2018年04月10日

世界が拡大するように書こう

リライトをし過ぎると見失うことのひとつ。


最初から書いていくときは、
たぶん無意識にやっていることで、
うまく最後まで書けたら、
たぶん自分がそう成功していることに気付かない。

うまく書けているときは、
「世界が拡大するように」書いているはずだ。

それは、経験、疑似体験として考えれば分かることだ。
一回経験したこと、もうわかってしまったことに戻るのは退屈だ。
だから、
一回経験したこと、わかったことは、
省略したり飛ばしたりして次にいく。
いわずもがな、ということだから。

しかし、うまくいかないときは、
そういう省略がうまくいかないことが多い。
一回やったことを繰り返したり、
まえやったレベルよりも下のことや、
同じレベルのことを繰り返していたり、
以前の縮小した設定前提に戻ったり。

「前やったことからくらべたら、これは省略すべきである」
という客観性がうまく機能していないことがある。


「四天王の最初は最弱でなければならない」
とでもいえば、その重要性は理解できるだろうか。

もし四天王の二番や三番が、一番より弱かったら、
退屈になる。
どんどん強くなっていくから面白い。
「どんどん強くなっていく」ということを、
脚本の言葉でいえば、
「危機がどんどん釣りあがっていく」ということである。

危機や困難が下がっていくと面白くない。
文字通り盛り下がるわけだ。
どんどん困難は上がっていかないと、
盛り上がらないというわけだ。

これはなかなかに難しいところである。

レベルをどんどん上げていくということは、
より解決を考えることは難しくなっていくからだ。
つまり書き手は、
話が進めば進むほど苦しまなければならない、
ということを意味するわけだ。

ちなみに観客は作者の苦しみなんかどうでもいい。
今盛り上がっているか、
盛り下がっているのかに、
興味がある。

だからテクニックとしては、
最初は簡単な課題のクリアを描く、という手がある。
ゲームの一面のように、
その世界のルールがわかるように作るわけだ。

しかしそれは完全に解決したわけではなく、
センタークエスチョンの糸口にすぎない、
という風にして、
課題の困難さを上げていくといいわけである。


作者が苦しむのは、
まさにここであることが多い。

以前よりもむずかしい課題を考え、
より劇的に、より大逆転で成功しなければならないわけである。

どんどん課題が困難になっていく、
その上り坂が面白いほど、
同程度の困難さでは盛り下がる。
その勢いのままの次(の上)を予測するからだ。
つまり、ハードルは上がり続けるのである。
「今まで必死でクリアしてきたのに、
さらにこれをどうやって超えるというのだ?」
という盛り上がり(=期待)だ。
作者はこのハードルを、
いかにも最初からうまく用意してあったかのように、
次々クリアしていかなければならない。


さて。
第一稿でこれを意識し、実行するのは、
(困難ではあるが)不可能ではない。
問題はリライトのときにおこりやすい。

リライトにおいては、
順番や構成を変えることは日常茶飯事である。
ストーリーの都合やもろもろでだ。

しかしこれをやってしまうと、
「四天王の強さの順が前後してしまう」ことが、
まれによくあるのである。


リライト段階でそこまで気付ける人は少ない。
他のことに気を取られていることがほとんどだからだ。

で、ようやく本題になる。


世界が広がっていくように、
書いていけているか?

会話の一つ一つ、
シーンの一つ一つ、
展開の一つ一つが、
設定の一つ一つが、
次々に世界が広がるように書いていると、
規模が拡大しているようになり、
危機や解決課題のレベルが、
増大していけるようになってゆく。

世界は上下だけではない。
広がりや深さもある。
過去から未来もある。

どの次元でもいいから、
「世界がどんどん拡大していく」
ように書ければ、大体あっている。


そのセリフは、そのシーンの順番は、
その展開は、その事実関係は、その設定は、
拡大していっているか?

そうなっていない箇所が、
停滞であり、退屈なポイントになっている可能性の高いところである。
posted by おおおかとしひこ at 12:01| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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