ふと我に返る。
それは大抵途中まで作った作品だ。
あれ?これ何がいいんだっけ?
全然何にもなってないよ。
ていうかこんなのをいいと思ってた自分が恥ずかしい。
封印だ。
こうして、その作品は完結まで書かれない。
僕は、それでもなお「終わり」まで書くべきだと考える。
なんなら、想定していたラストシーンを、
その最後に付け加えて、今日完結させてみたまえ。
それであなたの執筆の、苦しい旅はとりあえず終わるから。
その作品が成功か失敗か、
それは完結するまでなんとも言えない。
これはこれで失敗作である、
そう認めるのをあなたが怖いだけだ。
失敗作であると確定すれば、
その原因を調査し、
次どうだったら成功だったか考えるとよい。
簡単だ。
あなたはクソ作品を見たときに、
「もっとこうするべきだ」と考えるだろう?
それをやるだけでよい。
あなたの見立てが正しく、
そしてあなたの筆力があるならば、
そのクソ作品はたちまち名作に生まれ変わるだろう。
しかし、それを実際にやることはとても困難だ。
「脚本添削スペシャル」で毎年示しているように、
「書き直し」という行為は、
「ほとんど全文書き直す」ことである。
勿論他の人が書いた作風のを、
僕の作風のものに書きなおさざるを得ないから、
どうしてもそうなってしまう。
その人の好みと僕の好みも違うし、
その人の考えと僕の考えも違う。
毎回のリライトは、ベターではあると考えるが、
ベストだという保証も証明もない。
リライトは、
ベストになる保証も証明もない。
ベターになることは可能だ。
だから極端にいうと終わりがない。
だから、
自分でゴールを決めるとよい。
〇〇の部分がイマイチだったから直したい、
ワクワクするところをもっとワクワクするように、
悲しい部分をもっと悲しく、
コントラストをもっと対比させて、
伏線を直したい、
などなどなどだ。
それは、紙に書いて、「リライト目標」と書いておく。
それが全部出来ればリライト完了だ。
あなたはどういう話が書きたかったのか?
どういう話が理想的なのか?
それを思い描き、
現状と何が違うかを分析する。
そして、ゴールに行くためには、
どういう手術が必要か具体策を練る。
基本はその繰り返しだ。
何もかもばかばかしくなるのは、
その理想に対して、
今の力が全然足りてなくて、
絶望したときだろう。
100に対して、
これだけやったのに2とか3だったら、
何もかもやめたくなるのは当然だ。
85は行ってたと思ったら45ぐらいだったときは、
もう封印しようと思ってしまうものだ。
コップに半分水があるとき、
半分くらいないと思うか、
半分あると思うかの違いである。
ポジティブに考えれば、
2だとしても98をやればよいし、
45ならあと55やればよい。
それだけのことである。
あなたは何の為にそのストーリーを書いているのだろう。
自分の名誉欲を満足させる為だろうか?
俺すげえと自慢したい為か?
他の人に認められたいからか?
売れたいからか?
歴史に残りたいからか?
コンプレックスが強く、これだけしか自信がないからか?
なんだって構わない。
それは、作品を作る根本的なリビドーになっているから、
それ自体は否定しない。
しかしながら、
「この面白いストーリーを、ちゃんと書き終えたい」
という、
全く別の欲があることも、
あなたは知っているだろう。
他人や自分の賞賛という、世の中の文脈と全く違うところでの、
「作品欲」とでもいう欲。
僕は、
それに従うとよいと思っている。
思ったより面白くなかったら、
もっと面白くなるように、
要素を足したり引いたりして、
さらに良くすればよいのである。
それは、途中でやってはいけない。
完結させて、
リライトの時にやるべきだ。
なぜなら、途中でやると、
途中まで書く→書き直したくなる
→その続きを書く→書き直したくなる
→…のループになり、
書き直しの時間の方がかかってしまうからである。
(FSSはその泥沼にはまったと思う。
エルガイム外伝から始まったものが、
ドラゴンやら魔導やらを足し始めて、
ゴティックメイドって)
初期衝動なんて数ヶ月も持たない。
そのうちに、まずは完結させることだ。
本文全部を数ヶ月で作れないならば、
プロット(全ての行動を決めて、因果関係を整理すること。
だいたいではなく、「全て」)だけは、
完結させておこう。
何年かかってもそれは書くべきだという情熱は、
その数ヶ月以内に確定する。
人は冷める。
数ヶ月も初期衝動は持たない。
だから、書いてる途中に我に返ることは、
まれによくある。
だから、放り出すのではなく、
次にラストシーンを書いてでも、
無理矢理完結させるのだ。
駄作として丸めて捨てても良いし、
いや捨てるには惜しい、
こうすれば生まれ変わるかも、
とリライトを始めても良い。
未完結な中途半端になることだけは、
避けられる。
連載形式はこれが出来ないので、良くないと思う。
完結作品単位の脚本は、
それを避けられるのでオススメだ。
2018年06月14日
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