2018年04月13日

【雑談】女性差別からの解放

「ダンガル」でも見られた、女性の地位向上の美名。
「女は差別されている。家事と子育てだけだ。
レスリングは、それから女を解放できる」
という論理だった。


これは女性解放運動の一般的な論理だが、
「女が自由を得て成功する」というサクセスストーリーばかりが強調されて、
「世の中には成功した男がたくさんいるが、
失敗した/無能な男の方がその何倍もいる」
の強調をしていないことが多い。

つまり、
「女は自由を得るが、成功するのは一握りで、
他の女は失敗し、家事と子育ての地位も失う」
のことを知らせなかったという点で、
女性解放運動は誠意がなかったと考える。

あの姉妹は成功した。
でもトーナメントは、敗者の方が多い。

勝者だけが生きる価値があるのが弱肉強食で、
人権思想や平等主義や共産主義は、
弱者の救済からはじまっている。

女性解放運動は、
弱者の救済から、弱肉強食世界への逆戻りを、
結果的にしてしまったように、
今の僕には見えている。

勝利は大変素晴らしいが、
現実は物語ではない。
敗者がどう惨めに生きていくのか、
それを語る物語はない。

物語の敗者は架空だからどうでもいいのだが、
現実に敗者になってしまった、
男や女を救済する仕組みは、
弱肉強食階級社会の前時代に戻った日本には、
いまないのではないかな。

村落共同体のセーフティネットすら失われた、
中世以前になっていないか?


だから、若者は失敗を恐れてなにもしなくなった。
会社で怒られて辞める新入社員を見るたび思う。

人生は敗北の方が勝利より多いんだぜ。
だけど、万の敗北から一の勝利を掴むことこそ、
物語じゃない、ほんとの人生だと僕は思う。

インドの女子たちが何万人もレスラーを目指したそうだ。
それ自体は素晴らしいが、
その後敗北者としての人生をどう送ったかまでは、
継続中でしかない。


女性解放運動は、
結局、
成功した男を減らして、成功した女を増やして、
敗北した男と女の裾野を広げただけだ。

「世の中は、優秀な男とダメな男と、その他がいる」から、
「世の中は、優秀な男と女と、ダメなその他がいる」
になってしまっただけだ。

それが適正なる弱肉強食なのか、
僕にはわからない。
小頭がいいだけにしか見えない。
posted by おおおかとしひこ at 11:18| Comment(2) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
昔の記事へのコメントで申し訳ありません。
インド映画で『パッドマン5億人の女性を救った男』という作品があるのですが、もし鑑賞の機会がおありでしたら大岡さんの感想をぜひうかがいたいと思い、コメント差し上げました。

実話に基づく作品の取り扱い方や、この記事において多少かするところがある内容作品かなと思い、ぜひそのへんのところなど。
Posted by asu at 2019年01月21日 23:40
asuさんコメントありがとうございます。

生理用品の話だったかな。
ちょっと気にはなってたけど、そこまで引かれない題材だったしなあ。
未見です。

実話に基づくのは、関係各位が納得すれば、嘘てんこ盛り、演出過多でも、
全然オーケーだと考えます。
実話を基にしながらほとんど実話じゃない「ダンガル」は、
あんなに名作じゃあないですか。

暇があれば見るかも。
Posted by おおおかとしひこ at 2019年01月22日 01:01
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