自分に甘いと甘やかすからね。
アイデアを練っている。
なんかちょっと思いついて、
しばらくストーリーラインを作ってみる。
なんか面白いのは分かる。
しかし抜群に面白いかどうかはまだ未知数だ。
そのアイデアを元に、
足りてるか足りてないか分からないながらも、
全体が見えるプロットを書いてみる。
で、俯瞰できるようになったら自分に問うと良い。
「これ、抜群に面白いか?」と。
アイデアがあるのは分かる。
それがちょっと面白いのも分かる。
しかしそれが群を抜くほどかということを、
厳しく問うてみるわけだ。
たとえば後輩がこのプロットを持ってきたら。
たとえば新人賞受賞作品で、
全く別の人が作ったアイデアだとしたら。
たとえば外人がこのストーリーを作って、
ハリウッドで作るとしたら。
たとえば好きな漫画家の読み切りだとしたら、
自分を相対化するために、
他人が書いたものだと、
色んなパターンで想像してみると良い。
他人のものだとすると、
あなたはこう批評したくなるはず。
「着想はなかなか面白いが、
そのアイデアを十分に生かしてないんじゃないか?
もっと面白くなるだろ」と。
じゃあ、
その十二分にそのアイデアを使った、
贅沢な、理想のものはどういうものかを、
想像すれば良い。
それは、ネタに対して、
伸び代いっぱいまで伸ばす方法論である。
大抵は、その伸び代を使わずに収束してしまっているのだ。
今全く別の話を考えているんだけど、
「夢の中で出会う」というパターンの話を構想中だ。
そうすると、
「夢に侵入する」とか、
「予知夢」とか、
「同時に眠り夢の中で会う約束をする」とか、
「夢の中ではまったく別人として暮らしていて、
起きると元に戻るが、また夢に同じ世界が出てくる」とか、
「夢を見ていたと思ったら、
何年もたっていて、まったく別人として暮らしていた」とか、
「この世界は誰かの夢であり、本当の自分と世界がある」とか、
色々な夢もののパターンを、
並べてみることになる。
それに対して、理想は、
「これに匹敵する、夢ものの全く新しいパターンが作れるといいのに」
という要求をしてしまうわけだ。
パプリカよりも、マトリックスよりも、
異世界スレよりも、
面白い夢もののパターンが欲しいんだって。
「夢で会えると面白い」という、
思いつきとしてはなかなかだが、
実際の名作に比べてだと、
まだまだ普通のアイデアで、
それが作品のアイデンティティーになるほどのアイデアではない、
ということが、
こうやって客観化できるわけだ。
まだ足りないぞと。
これは、軽くプロットを練ってる段階だからこそ、
出来ることだ。
このあと世界観を作ってキャラクターを作って、
なんなら10枚ぐらいで詳細なトリートメントを書いたあとに、
「やばい、アイデンティティになるアイデアがない」
なんて気づいた日には、
もうその全部がボツになってしまうではないか。
この段階で、
「これはどういうアイデアのアイデンティティをもった作品なのか」
ということを詰めておかないと、
何も立ち上がってこないのである。
毎度毎度、アイデアというのはぼんやりしている。
それを具体的な文章に落とし込んでもピンとこない。
じゃあ脚本化すればピンとくるかといえば、
実際のところそうでもない。
(その後世界観やキャラクターでピンと来るものが出来ても、
ストーリーそのものがピンと来るものにはならない)
だから問うのだ。
そのアイデアが根底にあったとして、
理想はどんな所まで突き詰めてあるべきか?と。
夢の中で出会う話に関しては、
ちょっと面白いのが思いついたので伏せておく。
60点ぐらいのが、75点スタートになるくらいには、
いけそうだ。
あともうちょっとエッジが立つといいなあと思っているが。
アイデアが可愛すぎて、
自分に甘くなる人はとても多い。
10人がそれを元にオリジナルストーリーを書いたとして、
自分は誰よりも面白いものをものに出来るか、
と想像してもよい。
このままじゃ全く駄目で、
優勝するには、
これにさらに飛べるアイデアがいる、
と考えるべきだと思うよ。
もちろん、
そのアイデアは、
一行で書ける形をしている。
よいアイデアは必ず一行で、
ややこしくない。
「世の中をそうやって見るのか、
それは新しい見方だ」
となるものが、
理想のアイデアの形である。
そうなってないものは、
ちょっとだけしかリフトアップしてくれない、
まあまあのアイデアにすぎない。
理想はこれぐらい欲しい。
あなたは、目の肥えた観客として、
作者に要求する権利がある。
2018年06月02日
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