2018年06月12日

暗黒面と向き合うこと

ブレイクシュナイダーのBS2に、
ミッドポイントと第二ターニングポイントの間にある、
「死の予感」というやつがある。

ちょっとそれじゃ弱いと思う。
僕は、「暗黒面と向き合う」と考えた方がわかりやすいと思う。


何故主人公は、問題の解決に乗り出すのだろう。
困ったから、という直接的な動機はある。

でも本当は、
自分の弱点や渇きが、
その大問題を解決することで、
解決するんじゃないかと、
無意識で感じているからじゃないか。

意識的に「これを解決することで、
自分の足りないところを埋めよう」と思っているわけではないと思う。

これに何となく惹かれる、
という無意識レベルで良い。
(逆に意図的なのはネタバレだ)


で、
物事の解決は一本道に成功への階段をかけ登れる訳ではない。
右往左往したり、
壁にぶち当たったり、
回避したり乗り越えたりして、
あっちこっちぶつかりながら話はすすむ。

その過程の中で、
最大のピンチが訪れるときがある。

大概は、今まで無意識であった、
自分の弱点や渇きや欠損に関わることと、
関係して大失敗したときだ。

ただの失敗じゃない。
「その人にとって一番辛い失敗」になると良い。

だからこのあと大逆転になる。
そのための、ここが一番低いところだ。

これをボトムポイントなどといい、
ミッドポイントと第二ターニングポイントの間に大抵くる。
「死の予感」は、
ボトムポイントでは死の予感を伴うべきだ、、
ということを言っている。

僕はここで、
主人公の暗黒面との向き合いが重要であるような気がする。
今まで本人的には無意識的だった弱点が、
失敗によって露わになるのが、
ここだと僕は考える。

「死の予感を物理的に暗示するビジュアルを使うことが多い」
とブレイクシュナイダーは予言しているが、
暗黒面との向き合いをビジュアルで表現すれば、
たいていはそういう感じのものになる、
というだけのことだと思う。


自分の嫌な部分。弱点。欠点。
欠損。欠落。なにが足りないのか。
それが明るみに出てしまい、
それをどうにかするには、
問題の失敗を成功に導くことで、
どうにかするしかない、
という内面のなにかを、
ここで描くことになるだろう。

一人で思い悩む場面でもよいし
(ブレイクシュナイダーが例にあげたのは、
橋の上で川面を見つめる場面であった。
自殺っぽい場面だ)、
誰か聞き役に語る場面でもよい。


それを考えることで、
ターニングポイントになるということ。

次の勝利の為の、
大逆転の糸口を、
そこで掴むべきということ。

それが振り幅の、最も暗い底付きの部分であると、
僕は考えている。


それがない、
ただ成功していくだけのストーリーなんて、
嘘っぽいし、
ご都合だと思う。

失敗から何を学んで成長するのか。
それこそが人生を次に進める力になると思うんだよね。

ラッキーとか他人からの援助だけで事を進めると、
それはご都合だ。

逆にご都合とは、「自力解決でないもの」
の総称かも知れない。


自力解決をどうやるのか。
それこそがストーリーの骨格だ。

その鍵になるのは、
自分の暗黒面との向き合いだと、
僕は考えている。


ここでヒントにたどり着けるからこそ、
このあとの大逆転の布石になるのだと思う。
posted by おおおかとしひこ at 10:56| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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