さらに続けます。
最近の宣伝部が無能なポスターばかりつくって、
その映画のストーリーがイコンになっていないのは、
宣伝部が無能なのか?
ストーリーにテーマになる斬新なイコンがないからか?
卵が先か鶏が先かという問題だが、
昔に比べて、
映画からイコンが失われて来ているように思う。
自分の例をひくが、
「いけちゃんとぼく」は、
いけちゃんと子供(ヨシオ)のわんぱく記のように、
見せかけたイコンであるべきだ。
原作もそうだし、
僕はタイトルバックをそうした。
西原文学の象徴、
草原(だれの土地でもない、余り物の場所)と、
海と空を背景にするべきだ。
そして映画版いけちゃんとぼくでは、
その海と空が見える草原探しに、
最も力を費やした。
そのようなわんぱく記が哀しみや感動を背負う、
というのが西原文学の基本で、
いけちゃんとぼくの場合は、
それがラブストーリーでもあるというひねりがある。
だから僕は、
イコンはわんぱく記にしておき、
キャッチコピー「ありがとう。あいしてる。」で、
ラブストーリーを暗示させ、
ただのわんぱく少年物語ではない、
と表現するべきだと主張した。
ところがアレはなんだ。
海に佇む老人二人の背中に、
ネタバレ満載のキャッチコピー。
あほかと思ったよ。
それがイコンになる物語とは、
「老いらくの恋」がテーマだろうが。
僕はそのビジュアルに強硬に決めた宣伝部を許していないし、
だから角川映画宣伝部とは二度とやらない。
何故そのように決めたのかというと、
「大人向けのラブストーリーだから」と答えやがった。
表現やイコンやテーマについて、
何もかも間違っているのでいちいち解説しない。
つまりは、
宣伝部に要求されることとは、
ストーリーのテーマ(モチーフではない)を把握して、
それが象徴されるビジュアルを上手に抜き出して、
一枚のイコンにするだけの、
グラフィックデザイン力である。
それを、受けるからという理由で、
人気芸能人をコスプレして並べているものの、
何が興行的に成功するのか、
朝まで解説してほしいものだ。
観客は面白いストーリーを見たいのだ。
人生を変えるほどの衝撃や感動を欲していて、
人気芸能人が見たいのではない。
(人気芸能人はテレビやユーチューブでも見れる)
勿論人気芸能人は客寄せパンダであるから、
それを使わない手はないが、
それは面白いストーリーの保証(一流が出ている)
という程度に過ぎず、
そもそもそれはどういう面白さなのかこそが、
最も宣伝するべきものだ。
その読解力、表現力のない者は、
映画宣伝部を名乗るべきではないし、
そのようなストーリーを作れない者は、
脚本家を名乗るべきではないと、
僕は考えている。
2018年07月07日
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