2018年05月25日

それは細かく描けているのか

大体のプロットを立てているときや、
構成を煮詰めていたりするときや、
大まかに考えているときには、
想像もつかないことが現場では起こる。


大まかなことでは問題なかったのに、
いざ書いてみると、準備や思考が全然足りなかった、
ということが良く起こる。

大体はこれくらいで、
あとは現場に振ったろ、
という現場でもよく起こる。

それは、頭で考えていたディティールよりも、
現場のディティールのほうが、
より精度が高いからである。


赤で、と指定していた頭の中でよりも、
現場では、暗い赤なのか明るい赤なのか、
青よりの赤なのか黄色よりの赤なのかで、
まるで違うものに変わってしまい、
どっちなんだ、と、
詳細を詰めなくてはならないことがまれによくある。

そしてそれは、赤だったらどっちでもいいよ、
という大雑把な要求ではない所の思考が重要なのだ。


つまりは、
今ある情報の粒度に合わせて思考の粒度を変えられるか、
ということなんだけど、
なかなかうまいこと考えられないものだ。

だから中途半端なものが出来上がってしまうのだから。


さて。
これをふせぐには、
「その粒度で徹底的に考える」
ということをやってみるといい。

そうしたときに、
たいてい、「考えていない領域」の存在に気づいたりするのだ。
で、それがあなたの作品に足りていないことの、
候補になることがとても多い。

(もちろん、まったく違う所を考えることもよくある。
しかしそれは無駄ではない。
そこではなかったと知る、貴重な経験だ。
ということは、一段荒い粒度から俯瞰して、
どこを細かく考えるべきかを考える段階が必要だと、
分かってくるはずだ)


勿論、最初から精密な粒度で考えていては、
いつまでたっても長い話は書けない。

一枚の絵は描けるかもだが、
長い起承転結は難しいだろう。

だから最初は粒度の荒い、
プロットや構成で考えるのだ。


で、実はプロットができたらそれで終わりではなくて、
それを元にした、
素晴らしいディディールを、
つくりこまないといけないのである。

僕は毎回ここまで言及するのが面倒なので、
「あとはうまいことガワを被せる」
みたいに省略することが多いが、
それは本意ではない。

同じプロットから百の出来のストーリーが出来上がるからである。



実のところ、
そのディティールに時間を割いて、
いいものに仕上げていったほうが良いと思うが、
実際の所、
ここはよく省略されてしまう段取りである。

小を取って大を逃すくらいなら、
小に気を取られないほうがましではあるが。



細かいことを考えるとき、
まだ自分が考えていない関連領域があるかどうかを、
よく観察することである。

その領域が自分が一番くわしくなっているのがベストだが、
さらに、
なにもしらない人がそれを見たときに、
まず一番最初に思うことってなんだ、
というのが、意外と大事な視点だ。

脚本でなにが大事か、
なんてことはよく議論されるが、
テーマでもなく、主人公の行動でもなく、
プロットの組み方でもなく、
僕は、
「それが面白そうと思い、入っていきやすいかどうか」
ではないかと考えている。
最終稿では特にね。

それって結局は、
作品の一番外から、
観客が受け取る情報の粒度で、
ちゃんと見れているかどうかだと思うんだよね。


予告編をつくってみる、
という僕が提唱しているエクササイズは、
なにが観客にとって目を引くことであるのか、
なにが期待値になるのか、
ということを考えるよい機会だと思う。

一番こまかい粒度で、
ちゃんと並べられるかどうか、
ということでもある。


で、当たり前だけど、
細かい所ばかり見ていると、
大づかみなところが狂っていたりする。
両方のバランスを取りながら、
やっていかないといけない。

その為には、ずっと見ているものを、
三日間見ずに過ごし、
久しぶりに見てみる、
なんて経験をしてみるとよい。
ディテールに気をとられていたのか、
本質ばかり気にして、ディテールを忘れていたのか、
自分で気づくことが出来ると思う。


僕が今書いている作品では、
細かい部分で自分の思考の及ばなかった点に気づき、
そこがリライトのポイントになるであろうことまで自己分析した。

それがメインかどうかは分らないが、
やるべきリストに入ったことはたしか。


細かい所はあとで直す。
これは真実である。
しかし、その細かい直しが妥当であるかどうかは、
その細かさで考えないとわからない。
だから仕上げというのは、ものすごく時間がかかるのだ。
posted by おおおかとしひこ at 11:20| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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