不気味の谷現象というものがある。
ロボットやCGなどが、
人間と違うもの(金属の物体とかおもちゃみたいなやつ)
なら可愛くて感情移入可能だが、
人間に近くなればなるほど、
急に不気味になる現象のことだ。
リアルなCGに気持ち悪さを感じた経験は、あると思う。
この心理って、近親憎悪と関係するだろうか。
成長期の女子が、パパのパンツ臭いから、
一緒に洗わないでというのは、
成長期における近親憎悪である。
人間は自分の遺伝子と近いものは、
嫌がる本能がある。
なるべく遠いものと混合したほうが、
遺伝子の多様性を保てるからで、
逆にいうと自分より近い遺伝子ばかり好むような一族は、
滅びたという結果論でもある。
(実際、似たような遺伝子プールばかりになる、
つまり近親婚の繰り返しをしてきた一族は、
遺伝病が蔓延し、同じ病気で一斉に死ぬ可能性が高まる。
旅人に妻を差し出す田舎の習慣は、
全く違う遺伝子を村に加えたい、
本能的な習慣の一つである)
で、
だから、人は、
自分と違うものを好む。
近親憎悪がプログラムされているのである。
しかし現代は多様性のヘイトも同時にある。
違いを認められず、なぜ同一化しないのかと、
俺の意見に同一化せよと、ネットではあばれ者が多い。
違いは敵か。
それとも同一遺伝子が敵か。
それは、結局何が敵味方なのかを、
本能が判断するのではないかな。
理性で制御できない部分だから、
そこがややこしいんだと思う。
理性で制御できるなら多様性は正しいし、
ホモフォビアが起こらないはずだ。
(ホモを嫌うのも、遺伝子多様性を保ちたいことへの、
近親憎悪ではないかと思うが)
不気味の谷現象というのは、
人間の話ではなく、
人間に近いものに起こる現象の総称だ。
おおむね、ロボット工学か、CGのジャンルで使われる。
人間にリアルに近すぎないように、
デザイン上気をつけることが行われているらしい。
(映画ファイナルファンタジーの失敗の原因の一つ。
リアルに近すぎて、不気味の谷に落ちたのだ)
人間は、違いを検出するセンサーを持っている。
ついでに、同じものを検出するセンサーも持っている。
ピノキオみたいな、
自分と全く違う木の人形に、
まるで人間であるかのように感情移入するのが、
物語であった。
ということは、
外見に不気味の谷現象が起こり、
内面に共感や感情移入が起こる、
ということが、
我々の感覚として正しそうだ。
これらのルールを壊すのが双子という現象で、
だからこれはよく物語の題材になるよね。
俺と同じ顔の気持ち悪さ、
俺と同じ顔の安心、
違うところと同じところ。
これらは、
別に双子という道具(モチーフ)を使わなくても表現可能だ。
二人のキャラクターに、
共通点と異なる点を用意してやれば良い。
ラブストーリーで考えると、
最初は全然違っていたのに、
共通点を見つけて仲良くなり、
相手が自分に合わせてくるのが、
最初は楽しかったが、
やりすぎると腹が立ってくる、
という現象は、
不気味の谷現象であり、近親憎悪かもしれないね。
不気味の谷現象は、
あくまで現象としての経験則でしかなく、
その科学的正体は議論されていない。
でも、ピノキオが人間になったあとの話がないことから、
近親憎悪を刺激しないように、
配慮がなされていたことは想像できる。
後輩が出来ないときは可愛いが、
出来る後輩に成長して、
自分を脅かすようになってくると、
心理的に距離を置きたくなる現象も、
不気味の谷現象に近い近親憎悪かもしれないね。
人は大きく自分より劣るものは可愛がり、
自分に近づいてくると憎悪や忌避が始まる、
という性質を持っているのかもしれない。
それは何か守ってるものを脅かされるという感覚で、
その守ってるものがなにかを設定できれば、
動機になり得るよな。
「人間ならざりし者」の物語を書くときの、
参考に。
「アイアンジャイアント」では、
軍隊で攻撃までして、不気味を攻めたよな。
今後、ロボットでなくAIが、そうなっていくだろうね。
つぎの仮面ライダーの敵は確実にAIだな。
2018年05月26日
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