2018年03月27日

【菊右衛門さんへの回答箱1】柱について

> 柱について。例えば、
>○(回想から戻って)ノイシュヴァンシュタイン城・ルートヴィヒ2世の寝室(日替・早朝)
> のように長くなってどうしても二行に渡ってしまう場合、どのように書けばいいのでしょうか? 台詞のように二行目は一文字空ける、などの特別なことが必要ですか?

一行に収めましょう。
色々なテクニックでかわします。



まず、

○(回想から戻って)ノイシュヴァンシュタイン城・ルートヴィヒ2世の寝室(日替・早朝)

の、
(回想から戻って)
の部分は、ト書きに出せます。

〇柱

   回想から戻って。
ルートヴィヒ「……」

などのように書けます。


「ノイシュバンシュタイン城」のような長い名前は、
「N城」などと略す手があります。
ノイシュバンシュタイン城(以下N城表記)などと初出のときにしておくとよいです。


で。

そもそも、
その絵はおかしい、という指摘をしておきます。
「ルートヴィヒ二世の寝室」は絵で撮ることが可能ですが、
「ノイシュバンシュタイン城、ルートヴィヒ二世の寝室」は絵で撮ることができません。

こういうときは、

〇ノイシュバンシュタイン城(日替わり、早朝)

〇ルートヴィヒの寝室(同)

のように、撮るべき絵をわけるのが普通です。
シナリオの柱は、「カメラをどこに置くのか」という指示書であり、
場所の説明ではありません。

どうしてもワンカットでノイシュバンシュタイン城から寝室内へ、
ワンカットでいきたい以外は、このようにカットを割るのが普通です。
(メインキャメラは人物を撮り、
Bキャメラが別日に風景を押さえ、編集でつなぐのが普通です)

仮にワンカットでいきたい場合は、

〇ルートヴィヒ2世の寝室(日替わり、早朝)

   カメラ、ノイシュバンシュタイン城から、寝室へ。

のようにト書きで書いてしまってもよいでしょう。
しかしそれは監督のカット割りでやるべきことで、
脚本ですることではありません。
たとえば、そのカメラワークが使いの鳥の目線だとしたら、
「鳥が寝室に入ってくる」というト書きがあれば十分で、
その目線のカメラワークを使うのか、
寝室にいきなり鳥が入ってくるところを使うのかは、
監督の領分です。
脚本は、なるべく監督がカットを自由に割れるようにしておくのが原則です。


また、ルートヴィヒ2世の寝室が複数あり、
たとえばノイシュバンシュタイン城の寝室と、
ヴァンホーテン城の寝室があるとしたら、

〇ルートヴィヒ2世の寝室A
〇ルートヴィヒ2世の寝室B

のように表記することになるでしょう。


そもそも「ルートヴィヒ2世」という役名がリアルでない、
という可能性も高いです。
2世や3世が正式名称だとしても、
普通呼ぶときは「ルートヴィヒ」になるでしょう。
ルパン3世だって「ルパン」と脚本では表記して、
フルネームは別にあるはず。

もしどうしても「1世」と「2世」が混在するような脚本だとしたら、
混同を避けるために、
一人は「王」、一人は「王子」などと呼称をわけるでしょう。


おそらく、いろいろな可能性を全部足しこんで、
無理やり20文字以上を捏造したような例なので、
これ以上何が表現したいのかわからないので、
なんともいえません。

僕ならば、

〇ノイシュバンシュタイン城(日替わり、早朝)

〇ルートヴィヒの寝室(回想終わって)

のように書くと思います。



またそもそも日本語の原稿用紙の作法は、
日本人の氏名を表記するときの作法です。
田中宏のような二文字や三文字で表記可能な文章がベースです。
ということは、ノイ城、ルートのように表記を改めるのが、
日本語表記にとって自然かと思われます。

外国の翻訳文学でやたら長い名前になる表記法は、
僕はまちがった訳ではないかと思っています。
なぜなら、欧米では、長い名前ほど愛称があるからです。
WilliamsがBillとか。

音節をなるべく短くしているという習慣ですね。
音に出していいやすい呼称が、
シナリオでの役名と考えるべきでしょう。
posted by おおおかとしひこ at 17:16| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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