ローマ字の達人に、カナ入力の達人は勝ちづらい。
層の厚さという問題もあるかも知れない。
しかしどうしてもカナ入力がローマ字に勝てない部分があって、
それがロールオーバーだと思う。
ローマ字は、慣れたら一気に数文字を打つ。
人によるけど、5とか8とか12とか。
それらのキーを、いちいち、「押す、離す」をしていない。
前のキーを離す前に押す。
感覚としては、「押す、押す、押す、押す…」のはずで、
この中に「離す」の意識など入っていない。
離す前に押すのを、ロールオーバーという。
ローマ字入力の高速領域における利点は、
ロールオーバーだけで入力出来ること
(例外は促音、nn、「ああ」「おお」など母音が二回以上続くときのみ)と、
ロールオーバーに使用するキーが、
カナ入力に比べて異常に少ないことである。
少ないキーをロールオーバーしまくって入力出来るのが、
カナ入力から見たローマ字入力だ。
え、何当たり前のこといってんの、
と、カナ入力を経験していない人は言うだろう。
カナ入力は、
「離し入力」を意識しないといけない場面がちょいちょいある。
「シフト」という機構のためにだ。
JISカナの「っ」を考える。
シフト「つ」だ。
シフト押す→「つ」押す→シフト離す
までが一連。
「つ」の離しは意識しなくて良い。
次も小書きでない確率の方が高いから、
JISカナでは「シフトの離し入力」という意識を、
「押す」の中に混ぜないといけない。
親指シフトだが連続シフトである飛鳥は、
シフトを離すタイミングが打鍵の中に混ざる。
単打とシフトが混ざった言葉は、そこだけ結構遅くなる。
(シフトがバタバタする、なんてよく言われる)
単打のみ、連続シフトのみで打てる言葉はロールオーバー可能で、
そこが多いことが「飛鳥は言葉がつながる」
という感覚の基盤だろう。
親指シフトにおいてはどうだろう。
シフトをかなり使用するが、
文字自体はロールオーバーで打てるはずだ。
ロールオーバーで打っている文字のタイミングに、
親指を和音のように合わせていく意識だろうか?
それとも、単打ロールオーバーとシフト押し離し入力の混在をしているのか、
それとも混在意識を嫌って全部同リズムで打っているか、
高速タイパーの話があまり出てこないのでよく分からない。
もし第一の意識で良いのなら、割と速いかもな、
と経験していない僕は想像する。
でも配列図を見る限り、あまり良い運指になるとは思えないけど。
新下駄は親指ではなく、中指や薬指をシフトに使う。
作者のkouyさんの話によると、
かつてロールオーバーが出来ない、割と特殊な人だったようだ。
しかしローマ字を徹底的にやることでロールオーバーをマスターして、
単打ロールオーバー、シフトを離し入力込み、
と使い分ける研究をしているようだ。
(随分前の記事なので最近は不明)
薙刀式は連続シフトの部分は飛鳥のように、
同時打鍵は新下駄のようなハイブリッドだ。
どちらも「離し」を意識しないと誤打になる。
この離しのパターンが多いので、
薙刀式は最高速にはなれないと考えている。
もともとタイパー配列を目指した訳ではないし、
練習量に対する効果を最大化した感じの、
コスパのいい配列になったと考えている。
書いてて思ったけど、
連続シフトをやめて親指シフトのような同時打鍵にすれば、
高速用の薙刀式になるだろう。
でも、普段使いでバシバシ親指を打つのはめんどくさいなあ。
連続シフトのいいところは、楽なところで高速なところではない。
こういうことで、
「シフトの離し意識」、
「使うキーの多さ」(JISカナなんて4段だし)
という二つの欠点が、
ローマ字入力から見たカナ入力にはある。
でもその分なにが得られるかというと、
心的負担の少なさではないかなあ。
「ワンアクションで1文字」という、
日本語を打つことに当たり前の原則が貫けることが、
カナ入力の「脳と文字が直結している感覚」
を生んでいて、
これこそがカナ入力者がローマ字に戻らない理由だろう。
(1文字に複数アクションが必要なことが、もう嫌なのだ。
それを「脳内ローマ字変換」と呼称しているに過ぎず、
それが誤解の原因だというのは前にも議論した)
月配列系の前置シフトは、
ローマ字の意識に近いような気がしている。
ロールオーバーしまくればいくらでも高速化出来るはずで、
ローマ字っぽく打てる人ならば、
運指さえ良ければいくらでも高速化出来るはずだ。
月を改良している人が多いのは、
その可能性の探索をし続けた結果なのかも知れない。
高速タイパーに月が多いのも、
ロールオーバー前提配列だからだと僕は考えている。
なんてことを、
タイプウェルを打ちながら考えていました。
「カナ入力が打鍵数が少ないから高速だ」は、詭弁だ。
それがほんとなら、世の中にもっとカナタイパーが溢れていても良い。
この言説は、「qwerty配列はわざと遅くなるように配置した」
くらいよく聞く、デマだと思う。
ローマ字の良さは、ロールオーバーによる高速化、
カナ入力の良さは、
「脳と文字が、一対一で直結している感覚」だと思う。
二つの方式は別のベクトルを向いていて、
対立する概念ではないのではないか?
で、作家たる僕は、高速化したいのではなく、
思考と文字を直結したいのだなと。
少なくともqwertyローマ字ではそれがとても困難で、
ここまで来たんだなあと。
思考がどうやって文字になるかのプロセスが、
科学的に解き明かされない限りは、
このあたりは各自の主観になってしまい、
客観的数字で比較できないのが残念だ。
(客観的数字がないだけで、現象としてはあるものだと思う)
ということで、
薙刀式動画は、「思いついたことをだらだら10分以上書く」
という、みんなが見たいのになかなかないのにしようと考えている。
脳との直結ぐあいが分かるような動画にしたい。
思考を晒すのは恥ずかしくて躊躇してたけど、
一回テストしてみて、これはなかなかみんなの参考になるぞと考えた。
まだニューキーボードに慣れていないので、
今週末撮影予定のスケジュールは後ろに倒すと思う。
2018年06月15日
この記事へのコメント
コメントを書く