ものすごくざっくりいうと、
このみっつを作れると、
ストーリーは「書ける」という確信に変わると思う。
事件:
面白そうな事件。聞いたこともない事件。
どうやって解決するのだろうと興味を引くもの。
新しいネタ。
それを利用した面白そうな事件。
(たとえば最近だと人工知能系が何かの事件に絡むのは、
あるんじゃないだろうか?
量子コンピュータとか量子テレポーテーションや、
ブラックホールでもいい。
ケータイやネットの黎明期では、
「闇サイト」とか「謎のサイト」なんてのがよくネタになったよね。
そんな感じ。
「今の最先端」にこそ、新しい物語のネタがある。
あるいは、
マイナーだけれど、
誰も知らない面白そうなものを題材に取るのはある。
マイナー仕事ジャンルとか。
万引きGメンとか超能力捜査官とかもいいし、
僕は競技タイピストの話とかも面白そうだと思う。
「知らないことを知る」のは、
知的興奮だからね)
解決:
それがどうやって、「なるほど」と落ちる解決になるかを考える。
問題と解決のペアで、
何かしらのテーマが暗示できるのがベストだが、
一発でそこにたどり着けないときは、
主人公目線で考えてみる。
主人公を考える。
主人公はその問題にインパクトのある方法で巻き込まれ、
解決しなければならなくなる。
何故解決しようと思うのか、
その動機がないと話を前に進める燃料にはならない。
事件と解決そのものに主人公の動機があるなら、
テーマ、主人公、事件が一直線になるが、
そうなることは稀で、
主人公は、事件と関係ないBの問題を抱えていることが多い。
事件Aの解決が、問題Bの解決にもなるのではないか、
と主人公が気付いたとき、
主人公は問題解決にひた走るようになる。
ということは、解決はAB同時の解決になる、
というインパクトが必要だ。
公的な事件、私的な問題。
これらをうまく設定して、
解決のインパクトから逆算したり、
事件発生のインパクトから、
うまく解決の段取りを考えて、
上手に着地させるか、
どちらのやり方もある。
恐らくはその両方を試して、
色々な部分を調整しているうちに、
出来上がることが多い。
「問題から解決が一本の糸になった」
と確信が生まれるときだ。
このとき、
自動的に「間のアレコレ」はいくつか出来上がっていることがある。
事件開始、主人公のB、
巻き込まれ、
ああなって、
こうなって、
最後にこれをやって、解決、おしまい。
ここまでが自動的に出来上がる。
「自動的に」というのは、
テクニックや理論があるわけではなく、
センスで作る、という意味だ。
モヤモヤしたアイデアが、
頭の中で転がしているときに、
形をとっては消え、
ある部分を再利用したり、
あるいは組み合わせたり。
いくつかあり得る中の、
まず最初の形を取るまでは、
理論はないような気がしている。
これを自動的に出来ない人は、
ストーリー作りは向いてないような気がしている。
ここまで出来たら、
「間のアレコレ」を考える。
間のアレコレ:
解決に必要な段取りが、
いくつかあると思う。
それを書き出す。
すでにストーリーの雛形になっているが、
それをさらに面白くするのがこの段階。
つまり、「障害と乗り越え」を足す。
わざとトラブルを起こそう。
ミスをしてもいいし、
先方の都合が急に変わってもいいし、
偶然が作用してもいい。
ものすごい反対する人を出して、
それを敵として、それをやっつける(追放する)
話にしてもいい。
ドSの発想だ。
主人公はあなたでなく他人だから、
他人への無茶振りである。
それでも乗り越えたい動機さえあれば、
なんとかしてそれを回避したりやっつけたりして、
次へ進もうとするはずだ。
そのアップダウンを大きく作れれば作れるほど、
ストーリーは面白くなってくる。
主人公の抱えるBに関しても、
最大にややこしい、最悪の事態になると良い。
それをどう見事に、あるいは泥臭く、
解決するかがストーリーである。
一人じゃ解決できないことが多いので、
協力者について考えても良い。
彼または彼女の抱えるCはなにかを想像する。
呉越同舟になっていくだけで、
ストーリーはバディものになる。
さらにDEを抱える、
協力者や第三者や敵を出していくと、
間のアレコレは随分豊かな絡み合いになっていくだろう。
予想を裏切るサプライズも必要だ。
すごい大どんでん返しでもいいし、
ツイスト的な捻りを加えても良い。
ストレート過ぎるならそうするべきだし、
意外とストレートが面白いこともある。
色々やってみて、いけそうなやつに収束していくだろう。
面白いと思った要素も、よくなかったら外すとよい。
これらを、
頭の中だけでやるのがコツだ。
もちろん忘れてはダメだから、
メモを随時取ってもよい。
しかし構想は頭の中だけでやるのがコツだ。
事件の起き方を想像したり、
途中の場面を想像したり、
ラストを想像したり、
頭の中で色々な所へ行ったり来たりするとよい。
場所を移動させたり、
別々のキャラクター視点で考えてもよい。
良ければメモを取る。
良くなくてもメモを取る。
とにかく頭の中で、
ストーリーの形で説明できるまで、
頭の中で想像するとよい。
で。
大体出来たかな、
と思ったところで、「一連のメモ」にする。
○○○○→○○○→○○○○○○→○○…
という形式で良いから、
発生から解決までだ。
キャラクターが喋り出すこともあるから、
そのセリフもメモろう。
あとは、これを見ながら、
捨てたアイデアを足してみたり、
今あるところを捨ててみたり、
設定を変更したり、
起伏をより激しくしたり、
捻ったり、戻したりするとよい。
紙がごちゃごちゃになってきたら、
白紙に何も見ずに、
一から書き直すと面白いことになる。
勝手にストーリーっぽくなっている。
これは落ちがわかっているから出来ることで、
始点と終点が決まっている弦を、
どこに張るか、というようなゲームである。
何回か白紙に書き出すことになる。
その度にバージョンは変わって行く。
タイトルをそろそろ考え出すだろう。
そのタイトルに触発されて、
中身がまた変わることもあるし、
それに応じて別のタイトルも思いつくだろう。
そうして、
ストーリーは大体の命の形をとる。
で。
それを一度白紙に、
最初から最後まで書いてみる。
それがストーリーの、最初の形である。
シノプシスとかメモとか、
プロットとか、言い方は色々ある。
ここから、
三幕構成理論を使って、
三幕に割り、
各分量を計算して形を整えていき、
文章として書いたものが、
僕のお勧めするプロット形式だ。
まだそこに至らなくていい。
あなたがそのメモを見ながら、
誰かに説明できるくらいでよい。
ここまでを、一日でやりたまえ。
集中力が持つのは1時間程度だから、
何ラウンドかに分けてもよい。
纏めるのが苦しいなら、別のネタででもやってみたまえ。
そして明日、別のネタでストーリーを作りたまえ。
最低三本。出来れば10本。
それぐらいやると、
なんか面白そうなストーリーが、
集積される。
何本かプロットに出来るだろう。
し終えたら、
また新たなネタ探しだ。
これを繰り返していくうちに、
面白いストーリーのストックがたまってゆく。
あるいは。
名作を見たとしよう。
それはこの三要素をどうやって作って行ったのか、
ゼロからシミュレーションしてみるのだ。
最初に何を思いついたらこれが出来るのか、
このやり方に馴染んでいれば、
ある程度は再現できるはずである。
コツは、
頭の中を主舞台にし、
メモはあまり見ないこと。
メモは備忘録のレベルで良い。
だからレイアウトフリーで誤字脱字関係ない、
手書きがよい。
タイピングはプロット段階まで使わないこと。
タイピングはこの段階では発想の邪魔をする。
漢字変換に気を取られているうちに、頭の中の舞台は消えて行く。
あなたの頭の中で、
「頭からケツまで出来た時」が、
「ストーリーが出来た時」だ。
2018年07月04日
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