最初〜主人公が最初の行動をするまで。
オープニングといえば、
なんでもわくわくするものである。
新しい映像とスタッフクレジットが流れる、
クレジットシークエンスは映画の華だ。
(007シリーズはこれが毎回気合入っていることで有名)
他にも、
すごい事件やセンセーショナルなところから始めて、
(たとえば過激な惨殺シーンから始めたり、爆発から始めたり、
ファーストバトルから入ったり)
一気に世界に巻き込むこともよくある。
いろんなツカミを用意して、
なるべく早くこの世界に入ってほしい、
ということがあるのだろう。
ところで。
そのオープニングは、
最初からどこまでだと考えるべきか、
というのを、脚本の立場から考えたいのだ。
たとえばクレジットシークエンスが終わったときが、
そのオープニング終わりだと思ってやしないか、
という警告をしようとしている。
クレジットシークエンス、
たとえば007シリーズのようなものは、
それがある間、ストーリーは進行していない。
扉のような役割は果たすが、
進行はしていないことに注意。
つまり、これはストーリー進行にとって、
「邪魔」な存在であることに注意されたい。
その止まっている間、ストーリーは足踏みをしているのである。
これをきらって、
クレジットシークエンスでありながら、
ストーリー進行を同時にしているタイプもあると思う。
これはなかなか賢いと僕は思う。
華麗なるオープニングがまったくないものもある。
それは最初からストーリー進行が行われているはずだ。
ということで、
オープニングはどこからどこまでと考えるべきか、
というのが本題。
結論から言うと、
主人公が最初の行動を始めるところが、
オープニングの終わり、
と考えるとよい。
ストーリーにおいて、
セットアップの最初とは、
状況や主人公の置かれた設定のようなものを示し、
最初の事件が起こるところである。
主人公はそれに対し、
なにかリアクションをするだろう。
ある感想をもったり、
なにか言うだろう。
しかし最初はなにもしないものだ。
ことを荒げないように、
普段は生きているからである。
にも拘わらず、
いろいろな事情で、
主人公は、
最初の、非日常と日常の間の、
どちらともいえない行動に出るはずだ。
たとえば恋したなら、
いきなり告白するなんて非日常ではなく、
挨拶をしてちょっと話すとかの、
「日常に一見見えるが主人公にとっては非日常の行動」
のようなものである。
いやべつに日常の範囲内で、
けっして特別なことじゃないですよ、
と、言い訳が出来る範囲というか。
その、 ちいさな行動にでる瞬間までが、
オープニングである、
という定義を、僕はするとする。
物語というのは、主人公の行動の記録で記述される。
物語の骨格というのは、
主人公の行動のリストである、
といっても過言ではない。
で、その一行目以降が、
ストーリーの本体だ。
ということで、自動的に、
その前までが、オープニングである、
という解釈になるわけだ。
これが長すぎるとどうなるか。
いつまでたってもストーリーが始まっていないようなものになる。
短すぎるとどうなるか。
なんで行動するのかよくわからない、
状況がつかめないまま置いていかれることになる。
感情移入もなにもない感じのものになる。
たいていの初心者は、
オープニングをながくしてしまう傾向にある。
オープニングというのは、
クレジットシークエンスのようなものだと思っていて、
それが終わって、
状況設定からがストーリーだと。
違う。まだストーリーは始まっていない。
まだ設定しているだけだ。
ストーリーとは主人公の行動で記述される。
ということは、行動がない部分は、
ストーリーには含まれないのだと考えるべきであるということ。
ということで、
クレジットシークエンス、
状況設定、主人公の設定、
事件、行動開始、
までが、全部オープニングになってしまうのだ。
これが5分ならまあいいけど、
15分もかかることを想像すると、
「全然話が始まらんなあ」という感覚になってしまう。
クレジットシークエンスの前に、
なんかプロローグのようなものを入れてしまうと、
さらにオープニングがふくらんでしまうということである。
プロローグはなぜか素人ほど入れたがる傾向にある。
「映画っぽいことに見える」からではないかと僕は思っている。
つまりはそれに酔っているだけの可能性がある。
ということで、
初心者の書くストーリーは、
オープニングがとても長くなってしまい、
ストーリーがちっとも始まらない欠点がある。
始まらないから展開も遅く、
結果に来るまで十分に描けず、
物足りないストーリーにしかならない。
で、うまいこといかない、と悩むことになるのだ。
問題はオープニングにあるのかもしれないよ。
クレジットシークエンスなんて考えるな。
センセーショナルなオープニングなんて考えなくていい。
状況設定、
主人公のファーストエピソードで感情移入、
そして事件が起こり、
行動開始。
それが5分から7分以内に起こっているのが、
いい脚本であると思う。
べつに1分でも3分でも構わない。
それだけ早く、ストーリー本体にまきこめるはずだ。
あなたはオープニングを書くのに酔っていないか。
そんなことしている暇はない。
はじまって数分以内に、
主人公が確固たる自分の意思を見せて、
行動を開始しないと、
そのあとのストーリー全体で魅了することなんてできないのだ。
2018年04月16日
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