興味深い親指シフト挫折記事を見たので引用する。
http://tanoblo.com/thumb-shift-keyboard/
6つの理由で挫折したことになっているが、
実際のところ、そのうち4つは「カナ配列」の問題であって、
親指シフトの問題でないことが興味深い。
しかし人は、
「起こったことは、
『親指シフトを導入しようとして起こったこと』だから、
親指シフトの問題である」
と三段論法で認識してしまいがちである、ということだ。
認知バイアスの典型(短絡)のようなものだ。
挫折の6つの理由を引用してみよう。
1.同時押しのタイミングがむずかしい。
2.装飾キーを使用しないショートカットキーが使えない
3.50音のみならず記号まで配列が変わってしまう
4.ぱぴぷぺぽ問題
5.キー配列の変更によりPCゲームが操作できなくなる
6.コードスニペットが機能しない
このうち1と4だけが親指シフト特有の問題であって、
2356はカナ配列の問題だ。
つまりJISカナだろうが月配列だろうが、
薙刀式だろうが起こる。
「カナ入力である以上、英数文字はすぐ打てない」
ことは了解するべきだろう。
英数文字を入力したければ、
直接入力に切り替えるしかない。
そもそも直接入力でなくても、
ローマ字入力だとアルファベットが打ててしまうから、
(実際には全角のアルファベットなんだけど)
気付きにくい問題かもしれない。
入力には二種類ある。
英数入力(IMEをオフにしている、直接入力状態)と、
日本語入力(IMEをオンにして、ローマ字またはカナ入力にする)だ。
日本語入力の中にローマ字またはカナ入力がある。
それを知らないとどうしていいかわからず、混乱するのではないか。
236はこれに起因する問題である。
カナ入力をするときは、
カナを打つときはデフォ、英数を打つときは直接入力に切り替える。
winならば全角半角キー
(復帰はもう一度全角半角キー。遠いキーであること、
今とっさにどっちだかわからないのは、winがクソだからだ)、
Macならば英数キー
(復帰はかなキー。スペースの左右に配置されているのが良い。
いまどっちの状態か分からない時でも、とりあえず打ちたい方のキーを一発保険で打ってから、
書き始めることができるというのはとてもスマートだと思う)で。
この面倒を回避するにはいくつか手段があって、
「通常のシフトを押しながらだと英字出力にする」
(日本語文章で英数が出現するのはレアだから)
という方法があって、
たしか親指シフトはそうしていたと記憶している。
(薙刀式はSandSを利用しているため、これが使えないのよねえ)
あるいは、直接入力に戻す場合、
直接/かな入力の切り替えが素早くできるように、
全角半角キーを近くに置くようにカスタマイズするか、
Macやカタナ式や薙刀式のように、
スペースキーの左右に英数キー、かなキーを配置すると便利だ。
(ただし親指シフトはそのおいしいところを親指キーに取られるので、
もっと外側のキーにそれを配置するしかないだろうなあ)
あるいはCapslockを殺して、
このキーをシフト替わりの修飾キーにしてしまう手もある。
せっかくエミュレータ、
つまりキー配置交換ソフトを使っているのだから、
そうする手もあるのに、
親指シフトが全部用意してくれているわけではないんだよね。
あと、
環境が違うとそういう設定が変わってくる、
ということを知らない人も多い。
すべてのパソコンは同じ環境である、と信じて疑わない人も多い。
僕も、キーボードがすべて同じキー配置であると思っていた。
しかしメーカーによって全然違う配置があるということに、
そもそも衝撃を受けた経験がある。
統一してないんかい、というのが現状なんだと。
5に関しては、ウィンドウ(アプリケーション)ごとに、
IMEが(勝手に)オンになったりオフになっている、
ということを知らないとわからないかもしれないね。
どちらにせよ、直接入力に切り替えればいいだけの話だ。
とくにDvorakJなんかは、
そういうことを全部わかっている人向けのものだから、
わからなくてもしょうがないとは思う。
だからこれを書いてみたわけだ。
単純に配列を変えようとするだけで、
これくらいの知識が必要、
というのは問題だと思う。
それが現在のパソコンの現状なのだから、
文句を言ってもしょうがない。
暗いと不平を言うよりも、だまって灯りをつけましょう。
ライトユーザーは黙っとけ、なのか、
ライトユーザーにこそ使ってもらうべき、なのか、
どっちをPC業界が考えているかは僕の知らないことである。
1と4に関しては、
親指シフトの問題なのでどうしようもない。
ぱぴぷぺぽが鬼門にならない薙刀式はいかがでしょう、
と薙刀式の記事なので言ってみる。
同時打鍵の設定に関しても、
ライトユーザーがわかりやすいようにマニュアルを書いているつもりだけど。
道具をくみあわせて、なにかを実現していく。
親指シフトもDvorakJも、そのパーツのひとつでしかない。
ひょっとすると一番の問題は、
「これひとつですべて解決! 生産性爆上がり!」
と、不可能な夢を見させて
(アフィリエイトを稼いで)いる輩かもしれない。
僕は現状の入力方式のデフォルトには、
相当問題があると考えていて、
だからどうにかして改善しようとしている。
(初心者にはqwertyローマ字はいいかもだが、
本格的に5000字以上を書くのに向いてないと思う)
そういう文脈で、
こういうトラブルや挫折の犠牲者が出るのは、
なんともいえない気分になる。
あ、親指シフト自体は運指がいまいちと思ってて、
だから僕はより良い方法をずっと模索しているわけだ。
親指シフト自体は万人にとっての最良解ではない。
万人にとっての最良解があるかも知れないし、
なくて、こういう人にはこういうのが向く、という法則があるかも知れない。
それも、ないかも知れない。
ペンは試し書きをしないと分からない、という、
単純なことに戻るかも知れない。
2018年04月06日
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