2018年05月29日

壁にかけられた銃は、必ず後で使われる

チェーホフの名言。

とても分かりやすい例を見たので書いておく。
シュワルツェネッガー版の「トータルリコール」。


何回も見てるはずなんだけど、
ババアの中から割れて出てくるところと、
目玉が飛び出てくるところしか覚えていない。
あと火星が舞台なんだっけ。

中盤の、
「今見てる光景は、実は夢見るマシンのバグなんだ」
という名シーンを改めて研究するために、
久しぶりに見て見たのだが、
いやいや脚本のお手本のような伏線の使い方があって、
手を叩いて喜んだ。


以下ネタバレ。




まず驚いたのは、鉱山で使うであろうドリルマシーン。

壁にかけられた状態、
つまり伏線としては、
「火星は危険な町である」というような意味合いで使われる。
タクシーで向かう場所も売春宿だし。

それがラス前のボスとして立ちはだかる。
これが銃として使われるシーン。

いやあ見事だ。

中盤にもう一回、
チェイスシーンでヒヤヒヤさせるためだけに出てくる。

二回伏線として出てきているわけだ。


うまいなあ、なんという自然な伏線か、
と感心していたら、
忘れた頃のホログラム。

いや、最初から使うんだろうなとは思ってましたが、
この土壇場で、
という見事な使い方。


伏線とその回収の見事さは、
脚本技術の華だなあと。


一回ドリルで、伏線見事だなあと思わせてからの、
忘れさせといての使い方も見事だった。

マジックの視線誘導に似ていると思った。



こんな単純なことなのに、
うおおって唸るんだぜ。


こういう単純なのに面白いことを、
やるべきだと思うなあ。

色々なものが最高のレベルで噛み合った、
傑作の一本だったことを、
改めて確認した次第。


見るものがなくて暇な人は、
「トータルリコール」の、
伏線と回収を研究しよう。

分かりやすくて切れが良い。


あ、そもそも件のシーンはなかなかに周到なシーンだった。
会話劇だけであそこまで認識を揺さぶるのは最高。
一種の催眠術だよな。
posted by おおおかとしひこ at 02:40| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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