という感覚を、リライトの時に持てるか、
ということ。
自分の思うものの100に近づけることが、
表現だろうか。
あなたの想定した100は世間の50かも知れない。
あるいは、
あなたにとっては20くらいしか表現できていないものが、
偶然世間の99になっている可能性だってある。
これをリライト時に見極められるかどうかが、
リライトがうまくいくかどうかと関係している。
絵を直すのはわりと簡単で、
「うまいことかけてる場所」は見ればわかる。
自分的にもうまいことかけてるとか、
自分の実力以上に偶然うまいことかけてるところは、
見れはわかる。
ストーリーは何故かそうはいかない。
パッと見ることが出来ず、
時間のかかる「体験」のような感覚だからだ。
その時間的感覚を、
もっと良くしたりしようとか、
もっと緩急をつけようとか、
思ったよりよく出来てるとか、
思うことがリライトの第一歩にあるべきだ。
絵を直すようには、
ストーリーを直すことは出来ない。
筆を入れた部分と全体との関係を、
引いて見ることがなかなか難しいからである。
絵なら、後ろに下がり、
デジタルなら全画面を出すことで、
全体と今直している部分との関係を俯瞰できる。
今やってることが細かすぎて大差ないなと判断したりら
そこを直すならこっちもそう直すべきだ、
などの判断が俯瞰で考えられる。
しかしストーリーはそうはいかない。
全体の流れを頭の中で想像して、
直す前と直したあとの、
二つの流れを頭の中で想像して、
どっちがいいか選ばなくてはならない。
非常に頭が疲れる現象だ。
リライトというと、
気にくわない場面を気に食うように書き換えることを、
ついイメージしてしまうだろう。
そうではない。
あなたが気にくわない場面だったとしても、
全体の流れの中では気にならない場面である可能性がある。
それをあなたの気に食うように直したら、
全体の流れが悪くなることが、
まれによくある。
それは、その場面だけを近視眼的に直しているからだ。
リライトの時のオススメは、
全体の流れを4行で書き、
その中の各シーンを全部書き、
一言ずつくらいで流れを書いた、
全体表のようなものを用意することだ。
今自分がどういうところの何をどう直そうとしていて、
その結果どう流れが良くなるのかについて、
リライトは考えるべきであり、
あなたの気にくわない場面を、
気に食うように直すことではないのである。
あなたの作品だからあなたが全部気に入りたい、
という気持ちはわかる。
しかしあなたの作品は観客のものでもある。
観客が気に入れば100%OKだ。
作者のわがままで、
観客の気持ちを台無しにするリライトならば、
しないほうがマシなのだ。
リライトとはちょっと違うが、
「ET」のCG置き換え版は酷かった。
オリジナルって今手に入るのかな。
人形を使ったいい出来の部分が、
CGによって台無しになっていた。
あんなのETじゃないって感じ。
あなたのリライトは、それをやろうとしているのかも知れない。
勿論、そんなのにびびっていては大胆なリライトなど出来ない。
ざっくりメスを入れ、
入れ替えや継ぎ接ぎだってたくさんするべきで、
リライトは血の出る手術である。
しかし、どっちがどう良いか判断する目を、
失ってはいけない。
新しい方を可愛がる傾向が人にはあるからだ。
兄より弟、弟より末っ子のほうが可愛いからね。
リライトの版は、
新しいほどよいとは限らない。
あなたの思い通りにいかせる版がベストとも限らない。
よく出来ているバージョンがベストの版であり、
そのよく出来ているという判断こそ、
脚本理論で分析され、
かつ観客目線の素人のように見なければならない、
ということだ。
冷静と情熱の間を、激しく行き来しなければならない。
オススメは、
最初にメモを取らず一気読みして、
全体の流れを把握することだ。
メモなしで頭の中で流れをつかみ、
その流れをどうしたら良くなるかを考えることだ。
メモなしでやるのは、
頭の中で動かせるレベルのことをまずやるためだ。
細かいところは置いといて、
流れのリライトを(頭の中で)やるのである。
それができたら、全体像を詳細に書いて全体表を作り、
各場面で到達すべきことの修正をする。
その理屈の部分がうまくいくようにしてから、
最後に気になった表現を直していく。
ヤスリをかけるのに、
荒いものからかけて細かいものにしていくべきだが、
リライト慣れしていない人は、
細かいのからかけてしまう。
それは、
自分の気になるところから片っ端に直そうとするからである。
気にくわないがうまくいってるところをめためたにし、
最終的には良くなくなるリライトを、
してしまうことになるだろう。
自分の思うものとは違ったが、
これはこれで面白い。
そういう目があるかどうかで、
リライトの精度は変わってくる。
2018年06月03日
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