2018年03月31日

熟成する

(構成から始まった記事は、ちょいちょい寄り道しながらも、
ここまで一応続いています)


絵を考えるということは、
実際の原稿に片足をつっこみかかっているわけだ。
だからすでに登場人物はしゃべりだしているかもしれない。


この時点で、プロットとしてのあらすじを、
書いてみるのもなかなかよい。
最初のイメージとはだいぶ違うストーリーに、
窯変しかかっているからである。
これをもうすこし練ってもよいし、
色々なキャラクターを掘り下げて、
いろいろなサブエピソードを思いついてもよい。

色々な登場人物を頭の中で会わせてみるといいかもしれない。
会ったことがないだろうから、
化学反応をしはじめるかもしれない。

そこで新しいエピソードを思いつくかもしれないから、
やってみるのはとてもよいことだ。

あるいは、新しい秘密や嘘を追加することもあるかもしれない。
それが絵に対して影響を与え、
違う絵のほうがいいかも、とさらに深くなるかもしれない。

あるいは小道具を変えてみると、
まるで違う場面や設定や絵になるかもしれない。
それありきで、またストーリーを変えてみるのも手だ。


色々な変数がどんどん増えてきて、
収集がつかなくなってきたら、
なにかの一覧表を作ってみるとよい。
そうすると整理できるはずだ。
人物設定一覧、
プロット一覧、
過去の出来事一覧、
世界設定一覧(地図などもあってよい)、
小道具一覧、
動機や目的の一覧、
サブプロットの一覧、
などなどである。
とにかく俯瞰したり、細かいところを見たり、
色々な視点からこの話を眺めてゆく。

これが熟成するということだ。
仮にワンシーン書いてみる、もやってもいいかもしれない。
しかしこれはまだ本チャンではなく、
試しに雰囲気を知るために書いてみる、
「ためしがき」にすぎない。
実際の原稿を書くときはこれを参考にしないほうがいい。
実際の執筆ではもっといい書き方が思いつくはずだ。
(もし思いつかなかったら、
とっておいたこれを見ながら書いたって良いのだ)


このあたりで、調べものをすることになるだろう。
リアルはどうなのかとか、
実際に例はあるのかとか、
既に使われたネタかどうか、
などなどだ。
嘘をつくなら本当を知ることだ。
リアルはこうだが、フィクションではこうだ、
という線引きができていればよい。

で、フィクションとリアルの境目を、
わかりにくくしていくことになるだろう。


こういう熟成は、
どんどんやっていくとよい。
メモだらけになるだろう。
試しに書いてみた場面は、
いろんなパターンが出てくるかもしれない。

たぶんごちゃごちゃしたメモやノートだらけになっていくはずだ。


で。
いつかそのメモやノートを、全部一回しまったうえで、
白紙に描き始めるとよいだろう。
十分に熟成が進んでいたら、
迷うことはほとんどなく書いていける。
迷ったら、膨大なメモをひっくり返して、
次何を描いたら面白いかを、考えるとよいだろう。

逆に、のちのち迷い、立ち止まらないように、
いま、十分に熟成をしていくのである。

あなたのストーリーの中で、
わからないところがないように、
すべてを詰めておこう。
細かいところまで詰めておくと、
自信が変わってくる。
それは「観客を楽しませる」という余裕につながる。
たいていの初心者は、
書くのに必死で観客の目線まで見ていられない。
ベテランならできる。
できない人は、
「自分が一番最初の観客として、
うるさい客になる」のがおすすめである。
「もし自分がうるさい客としたら、
どこまで詰めていないと納得がいかないか」
を考え、
気のすむまで熟成していくとよいだろう。
一本の線が通っていないとこれはできない。
ストーリーが右往左往するからである。

ストーリーが決まっていて、初めてこういう余裕ができるのである。


構成からここまで、だいぶかかることは予測できる。
まあゆっくりやっていくことだ。
急いだっていいストーリーにはけしてならない。
締め切りがあるのが普通だけど、
いいストーリーにならないのなら、
作ったって意味ないのだから。
posted by おおおかとしひこ at 12:38| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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