2018年06月14日

失敗したらどうするんだ

という脅しに対して、
「また一から作ればいいじゃない」
と言えない人が、
老害を生んでいるのではないか?


話は戦後まで戻るけど、
焼け野原から、
一から作ってきた人たちがいて、
それは70年代くらいまでは普通にいた。

たとえば「プロジェクトX」で特集された人たちばかりでなく、
ものづくりの裾野には、
もっともっと膨大な人たちがいたはずだ。

ものづくりにはふたつある。

ものそのものを作る発明のこと。
それを大量生産して安定供給して販売網をつくり売り込むこと。

前者はクリエイターの仕事で、
後者は営業や経営の仕事だ。

戦後はどっちも焼け野原からの出発で、
つまり、
ものそのものの発明と、
販売網の開拓の、
両方がなされた。

テレビの黄金期の前には、
テレビを売ったり番組づくりのノウハウをつくったり、
スポンサー集めからはじまったはずだ。


そういう、開拓者たちは引退した。
今は、その開拓した網を、継ぐところから始めた人が、
会社組織のトップにいる。

だから、
「失敗したらどうするんだ」と怯える。

彼らは一から網を開拓したことがないからで、
失うことしか知らないからだ。

これが一から開拓した人なら、
「またどうにかして開拓するわ」と、
開き直れるはずだ。

開き直って全力を出す人と、
怯えながら左右ばかり見る人は、
どちらが多く成功するだろう。



我々は開拓者だ。
白紙から面白いフィニッシュを作り出す魔法使いで、
白紙の畑を開拓して面白さの果実を得る者である。

ところが、
会社組織で網を持つ者は、開拓者ではなく継いだ者に過ぎない。

だから彼らは、
「また開拓したらいいじゃない」とは、
思っていない。
「失敗したらどうするんだ」
ばかり言う。



これは、
日本全体の問題かも知れない。

ざっくりした世代論だ。


働き盛りの人たちよ。
新しく会社を興し、
新しく網ごと開拓すればいいんじゃないか?


電子書籍で個人で出して、
出版社に頼らない、
なんて作家が出始めている。

ライブと配信で、
レコード会社に頼らない、
アーティスト達が出始めている。

テレビ電波と放送作家に頼らない、
ユーチューバーたちもいる。


ネットという網が、
現実の網に対してどれほど強いかは現時点でも不明だが、
開拓者たちは沢山いる。

過去の網を守り、作らない者。
網を開拓し、作り続ける者。

前者が今の大企業なんだなあ。


失敗したらどうするんだ。
また作ればいいじゃない。
何を怖がっているんだ。
先人たちは大変な苦労をしてここまできたんだ、
なら、
僕らも大変な苦労をすればいいじゃない。

ものづくりなんて、大変な苦労ばかりなんだから。

でもそれがとても面白くて、傑作を生めるから、
ものづくりって楽しいんだろ?

失敗したらどうするんだ、っていう人は、
成功したときの楽しみを知らない人だと、
僕は思うよ。
posted by おおおかとしひこ at 13:48| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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