2018年05月05日

【脚本添削SP2018】8 主人公は何を求めているのか

主人公、ハチの目的は何でしょう。
あれ? よくわかりませんね。


おそらくよくあるパターンの、
「組織から抜けて自由になる」ことでしょうか。

医者になること、
という具体はありますが、
それが「なぜか」は良く分りません。

(これまた「ヤブみたいになりたいから」
という設定だけ放り投げられるパターン)



でも名前がないことについて本人がどう考えているのか、
これがよく分からないんですよ。

大学受験のとき、名前をなんて書くんだろうか、
と僕は思ってしまう。

リアリティは、そう言う所に転がっています。

自分が名前がないから大学を受けられない、
だからこのミッションを果たしたら、
組織から名前を与えられて、
戸籍がある、大学を受けられる人になれるんだ、
ということになると、
より主人公の目的が明確になると思います。


「答案用紙に名前を書く」という、
「だれもが体験したことのある具体的な場面」から、
ストーリーを発想する例です。



護の目的は?

これも良く分らない。ワクチンを作ってWHOに届けること?
だったらハチの家に来た時点で行動することがあると思う。
ラーメン食いに行ってる場合じゃないだろ。
外に出たらさらわれることもあるんだし。

そのへんが恐らく決まっていなくて、
「二人が仲良くなっていく」というのが書きたかっただけだから、
周辺を詰め切れていないのだと思います。
(あるいは、是非とも必要なことを省略してしまい、
要らないものが残っている状態の可能性がある)


双葉の目的は?

彼女だって名前がない、ハチと同じ立場の癖に、
「抜けたい」とか思ってないっぽいんだよなあ。
ロボットみたいな、だれでもよい設定になってしまっている。

せっかくだからハチの恋人にしてしまってもいいし、
あるいは幼馴染みで好きと意識はしている、
くらいの微妙な関係にする手もある。
そうすると大概クライマックスで死んじゃうんだけど。


じゃ、いなくてもいいかもしれない。
このへんは、メインプロットをどうするかで、
調整する部分かもしれません。


ヤブだって全然慕っている理由がわからないし、
「父のように慕っている」という説明、設定しかなくて、
私たち観客が、ヤブを見てほんとうにそうだなあ、と思う場面なんてひとつもない。
だから彼の裏切りに対して驚きもがっかりもなにもない。



とりあえず護の動機を、
「自分が誰なのか、確定したいこと」
ということにして、次を進めることにします。

ちなみに、バディムービーというのは、
形を変えたラブストーリーです。
ホモではないです。

違う人間同士が呉越同舟になり、共通点を見出し、
ケンカしながらも絆を深めていく、
という点で、
ラブストーリーと同一の構造を取る、ということです。


ということは、ケンカしないとなあ。
目的が違うからケンカするんだよな。
あるいは呉越同舟になるか。

次回。
posted by おおおかとしひこ at 13:06| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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