2018年04月29日

【脚本添削SP2018】1 タイトル

今年もやってまいりました、脚本添削スペシャル。
草の根運動ですが、
日本の脚本のレベルを上げられれば、
と考えてやっております。

今回の応募は7名12本です。
(2本追加しました)



さて。
これくらい集まると、
ざっと並べた時に、色々思うわけです。


最初に目に入るタイトル。
これはもう作品のすべてです。

テーマが感じられるか。
つまりは「その作品を読む価値」がどういうものかを想像させ、
引きをつくることに成功しているか。
つまり、入り口と出口をうまくキャッチーなことばに落とし込んでいるか。

ジャンルの想像、長さの想像、
想像できるけど、想像しきれないこと。

僕はタイトルはパンチラだと思います。
「おっ」と思わせなきゃならないし
期待があるべきだし、
ドリームがなきゃいけない。


並べてみます。(到着順)


「故郷(ふるさと)のみやげ」
「僕の命はお前が守る」
「敗者へ贈る言葉」
「カウントダウン―ある男の物語―」
「ニートの妖怪退治」
「おかえり疫病神」
「コウノトリか? ケッコンサギか?」
「The Walker 旅路の果て」
「思春鬼」


(追記:こちらのメールサーバーの不具合で、もう二本追加します。
以下の記事はこの二本を読んでいない段階のものです
「救われた心臓」「恋々自販機」の二本が追加されます)


さてみなさんはどのような印象を持たれるでしょうか。
これがレンタルビデオの棚に並んでいたとしたら。
これが劇場のリストの中であったなら。
これが本棚の背表紙に並んでいたら。
アマゾンプライムのお勧めリストに入っていたら。

何を期待し、何を想像し、
そしてどれを手に取るでしょうか。


ちなみに、
タイトル詐欺というのは世の中に存在します。

僕が最初に手に取ったのは、
「おかえり疫病神」でした。

キャッチーで、たぶんコメディと泣きがうまいこと配分された、
古典的だけど今風なドラマを想像しました。
おかえり、という所がポイントで、
多分に友情ものの要素があるのでしょう。
疫病神と出会うか憑かれているところからはじまり、
一旦は別れるものの、
最後には泣かせる再会劇になることは予測されます。

これが、「タイトルによる期待効果」です。

しかし残念ながら、タイトル詐欺に引っかかりました。
タイトル詐欺に一度引っかかると、
「その作者の作品は、眉唾になる」というのが人間の習性です。

この作者はほかに4本。
「カウントダウン―ある男の物語―」
「ニートの妖怪退治」
「コウノトリか? ケッコンサギか?」
「The Walker 旅路の果て」
どれも期待できないタイトル。
これらをならべた時点で作者のセンスを疑い始め、最後に回すことにします。

「僕の命はお前が守る」
が次に選んだものです。
ふつうと逆の言い回しだから、
なにかあるな、と思うわけです。
でもこのタイトルに落ちていない出来だったので、
眉唾その2が生まれるわけです。


「思春鬼」は裏返ると面白いタイトルに化ける可能性があると考えます。

僕は駄洒落を認めていません。
関西人は全員だと思います。
駄洒落を使わずに、いかに面白いことを言うかが才能だと考えています。
駄洒落を使う人は、才能がないからだと僕は考えます。

東京に来て驚いたのは、駄洒落がおもしろいと言われていることでした。
逆にいうと、関東が詰まらないのは、
駄洒落程度で褒められるからではないでしょうか。

掛詞は駄洒落ではありません。
掛詞になっていない、失敗したものが駄洒落ではないかと思います。
関西は歴史的に見て、平安時代に掛詞を通過した文化の国です。
関東の駄洒落をよしとする文化は、1000年遅れていると、僕は感じます。


なにかをダブルミーニングするとき、
駄洒落を使わずに言う方法はあるでしょうか。
それを工夫することそのものが、
創作だと思います。
つまり、駄洒落は創作努力の放棄です。

たとえば、
「春を思う鬼」というタイトルだったら、
僕は真っ先に手にとったかもしれない。

どういうことだろうか。
「思春期」とかけているのだな、
思春期の子たちは、
まるでモンスターのように残酷なことがある。
そういうことを言う作品に違いない、

たとえばラブストーリーでもいいし、
大人が子供に振り回される話でもいい。
女の子にオッサンが振り回されるのがいいなあ。
鬼の話でも逆にいいかもしれない。
恋を知らない鬼が、恋を知る話でも。
こういう期待がつまるものです。

ラストシーンは美しい桜か、
逆に、めためたに散ってしまった醜い桜か。
こういう場面を期待するでしょうね。


タイトルは、最大の宣伝コピーです。
コンセプトを暗示/明示し、
誘因するものです。
期待をかけさせて、
最後に答え合わせをするための、
前振りでもあります。
そのための謎の提示でもあります。


何故人はそれを手に取るのか。
そういうところから、
もう客との接触は始まります。
それが魅力的でないなら、
誰も手に取ろうなんてしません。


ちょっと内容を伏せて、次回に引っ張ってみます。
想像してみるとよいでしょう。
あなたは何を面白そうと思うでしょう。
一億二千万の人々は、何を面白そうと思うでしょう。
脚本は小説ではありません。
ビッグバジェット前提の、マスコミュニケーションです。
次に始まる新しいドラマのタイトル、
GW興行の映画のタイトルなどと見比べて、
引きがあるかどうかが基準となるべきです。

15分以内ということはわかっているから、
これは長編と比べて、キレを求められるものです。
重厚さよりもキレでしょう。

一流に見えるでしょうか。
三流に見えるでしょうか。

「故郷(ふるさと)のみやげ」
「僕の命はお前が守る」
「敗者へ贈る言葉」
「カウントダウン―ある男の物語―」
「ニートの妖怪退治」
「おかえり疫病神」
「コウノトリか? ケッコンサギか?」
「The Walker 旅路の果て」
「思春鬼」

内容の答え合わせは次回。
posted by おおおかとしひこ at 15:47| Comment(4) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕も叩かれたい!
とても幸せなことだと思います。
送りたかった!けどpdfがなんのこっちゃサッパリわからん!
来年までに勉強しておきます。

Androidスマホ一台で送れたらいいんですけど。
Posted by しん at 2018年04月30日 18:26
しんさんコメントありがとうございます。

スマホだと全体が見えづらいので、
紙に印刷して推敲することを勧めます。
視野狭窄にすぐ陥りますからね。

アイフォンなら僕がPCでも使ってるiTextが走るはずですが、
脚本形式に整形しづらいかと。


手書きのスキャンも可です。
セブンイレブンでusbにコピーして
(pdf形式に出来たかと。jpeg形式でもオーケー)
その後はPCから送れると思います。
PCがないなら漫喫にでもいけばいいさ。
スキャナのある漫喫もあるし。
全部で600円くらいでなんとかなるでしょう。

高々原稿用紙15枚くらい、
全部手書きのほうが速いですよ。
清書はまた別にやるのが常識です。
それを手書きでするかPCでするかの差だと考えてください。


僕はスマホでのものづくりは不可能だと考えています。
スマホは楽な分、「スマホで楽な」文章を書いてしまいがち、
という罠がありますね。
Posted by おおおかとしひこ at 2018年04月30日 18:43
返信ありがとうございます!
早速、実行してみます。
テンション上がってきた!

実は今、あのNHKの大岡さんの脚本を書き写して分析しています。
大きめのノートです。余白に赤ペンを入れられるように。

何だか写経をしているようで、心がスッキリします。
心の揺れを直に感じることができるので、ドラマの起伏がよくわかります。
Posted by しん at 2018年04月30日 19:04
写経はよくある勉強法なので、どこかに落ちている名脚本や小説を写経するのもとても勉強になりますよ。
普段は目で見逃している所まで見ることが出来ます。

何回かやって暗記するというのもバカにはできません。
いざというとき、名作のリズムが口をつく、ということがよくあります。
当たり前ですが、役者は毎日それをしているわけです。
Posted by おおおかとしひこ at 2018年04月30日 21:33
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