留学生にするとか、
その高校をインターナショナルスクールにしてしまうといいが。
つまり、ぽっと出にせずに、
「今までにあるものと関係しているようにする」
とよい。不自然ではなく、自然に世界になじめるだろう。

ここまで環境を変えないならば、
「周りにいる人はだれか」と問う。
主人公の周りにはどういう人がいるか?
親、兄弟、親戚、友達、その家族。
先生、その家族、校長や教育委員会、
電車通学なら運転手や駅員、
コンビニの店員、ラーメン屋の店長やバイト、
スーパー、文房具屋、ゲーセン、などなど、
生活圏内でかかわる人。
その中で、一番面白そうなところに、
スポットを当ててみるとよいのだ。

ランダムでは答えがないから、
どういう面白いサブプロットがあり得るか考えて、
面白そうになる人をピックアップするとよい。
そして、ここからが重要なのだが、
「それがテーマと関係していること」である。
単純にコンビニ店員の面白い話が仮に思いついたとしても、
その話が本編と全く関係ない話になるのなら、
それは意味がない。

たとえば高校生の主人公のメインプロットが、
自信を出して告白する話だとして、
思いついたコンビニ店員の話が、
宇宙人を捕獲する話だとしよう。
全然関係ない話なら、
それは二本の話が入っているだけのニコイチの物語にすぎず、
だったら二本書けばいいだけのことだ。

もし宇宙人の挿話が、
勇気を出す秘訣についての話なら、
メインプロットに絡んでくることだろう。
つまり、メインプロットに絡むような話なら、
それはサブプロットになりえる可能性がある。

ばらばらの話が入っているのは、
一本のストーリーとは言わない。
関係ない話が順番に、あるいはぶつ切りに入った、
ただのパックである。

逆に言うと、一本の話というのは、
そのようなテーマに関係あるいくつかの話が、
絡み合って進行するものであるといえる。

それらが、サブプロットといわれるものだ。

周りにいる人は誰か、
と問うことで、
サブプロットに値する人物を見つけることが可能になる。
いそうな人で、
かつテーマに関する出来事を起こせそうな人。

逆に、いそうな人をまず決めてしまい、
(たとえばコンビニの店員)
その人が抱えるテーマを、本テーマから逆算で決定するという手もある。
たとえば、コンビニの店員はとても自信があるが、
それゆえに偉そうであり、嫌われている、
という風に主人公と逆の立場であるように作る。
そうするとその二人が出会ったとき、
必ず化学反応が起こるはずだ。
コンビニの店員はなんでそんなに自信がないんだ、と怒るし、
高校生はなんであんたはそんなに偉そうなんだよ、
と嫌うだろう。
あとはこの二人を面白い出会い方をさせて、
主人公の本来のメインエピソード、
たとえば彼女に告白する場面に絡ませていけばよいわけだ。

単純な一直線の話が、
複雑に、紆余曲折があるようになってゆく。
同時に、同じテーマを描くのに、
多角的、重層的なものになってゆき、
厚みが出るようになる。

つまり、分量がふえ、
目的の長さを再び考え直せるようになるわけだ。

コンビニの店員じゃなければ、
喫茶店の店員でもいいし、
保険の先生でもいいし、
親でも親戚でも、親友の親戚でもいい。

その周りにいそうな人のエピソードを考え、
メインプロットに巻き込むようにするとよい。
そのときにその人物のエピソードが、
どうメインテーマと絡むのか、
考えていければOKだ。
(調整しても関係ない話になりそうならカットして、
別の物語にするとよいだろう)

魅力的なサブ人物は、
このようにして作られてゆく。
あまりにも近すぎて面白くないなら、
全然遠い世界と、
どうにかして出会うように話をもっていけばいいだけのことだ。
ストーリーの中では、
なんでも起こすことができるということを覚えておくことだ。
(面白ければOK。自然ならさらによい。
自然だが面白くないなら、面白くて不自然な方が勝ち)

殺人事件が起こると、警察が出てくるし、
弁護士や裁判官も出てくるだろう。
たいていのミステリーでは、
これらのサブ人物で賄っていることが多いわけだが、
それらを嫌って、突拍子もない人物を入れたって、
たとえばその場に巡業中のプロレスラーを入れても、
話が成立すればOKなわけだ。

想像力をはばたかせて、
周りに誰がいるかを考えよう。
posted by おおおかとしひこ at 10:39| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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