2018年03月27日

登場人物の魅力の作り方

どうしたら、オリジナルでリアルな人間像が作れるのか。
「矛盾」を入れることだと僕は考えている。


人は完全ではない、とか、
人間には弱点がある、とか、
色々言うくせに、
あなたの書く人物は、
「完全」ではないだろうか。

つまり、道徳的で、正しく、
模範的で教科書的で、
首尾一貫した性格にはなっていないだろうか。

それは面白くない。
委員長キャラがつまらないのと同じだ。

最近つまらない物語が多いのは、
不道徳や無茶をする人物を出すと抗議が来るからで、
スポンサーのご機嫌を損ねないためである。
僕は別に抗議がきても面白いなら問題ないと考える。
人間は矛盾だらけで、そこの面白さこそが物語の魅力だからである。
角が丸まっている、無難な人物に魅力などない。


人間の面白さは、
学級委員長にはない。
不良に、普通に、できない人に、あるのだ。

しかし欠点があればいいというわけでもない。

僕は、矛盾があるといいと考えている。

たとえば、
品行方正にしようとするのに、
ついついさぼってしまったり、汚いことを考えてしまったり。
出来ないことだらけなのに、得意なことは抜群にできたり。
こうしたいのに、違うことを言ってしまったり。

理屈で考えれば正解なことでないことを、
人は言ったりしたり思っていたりする。
そしてそれらは矛盾しながら同居している。

その危ういバランスこそが、
人間の魅力ではないかと考えている。

つまり、静的に固定した人物など面白くもなんともない。
完成だからかもしれない。
常に揺れている人物にこそ、魅力がある。

それは、首尾一貫した性格や目的や行動と矛盾があるわけではない。
「矛盾を抱えたまま生きていて、
それが首尾一貫している」ができていることが肝心である、
と考えている。
矛盾に首尾一貫がある、というか。
言葉の矛盾だけど、
それが人間じゃないかなあと思っている。

理屈っぽいと思ったら、
意外なところがぬけているとか、
厳しいと思ったら、意外なところは甘いとか、
なんか完全でない、矛盾したものの同居が、
その人物を面白く見せると思う。
美女なのにどんくさい、などのギャップは、
つまりは矛盾を抱えているということだ。

外見と内面の矛盾では、ちょっと浅い。
内面の何かで、
矛盾を抱えたまま、その人なりに首尾一貫が成立しているようにつくると、
面白い人物像になると思う。

つまり、オリジナルな、
新しい矛盾をつくると、
そのキャラクターは人間味のある、
興味深い人間になる。

現実でも、完璧な人が人気が出るわけではない。
欠点だらけ、矛盾だろけなのに、
なんだか魅力があるから、人気なのだ。

つまりは、安定は人間の魅力ではない、
ということである。

かといって、常に不安定では面白くない。
矛盾があることに対してその本人はどう思っているのか、
どうしたいのか、というところまで詰めていくと、
そのキャラクターが急に現実にいるように感じるかもしれない。

なにとなにが矛盾しているのか? 
なにとなにが齟齬をきたしているのか?
さっきはこういったくせに、今はこういうのはなぜか?
そこに「こういう矛盾があるから」と、
説明がつくようにそのキャラクターを作っていくと、
模範的ではない、リアルな人間の気持ちやリアクションがつくっていけると、
僕は考えている。


つまりは、キャラ設定に矛盾をつくるといい。
そしてそのキャラが、その矛盾にどう自覚的で、
今後どうしていきたいか、
どういう意見で自分を評価しているか、
をつくってゆくのである。

もちろんそれは、ストーリーの重要部分と関係してこないと、
それを利用したことにはならない、
ただの設定倒れになってくる。
それをどうストーリーの中で生かすかまで考えて、
初めて人間の面白さに迫ることになるだろう。
posted by おおおかとしひこ at 16:35| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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