2018年07月07日

テーマとビジュアル3

さらに続けます。

最近の宣伝部が無能なポスターばかりつくって、
その映画のストーリーがイコンになっていないのは、
宣伝部が無能なのか?

ストーリーにテーマになる斬新なイコンがないからか?


卵が先か鶏が先かという問題だが、
昔に比べて、
映画からイコンが失われて来ているように思う。


自分の例をひくが、
「いけちゃんとぼく」は、
いけちゃんと子供(ヨシオ)のわんぱく記のように、
見せかけたイコンであるべきだ。

原作もそうだし、
僕はタイトルバックをそうした。
西原文学の象徴、
草原(だれの土地でもない、余り物の場所)と、
海と空を背景にするべきだ。
そして映画版いけちゃんとぼくでは、
その海と空が見える草原探しに、
最も力を費やした。

そのようなわんぱく記が哀しみや感動を背負う、
というのが西原文学の基本で、
いけちゃんとぼくの場合は、
それがラブストーリーでもあるというひねりがある。

だから僕は、
イコンはわんぱく記にしておき、
キャッチコピー「ありがとう。あいしてる。」で、
ラブストーリーを暗示させ、
ただのわんぱく少年物語ではない、
と表現するべきだと主張した。


ところがアレはなんだ。
海に佇む老人二人の背中に、
ネタバレ満載のキャッチコピー。

あほかと思ったよ。

それがイコンになる物語とは、
「老いらくの恋」がテーマだろうが。

僕はそのビジュアルに強硬に決めた宣伝部を許していないし、
だから角川映画宣伝部とは二度とやらない。


何故そのように決めたのかというと、
「大人向けのラブストーリーだから」と答えやがった。

表現やイコンやテーマについて、
何もかも間違っているのでいちいち解説しない。




つまりは、
宣伝部に要求されることとは、
ストーリーのテーマ(モチーフではない)を把握して、
それが象徴されるビジュアルを上手に抜き出して、
一枚のイコンにするだけの、
グラフィックデザイン力である。

それを、受けるからという理由で、
人気芸能人をコスプレして並べているものの、
何が興行的に成功するのか、
朝まで解説してほしいものだ。

観客は面白いストーリーを見たいのだ。
人生を変えるほどの衝撃や感動を欲していて、
人気芸能人が見たいのではない。
(人気芸能人はテレビやユーチューブでも見れる)

勿論人気芸能人は客寄せパンダであるから、
それを使わない手はないが、
それは面白いストーリーの保証(一流が出ている)
という程度に過ぎず、
そもそもそれはどういう面白さなのかこそが、
最も宣伝するべきものだ。


その読解力、表現力のない者は、
映画宣伝部を名乗るべきではないし、
そのようなストーリーを作れない者は、
脚本家を名乗るべきではないと、
僕は考えている。
posted by おおおかとしひこ at 16:53| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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