2018年06月21日

リライトすると、一時的に悪くなる

という現象がまれによくある。

頑張ってリライトしたものの、
前の方が良かったな、と考え直し、
元に戻すことは、
割とよくあることだ。

しかしそれは間違っているかもしれない。


リライトというのは、
まず現在の原稿を、「Aである」と客観的に評価することから始める。
これを、「Bである状態にしよう」と、
言葉にすることをしたほうがよい。

これらはなるべく本質をズバリと突いた言葉が望ましい。
「明るい」から「暗く」しようとか、
「御都合主義である」を「自然に起きたようにする」とか、
「魅力が足りない」から「〇〇という魅力を足そう」とかだ。


で。

前の原稿は、Aに関して80点取れているとしよう。
新しく直したBが60点だとする。

直したけどイマイチだな、
と思うあなたの判断は、
AとBの優劣ではなく、
80と60を比べている可能性がある、
というのが本題だ。


AとかBとかを方向性、
点数を出来だと考える。

あなたのリライトは、
A80をA100にすることなのか、
A80をB100にすることなのか、
ということだ。

リライトは大抵完成度が低い。
60点でも取れれば御の字だ。
次回、次次回のリライトで点数を上げていくのだ。


だから、80と60を比べるべきではない。
ABを100の状態と想像して、
AかBかの、方針を決めるべきだ。


そんなのやってみないと分からないよ、
というならば、やってみればよい。
A100、B100になるまで、
じっくりやればよい。

そのうち、
60程度でも判断できるようになってくる。
全力を一度出した経験がないと、
100を予測することは難しい。


(これが複数の人間が関わるプロジェクトでは、
ボトルネックになることが多い。
A100B100を両方作って見せないと、
分からないなどとよく言われる。
広告において顕著だ。
だから広告はカネと時間がかかるんだぜ?
ああ、Bでよいです、と60の状態で判断できれば、
料金は半額にしてもいいくらいだ)



リライトは、
AかBかCかを迷うものであるべきで、
完成度で判断するべきものではない。

完成度を上げることは、
もっとも最後の作業であるべきだ。


ミクロン単位まで詰めたのを、
メートル単位でひっくり返していては、
出来上がるものも出来上がらない。


でも再読すると、
ミクロン単位が気になっちゃうんだよね。

だから、
「ミクロン単位で読まない」
「方向性で読む」
という、
リライト時特有の読み方を、
あなたはマスターしなければならないのである。
posted by おおおかとしひこ at 13:41| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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