参考になるかと思い、
実際に書いたプロットと、第一稿を載せます。
プロット.pdf
第一稿.pdf
プロットの段階では、
第一ターニングポイントが明確にされていなかったり、
ヤブが護の正体に気づいたかも、みたいな場面があったり、
護のほうがドボンがうまかったり、
医者になる勉強を護が知るシーンがあったり、
入試のことに言及していたり、
などの違いがあります。
とくに「組織を抜ける」ということについて、
物足りないと思い、
第一稿で書き直していることが分かるかと思います。
また第一稿では、
ログラインが「自分を取り戻す話」と抽象的になっていて、
まだ僕自身がこの話の芯を掴んでないことがわかります。
双葉の冗談は「カトリーヌ」でした。
アメリカ、とラストを決めてから、キャサリンに変えたのですな。
しかも第一稿にはラストのサゲに使っていない。
ラーメンをサゲに使っている。
これじゃもの足りないと思って、
キャサリンにしたことがうかがえます。
あと細かいことですが、
ヤブに襲われるパートでは、
なんか飛び散ったほうが絵がいいだろうなと、
試験管を割る描写があります。
これが「せっかくできた血清が台無し」に誤解されると嫌だなあと思い、
最終稿では羽毛が飛び散る場面に変えています。
これらはすべて枝葉に当たる部分ですが、
意外だったのではないでしょうか。
最初から「キャサリン」は計画されていたかのように、
うまくハマっているように見えたかと思います。
そう見せるのが、リライトというものです。
つまり、骨が先で、ガワは最後です。
人はガワを見て骨を想像しなければならない為、
想像力や経験値のない人は、
ガワがストーリーだと勘違いする傾向にあります。
キャサリンはうまいこと機能していますが、
これ自体はなくてもストーリーは成立するし、
べつのギャグでもいいんですよね。
さて。
長いことおつきあい頂いた脚本添削スペシャル2018、
このへんでお開きにしますか。
瞬間風速的には日本一レベルが高いこと書いてると思うんだけどなあ。
なんでこういうことを書いているかというと、
僕が学生とかプロになったときに、
こういうものがどこにもなかったからです。
創作の秘密なんて、あってないようなもの。
これが分かったからって、すぐに出来るようなものではないし、
じゃあ公開してやろうと。
出来るもんならやってみろ、
という感じでここを書いているわけです。
今回のSPでは、
普段僕がここで書いていることの、具体を示せたかと思います。
逆に、僕はこういう沢山の具体から抽出したことを、
普段は書いているわけです。
余りにも具体ばかりになると各方面に迷惑がかかるし、
言いたいことの芯がわからなくなるので、
脚本論としては、抽象的に書いていたりします。
あと単純に、これだけの密度で書くのは疲れるし。
えんさんの「僕の命はお前が守る」は、
現在の僕はこうリライトした、
という程度でしかなく、
他の人がリライトしたら、
また別の全く違う原稿になるかもしれません。
しかしおそらく、それが全うにされる限りは、
「表現は違うけど、同じ話」に感じられるはずです。
つまり、ストーリーというのは、
「具体物には現れない、
具体物では表現できない、
文字にならないもの」であることが想像できると思います。
その表現は色々な形があるけれど、
ストーリーそのものは、ひとつの形で表現できない、
それがストーリーの正体ではないか、
と僕は最近考えています。
ということでお疲れさまでした。
通常運転に戻ります。
いいストーリーを書いていきましょう。
やはりこうして、「添削前」→「添削後」がどういう風に変わったか、それを解説付きで、しかも無料で(!)見られるのはとても良いです。
これからもblog記事と来年の添削スペシャル(あるかわかりませんが)楽しみにさせて頂きます。
お疲れ様でした、ありがとうございます。
今回は緩急についてうまいこと書けたので、そこが良かったかな。
普段の記事だと抽象的すぎてなんのことやら、
となってしまうので。
具体があると読む方もしんどいと思いますが、
それだけ深いところがわかるかと。
オススメは、プリントして紙で眺めることです。
行ったり来たり出来るし、
全体と部分の関係がよく分かります。
ついでに言うと、全文手書きで写してみると、
文字と内容の関係が生き生きと理解できます。
さらに言うと、
他の人の作品も同様にやってみると、
どこが良くないのか、どこはいいのか、
感覚的に理解できるようになってきます。
擬似的に数をこなせるわけですな。
特に自然な台詞は数をどれだけこなして、
他人の言葉をどれだけ観察してきたかに左右されるので、
他人の書く、ダメな台詞、いい台詞はとても勉強になります。
そうすると自分の立ち位置も、
なんとなくわかってきたりします。
2年前、3点リーダーを教えていただいた初応募からやっと添削していただけるまでになり、嬉しく思います。15分物は私にとっては非常に難易度が高く何度もあきらめかけます。
また今回のスペシャルは内容が濃く、実をいうとまだ消化不良気味です。
これから新たなストーリーを書きながら、教えていただいたことを生かしていきたいと思います。
こういう場があるというのはとてもとても貴重です。
これからもよろしくお願いします。
GW中に「大岡式まとめ2016」全ての記事に目を通し、
気になるところはノートに書き写し、
今回のリライトと照らし合わせながら、
分析しているところです。
一年でどれだけ成長できるか。
来年も添削SP、ぜひよろしくお願いします。
絶対、応募しますんで!
15分ものにしては、毎回扱う内容が大きすぎる気がします。
なのでリライトもうまいことやるのが大変でしたねえ。
「尺に適当な問題の大きさ」というのがあると思います。
今回のももうちょい足せばハリウッドのアクション映画一本出来そうな内容でもあるし。
逆にKYKYさんの転校の話は3分で書けるかな、と思いました。
この辺の感覚は、
「色々な尺を書く」ことと「色々な話を同尺で書く」
ことの鍛錬で得られると思われます。
シリーズドラマで全然違う回を書いてみたりすると、
参考になるかも。
(風魔ドラマはとても実戦勉強になりました)
たぶん、「尺に適当な問題を思いつく」が、
脚本で一番のハードルかも知れませんねえ。
大岡式なんてつけたものの、
日々思うことが違ってたりして、
なかなか安定しないんですよ。
書いてるうちに僕も成長してたりするので。
八卦掌の初期の型と晩年の型が全然違う、
みたいなことか、いや、偉大なる八卦掌に失礼か。
日々思うことをこれからも書いていきます。
(頭では理解できますが自分で書くとなると、脳みそはグチャグチャになりますが・・・)
さらに、大岡様の添削、リライトのあっと云う間の対応の早さに、当たり前ですが、プロの凄さを感じました。
この様な、添削SPという貴重な場を提供していただき本当にありがとうございました。
お疲れ様でした。今後のご活躍をお祈り申し上げます。
送った人ほど本気で読むだろうなとは思ってますが、
送ってない、けど予備軍であるような人も、
その後ろで読んでいると信じて書いています。
リアルタイムでなくて、ずっとあとに読む人もいるだろうし。
こんなんを100回くらいやると、
いかようにでもなるようになってきますよ。
筋肉つけるみたいなことなので。
数稽古はスキル習得の昔からの要訣です。
何本も何本も書いてみてください。
脚本の世界では、
原稿用紙を背の高さまで書ければデビュー、
という格言があります。
(ジャイアント馬場はしんどいかもしれない)