どうしたら、オリジナルでリアルな人間像が作れるのか。
「矛盾」を入れることだと僕は考えている。
人は完全ではない、とか、
人間には弱点がある、とか、
色々言うくせに、
あなたの書く人物は、
「完全」ではないだろうか。
つまり、道徳的で、正しく、
模範的で教科書的で、
首尾一貫した性格にはなっていないだろうか。
それは面白くない。
委員長キャラがつまらないのと同じだ。
最近つまらない物語が多いのは、
不道徳や無茶をする人物を出すと抗議が来るからで、
スポンサーのご機嫌を損ねないためである。
僕は別に抗議がきても面白いなら問題ないと考える。
人間は矛盾だらけで、そこの面白さこそが物語の魅力だからである。
角が丸まっている、無難な人物に魅力などない。
人間の面白さは、
学級委員長にはない。
不良に、普通に、できない人に、あるのだ。
しかし欠点があればいいというわけでもない。
僕は、矛盾があるといいと考えている。
たとえば、
品行方正にしようとするのに、
ついついさぼってしまったり、汚いことを考えてしまったり。
出来ないことだらけなのに、得意なことは抜群にできたり。
こうしたいのに、違うことを言ってしまったり。
理屈で考えれば正解なことでないことを、
人は言ったりしたり思っていたりする。
そしてそれらは矛盾しながら同居している。
その危ういバランスこそが、
人間の魅力ではないかと考えている。
つまり、静的に固定した人物など面白くもなんともない。
完成だからかもしれない。
常に揺れている人物にこそ、魅力がある。
それは、首尾一貫した性格や目的や行動と矛盾があるわけではない。
「矛盾を抱えたまま生きていて、
それが首尾一貫している」ができていることが肝心である、
と考えている。
矛盾に首尾一貫がある、というか。
言葉の矛盾だけど、
それが人間じゃないかなあと思っている。
理屈っぽいと思ったら、
意外なところがぬけているとか、
厳しいと思ったら、意外なところは甘いとか、
なんか完全でない、矛盾したものの同居が、
その人物を面白く見せると思う。
美女なのにどんくさい、などのギャップは、
つまりは矛盾を抱えているということだ。
外見と内面の矛盾では、ちょっと浅い。
内面の何かで、
矛盾を抱えたまま、その人なりに首尾一貫が成立しているようにつくると、
面白い人物像になると思う。
つまり、オリジナルな、
新しい矛盾をつくると、
そのキャラクターは人間味のある、
興味深い人間になる。
現実でも、完璧な人が人気が出るわけではない。
欠点だらけ、矛盾だろけなのに、
なんだか魅力があるから、人気なのだ。
つまりは、安定は人間の魅力ではない、
ということである。
かといって、常に不安定では面白くない。
矛盾があることに対してその本人はどう思っているのか、
どうしたいのか、というところまで詰めていくと、
そのキャラクターが急に現実にいるように感じるかもしれない。
なにとなにが矛盾しているのか?
なにとなにが齟齬をきたしているのか?
さっきはこういったくせに、今はこういうのはなぜか?
そこに「こういう矛盾があるから」と、
説明がつくようにそのキャラクターを作っていくと、
模範的ではない、リアルな人間の気持ちやリアクションがつくっていけると、
僕は考えている。
つまりは、キャラ設定に矛盾をつくるといい。
そしてそのキャラが、その矛盾にどう自覚的で、
今後どうしていきたいか、
どういう意見で自分を評価しているか、
をつくってゆくのである。
もちろんそれは、ストーリーの重要部分と関係してこないと、
それを利用したことにはならない、
ただの設定倒れになってくる。
それをどうストーリーの中で生かすかまで考えて、
初めて人間の面白さに迫ることになるだろう。
2018年03月27日
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