前へ進む動機やスタート地点をうまく作れても、
そのあと話の勢いが落ちてしまったり、
停滞してどうしていいかわからなくなってしまう人は多いと思います。
「途中」を書くことはとても難しい。
僕はずっとそう思っていました。
でも、たいしたことないと最近わかってきました。
それは、「スマートにやらなくたっていいんだ」
ということに気付いてからです。
実際の人生の経験が大きいのかもしれません。
人生は一回しかありません。
最初からスマートに、効率よくできる人はいません。
たいがい最初は不格好でみっともなくて、
慣れてきてようやく洗練が始まるものです。
人生はリハーサルがありません。
だからどうやったって、ショーのようには美しくなりません。
泥臭かろうがみっともなかろうが、
とにかくゴールまでいくことが重要で、
スマートにできる人は、すでに経験したことであるとか、
二周目の人です。
最近の若者は失敗を怖がる、とよく言われます。
ほんとうでしょうか。
多分、スマートにやれないことを怖がっているのではないでしょうか。
恋だって合コンだって、仕事だって、
ドラマみたいにうまいこといかないことは、
長年生きると良く分ります。
でも若者は、
ドラマでしかそういうものを見たことがないから、
スマートにやらないといけない、
というプレッシャーがあるのではないでしょうか。
で、
一発でスマートにやれないことが想像できるから、
行動に移さないのではないでしょうか。
そのリアルと、物語のリアルは、
連動しているような気がします。
ということは、
スマートな行動と成功なんてやめればいいんです。
実際にリスクを取って行動することは、
みっともないし、
周囲はやめとけというし、
すぐには成功しないし、
ろくなことがありません。
でも何かのきっかけでうまいこといき、
その渦が回りはじめ、
それが雪だるまのようにどんどん大きくなっていくものです。
それでも挫折したり、
うまくいくと思ったのに失敗したり、
決して順風満帆に、スマートにいかないものです。
それを、書けばいいと思うんです。
流れるように流れるドラマは、
嘘だと思います。
だって人生は、流れるように流れないんだから。
それをそのまま、
あるいは多少整理して、
描けばいいのではないでしょうか。
全部がうまくいって、
歯車が全部かみ合って、
なんて、ドラマみたいな映画みたいなのは、
ラストのクライマックスにとっておけばいいと思います。
逆にそれまでの「途中」とは、
うまくいかないことや、
タイミングが合わないことや、
失敗してマイナスになることや、
躓いたりがくがくした進行になったりすることを、
描くべきだと思います。
だからこそ、
クライマックスにドミノ倒しを用意すると、
爽快なのではないかなあ、
と最近思っています。
ということは。
全ての行動は、
流れるようにいかない、
という前提で、
ドラマを組んでいくといいと、
僕は最近考えています。
ジグザグこそが人生であると。
リライトの例では、
うまいこと流れているように見えながら、
実際のところは話が進んでいないところ、
たとえばラーメン屋や公園の場面などもあり、
それは緩急でいう所の緩であったりします。
決して、同じ速度で話が流れているわけではない、
ところに注意してください。
すべての話は、同じペースで進まない。
それを意識すると、
「途中」が書きやすくなるはずです。
逆にいうと、
話には緩急があるということです。
前に進まないところと、
前にバンバン進むところがあるということです。
「スマートにいく、流れる話」を想像するとき、
同じペースで、高速に展開していくものを、
想像してしまうのではないでしょうか。
しかしそうではないのです。
どんな話でも、停滞があり、急展開があり、
一休みがあり、速度が上がってくる場面や、
逆にゆっくりになってくる場面などの、
緩急があるものです。
人生でも同じです。
人生だって、
同じ進捗速度はないのです。
同じハイペースでスマートに進むと思っているなら、
それは人生に観察が足りない証拠だと、
僕は考えています。
(だから工数管理なんて現場を知らない管理の論理でしかねえんだよ)
いまは緩で、次に急がある。
今は急で、次に緩がある。
そういう風にプロットで組み、
それを執筆でも意識していくと、
「途中」の進行が書けるのではないでしょうか。
また、
同じ話を繰り返すようですが、
主人公はあなたではありません。
あなたと別の事情や動機をもった、
あなたとは別の行動力を持った、
全く別の人物です。
あなたよりスマートにやるかもしれないし、
あなたより泥臭いかも知れません。
あくまであなたが書いているのは、
あなたの頑張りではなく、
その人物の頑張りや挫折や成功のジグザグです。
逆にいうと、
自分より泥臭く、頑張る人を、人は応援したくなるものです。
それが物語です。
2018年05月09日
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