2018年04月26日

なぜストーリーを書くのに時間がかかるのか

「一気に吐き出せる量を超えているから」
だと僕は思う。


15秒のストーリーなら、
頭から吐き出せるだろう。

30秒、60秒。
まあなんとかなるかもしれない。

30分の話。
原稿用紙30枚、つまり1万2000字。

多くの人は無理だろう。
休みなしで人は1万2000字を書くことは、
不可能だと思う。

経験上、集中しても3000字/時くらいが、
普通の巡航速度で、
それを4時間一気書き、
というのは余程のことだと思う。

不可能ではない。
月に一回はある「ゾーン」に入れば出来る。
しかし常態ではない。

多くの文筆業未経験者は、
そこまで集中力がないと思う。


で、
そもそも、
「自分の中にそれだけの内容があるか」
の方が大事だ。

1万2000字も書くことがない、
というのが殆どだろう。

しかも明日もまた書かなきゃいけない、
というのが脚本家の日常だ。

人には、そんなに書くことがないんだ。



経験的に、
一日3000字前後なら、
「湧き出させる」ことが出来るようだ。

これくらい書いても、
次の日はまた3000字くらいなら、
「湧いてくる」という感覚である。


だから、僕は長編を書くなら、
一日3000字程度にしときなさい、
というアドバイスをすることにする。
明日書くことがなくて困らないようにだ。

今日たくさん書けても、
明日書くことがなくなってしまっては、
それ以上進まなくなる。
だから乗っててもやめることだ。
続きは明日書くといい。


書くことがないときは、
どんなに頑張っても書けない。
無理矢理ひねり出せても、
無理矢理は伝わるものである。

皆が求めるのは極上のエンターテイメントであり、
あなたの誤魔化しではない。


で、コンスタントに出来るのは、
3000くらいじゃないかな、
というのが僕の経験談。

4000の人もいるし、2000もいるかもだ。

ちなみにここの記事は大体2000字で、
これくらいなら毎日楽に書ける。



なぜ長編を書くのに時間がかかるのか?
毎日毎日書くことがなかなかに辛いからだ。

仮に3000ペースなら、
映画脚本なら休みなしで18日、
週休二日で3週間と半。
小説単行本一冊なら、10万字あたりが平均なので、
休みなしで33日、
週休二日で7週間と半。

これは第一稿にすぎず、
リライトを考えていない。

リライトは倍かかる。
3倍かかる時もある。

そりゃかかるわけだ。



一日3000字ペースを増やせるかな。
人による。

ペースを上げてダメになるくらいなら、
ペースは落とした方がいい。

面白いストーリーを書くのが目的であり、
ペースを上げるのが目的ではない。

キリのいいところまで書くとオーバーペースになるときは、
キリの悪いところで止めよう。

明日そのキリの良いところまで書くべきだ。
その方が気力が充実しているから。

ペースを崩して酷い目にあった経験があれば、
それは賢い判断だとわかるだろう。



執筆はマラソンである。
そう考えないと、
長くかかる理由を説明できない。
posted by おおおかとしひこ at 09:19| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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