2018年04月17日

プロの現場から1: 人間の物語を描くとはどういうことか

今年もNHKでちょっとつくりました。
公共放送だから公共性があるし、
普段は公開しないコンテとか公開してもいいよね、
という解釈で、
いろいろ解説していこうと思います。


人間ドラマを描くのが、ストーリーものの基本です。

もちろん、
宇宙人とか幽霊とか超能力とかロボットとか出しては、
ガワを良くみせるんですが、
ストーリーの中身そのものは人間ドラマなんです。
逆に人間ドラマがないストーリーものなんて、
単なるオモチャです。
トランスフォーマーの中身のないことないこと。

人間ドラマとはなんでしょう。

人間がなにかを成し遂げることをいいます。

なぜそうするのか、という動機があり、
なんの行動をするのかがあり、
その結果があります。

それは一人でできるものではありません。
人は一人で生きているのではなく、
集団で生きているからです。

だから、だれかとなにか絡むことになります。
それは単なる偶然ではなく、
その人がなにかをしようと行動を起こしたから、
起こったことです。
つまり因果です。

反対されたり賛成されたり、
邪魔されたり協力されたりします。
人間がそこで生きていれば、
自然とそうなるものです。
そのとき、その人の人生が変化をします。
関わった人も、変化をするでしょう。

それがよい変化であるのをハッピーエンド、
悪い変化であるのをバッドエンドと呼びます。

プロがつくるものは、たいていハッピーエンドです。
それは、ハッピーエンドのほうが人を幸せにするからです。

逆に、プロとは、
どういうハッピーエンドをつくることができるのか、
という闘いを日々している人のことを言うと思います。


一人じゃ人間ドラマはできない。
なにもしないんじゃドラマはできない。
リアリティーがなけれは人間ドラマとはいえない。
飛び道具(宇宙人とか合成とか)なしで、
ただのストレートプレイで行ける話。

「人がなにかをする」ことで、どういう波紋が誰に起きて、
どういうハッピーな結末になるかが、
プロのつくる人間ドラマだといえるでしょう。

そういう解説にふさわしいものが作れたので、
発表しておきます。



YouTubeチャンネルで限定公開としました。
僕の監督としての実力を見るためのものなので、
それに同意していただける方だけ見てください。
ttps://youtu.be/9GX06M1haao
(アドレスの頭にhをつけてください。他人への譲渡は禁止します。
広まったら削除せざるを得ないので、取り扱いにはご注意を)

内容は僕の今年の作品集ですが、冒頭二本が今回取り上げる作品です。
お暇なら最後まで見ても10分程度なのでどうぞ。


タイトルは、「人馬一体」「公開ヘアバンド」
(各60秒)です。
たいした仕掛けはありません。
予算が莫大にかかるものもありません。
これが脚本力というものです。


次回からは、
この人間ドラマの正体を少しずつはぎ取って示したいと思います。
posted by おおおかとしひこ at 12:06| Comment(4) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拝見させていただきました。
プロの仕事ですね。さすが。個人的には大阪ガスのがぐっと来ました。
Posted by phan at 2018年04月17日 15:46
phanさんコメントありがとうございます。

大阪ガスは画質の悪いやつしか残ってないのですが、
いい出来なので掲載しております。

次回から皮を剥がして中身に迫ります。
これらの映像がどういうパーツで出来上がっているか、分解して行きます。

おひまなら、今回のNHK二本を脚本形式に書き下してみるのは、
大変勉強になると思うのでやってみてください。
次回には僕の脚本をお見せしますので、表現の仕方など比較してみるチャンスですよ。
Posted by おおおかとしひこ at 2018年04月17日 17:30
大岡さん、いつもブログを拝見しています。
大岡さんは、日本一の脚本家だと思って、
いつも楽しみに読んでおります。

せっかくですので、映像を見た感想を、
素人ながら、好き勝手に書かせていただきました。

・「人馬一体」「公開ヘアバンド」はとても良かったです。特に、「公開ヘアバンド」は、意外性や時代性もあって、心に突き刺さりました。
・3作目の旅立つヒナも、ほろりとさせてもらえました。落ちが決まって、上手いと思いました。
・大塚家具の三部作は、個人的には物足りなく感じました。やんわりしていた印象です。
・大阪ガスの火は人を熱くするは、最後に大阪ガスのCMと分かった時に、上手い!と思いました。やっぱり落ちがきいていますね。
・イーデザイン損保は何回も見たことがあるCM。これらは、全部、大岡さんが作っていたことに驚きと親近感を持ちました!
・山形新聞は冒頭から途中までは「へー」と思って、のめり込んだのですが、最後の落ちが少し物足りなく感じました。

素人の意見でもうしわけございません。
いつもブログで、大変勉強をさせていただいているので、少しでも恩返しと思い書きました。不快な思いをされましたら、申し訳ございません。

これからも、ブログを楽しみにしております。
Posted by 虎次郎 at 2018年05月05日 19:01
虎次郎さんコメントありがとうございます。

NHKの3本、大阪ガスが僕がここで語っているようなことの実践で、
あとは都合仕事です。
大塚家具は「オシャレなライフスタイル」という依頼でした。
(依頼が間違ってる説あり。笑)

山形新聞は去年の電通賞に入選したので、まあ一応、というくらい。

イーデさんは僕の中ではギャグのジャンルです。
Posted by おおおかとしひこ at 2018年05月05日 20:31
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