2018年06月02日

理想はこれぐらい欲しいと、自分に要求しよう

自分に甘いと甘やかすからね。


アイデアを練っている。
なんかちょっと思いついて、
しばらくストーリーラインを作ってみる。

なんか面白いのは分かる。
しかし抜群に面白いかどうかはまだ未知数だ。

そのアイデアを元に、
足りてるか足りてないか分からないながらも、
全体が見えるプロットを書いてみる。


で、俯瞰できるようになったら自分に問うと良い。
「これ、抜群に面白いか?」と。



アイデアがあるのは分かる。
それがちょっと面白いのも分かる。

しかしそれが群を抜くほどかということを、
厳しく問うてみるわけだ。


たとえば後輩がこのプロットを持ってきたら。
たとえば新人賞受賞作品で、
全く別の人が作ったアイデアだとしたら。
たとえば外人がこのストーリーを作って、
ハリウッドで作るとしたら。
たとえば好きな漫画家の読み切りだとしたら、


自分を相対化するために、
他人が書いたものだと、
色んなパターンで想像してみると良い。


他人のものだとすると、
あなたはこう批評したくなるはず。

「着想はなかなか面白いが、
そのアイデアを十分に生かしてないんじゃないか?
もっと面白くなるだろ」と。


じゃあ、
その十二分にそのアイデアを使った、
贅沢な、理想のものはどういうものかを、
想像すれば良い。


それは、ネタに対して、
伸び代いっぱいまで伸ばす方法論である。

大抵は、その伸び代を使わずに収束してしまっているのだ。



今全く別の話を考えているんだけど、
「夢の中で出会う」というパターンの話を構想中だ。

そうすると、
「夢に侵入する」とか、
「予知夢」とか、
「同時に眠り夢の中で会う約束をする」とか、
「夢の中ではまったく別人として暮らしていて、
起きると元に戻るが、また夢に同じ世界が出てくる」とか、
「夢を見ていたと思ったら、
何年もたっていて、まったく別人として暮らしていた」とか、
「この世界は誰かの夢であり、本当の自分と世界がある」とか、
色々な夢もののパターンを、
並べてみることになる。

それに対して、理想は、
「これに匹敵する、夢ものの全く新しいパターンが作れるといいのに」
という要求をしてしまうわけだ。

パプリカよりも、マトリックスよりも、
異世界スレよりも、
面白い夢もののパターンが欲しいんだって。


「夢で会えると面白い」という、
思いつきとしてはなかなかだが、
実際の名作に比べてだと、
まだまだ普通のアイデアで、
それが作品のアイデンティティーになるほどのアイデアではない、
ということが、
こうやって客観化できるわけだ。

まだ足りないぞと。


これは、軽くプロットを練ってる段階だからこそ、
出来ることだ。

このあと世界観を作ってキャラクターを作って、
なんなら10枚ぐらいで詳細なトリートメントを書いたあとに、
「やばい、アイデンティティになるアイデアがない」
なんて気づいた日には、
もうその全部がボツになってしまうではないか。


この段階で、
「これはどういうアイデアのアイデンティティをもった作品なのか」
ということを詰めておかないと、
何も立ち上がってこないのである。


毎度毎度、アイデアというのはぼんやりしている。
それを具体的な文章に落とし込んでもピンとこない。
じゃあ脚本化すればピンとくるかといえば、
実際のところそうでもない。
(その後世界観やキャラクターでピンと来るものが出来ても、
ストーリーそのものがピンと来るものにはならない)

だから問うのだ。

そのアイデアが根底にあったとして、
理想はどんな所まで突き詰めてあるべきか?と。



夢の中で出会う話に関しては、
ちょっと面白いのが思いついたので伏せておく。

60点ぐらいのが、75点スタートになるくらいには、
いけそうだ。

あともうちょっとエッジが立つといいなあと思っているが。



アイデアが可愛すぎて、
自分に甘くなる人はとても多い。

10人がそれを元にオリジナルストーリーを書いたとして、
自分は誰よりも面白いものをものに出来るか、
と想像してもよい。

このままじゃ全く駄目で、
優勝するには、
これにさらに飛べるアイデアがいる、
と考えるべきだと思うよ。


もちろん、
そのアイデアは、
一行で書ける形をしている。

よいアイデアは必ず一行で、
ややこしくない。

「世の中をそうやって見るのか、
それは新しい見方だ」
となるものが、
理想のアイデアの形である。


そうなってないものは、
ちょっとだけしかリフトアップしてくれない、
まあまあのアイデアにすぎない。



理想はこれぐらい欲しい。

あなたは、目の肥えた観客として、
作者に要求する権利がある。
posted by おおおかとしひこ at 12:55| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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