2018年04月04日

おかしいんだけど合ってる

リアルで考えると、よく考えるとおかしい、
でも「この世界では」合ってる。
それが世界観というものだ。
あるいは〇〇ワールドとも言われる。


人間の認識というものは、所詮限界がある。
ワープのできる世界の癖に、
質量保存則を破壊した商品がないとか、
他の4次元移動システムがないとか、
よく考えるとあり得ない。
しかしその世界ではありだと思えるくらい、
物語に夢中にさせてくれれば問題ない。
フィクションとは、そういうものである。

極端なものでは、車田正美の漫画がある。
その系譜には、梶原一騎、本宮ひろ志がいると思う。
そのリアル路線では武論尊がいるが、
リアルとはいえ、やっぱりどこかおかしいと思う。

バーフバリに熱狂が起こるのは、そこに確固たる世界があるからだ。


そのどこかおかしい所には、
一種の狂気があると思う。
その狂気とは、
「思い込みによる熱狂」と関係している気がする。

恋とかハマりとか、夢中とかいうやつだ。
よく考えたらおかしなことは、
下手に触れないほうがいい。
巻き込むべき熱狂を考えるといい。

しかし冷静に、
「リアルではこうだから、
自分はここのところに嘘をついている」
ということはわかっているとよい。

嘘ばかりついていると、ほんとうが見えなくなる。
嘘のうまい人は、嘘と本当を知ったうえで、
嘘の世界にどっぷりと巻き込んでいける人のことである。

ここからここまではリアル、
ここから先は嘘、
その線引きを巧みにしておこう。

それを決めたら、
その線は変えないことだ。

作品を俯瞰してみたとき、
その線がぶれていることに気付くときがある。
執筆のときに調子が違ったのだろうね。
そのままにしていてはいけない。
プロット段階で気づけると、事故を防ぎやすいよね。

おかしいんだけど、その世界では合ってる。
そういう世界を、フィクションという。

その世界に巻き込むように作っていこう。
そういう意味では、
私たちの仕事は、遊園地の設計と似ている。
posted by おおおかとしひこ at 08:51| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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