2018年07月07日

テーマとビジュアル2

で、仮にお好み焼きがテーマを示すビジュアルにするとすると、
それが唐突に出てきてはいけない。


お好み焼き屋の話であるとか、
母の作るお好み焼きの話であるとか、
東京に来た大阪人の話であるとか、
お好み焼きが中心になっても不自然でない、
ストーリー設定にするべきだ。

モチーフとテーマが混同されるのは、
このようなことによる。

モチーフがお好み焼き屋で、
テーマがお好み焼きで示されることもあるからだ。

テーマが自然にビジュアルで示せるように、
それを象徴するビジュアルを出しやすい、
モチーフが選ばれていることが多いため、
まさか自然に移行しやすいように、
巧妙に用意されたものとは思えないからだ。

出来上がったものから、
それらを分離し、
巧妙に自然に出てくるように、
用意されている、
と考えるべきだ。


もし、
「二つの角度から見たら全然違うように見える彫刻」
をテーマのビジュアルにするならば、
それが待ち合わせの場所にオブジェとしておいてあるとか、
それが学校のシンボルであるとか、
その彫刻を作る人の話であるとか、
そのように持っていくだろう。



では、
テーマ、それを象徴するビジュアル、
それが自然に出てくる世界、
その3つはどの順で作るのだろうか?

僕は、
順番はないと考える。

説明のためにこの順で書いたが、
実際のところは、
これらはストーリーそのもの、
つまり事件と解決までの一連の行動や、
キャラクター性などと、
同時に出来上がるものだと思う。

まあ大体は、
ある程度ストーリーができたところで、
この話のテーマはなんだろうと考え、
それを面白く象徴できる新しいビジュアルになるのはなにかを考え、
それが自然な舞台に再設定したりするものだが。

あるいは、
先に新規性のある斬新なビジュアルを持ってきて、
それが示すテーマを作り、
それを描くための世界設定やストーリーを考える、
というやり方もある。

しかしこの方法だと、
「面白いストーリーありき」ではなく、
「面白そうなテーマありき」になってしまい、
斬新なビジュアルを用意したものの、
その期待に応えられるだけの、
面白い話を思いつくまで至らないことが、
経験的に言えると思う。

僕は、まず面白いストーリーを思いついてから、
ガワを変えて、
面白いビジュアルに収束するように、
それぞれを整えて行った方が、
全てが一体化したものを作りやすいと考える。

(人によるだろうけれど)


もっとも、
最初に何か面白いネタを持ってきた時点で、
「これはこういうテーマ性を示せるぞ」
というパターンをいくつか考え、
それありきで物語を何パターンか作る、
ということもありえる。

お好み焼きを仮に持ってくるとしたら、
「人間も裏表をひっくり返すのは難しい」とか、
「人間は素焼きじゃなくて、だれか他の人(ソース)
との組み合わせが大事」とか、
「出来合いのものをもらうんじゃなくて、
自分で作るから面白いんだ。人生は」とか、
「マヨネーズかけるのは子供、
大人はほろ苦さを好む」とか、
「具はいくらでもあった方が面白い、人生も」とか、
「弱火でじっくりいく方がいい、人生も」とか、
色々なテーマを、お好み焼きで象徴できることがわかる。

これらの中から書ける、
最も面白いストーリーを書くという手もあるし、
お好み焼き屋○○で起こる人間ドラマで、
毎回最後にお好み焼きを焼いて食べるシーンで、
このようなテーマが暗示される、
シリーズ物を作っても良い。


このように、テーマを表しやすいモチーフ出発でも良いが、
それはさまざまなストーリーを柔軟に作り慣れている、
どちらかというとプロ寄りのやり方かもしれないね。

深夜食堂は一つの料理にしてないから、
ここまで縛りがキツくないだろう。


どのようなやり方をしてもよい。


最終的には、
面白いストーリーで、
面白いキャラクターで、
しっかりと腑に落ちるテーマ性があり、
それがビジュアルで記憶に残ればよい。

そして、
そのストーリーは、
たとえば「お好み焼きの話」のように、
そのビジュアルで語られる作品になる。
それがイコンだ。
posted by おおおかとしひこ at 16:34| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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